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試乗 メルセデス-AMG GT Cクーペ ライバルにはない古典的な魅力

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試乗 メルセデス-AMG GT Cクーペ ライバルにはない古典的な魅力

もくじ

どんなクルマ?
ー まさにGT SとGT Rの中間

『AMG GT C』すべての画像をみる

どんな感じ?
ー ライバルにはない魅力
ー 刺激的なドライビングフィール
ー 英国の道路にはハードすぎる乗り心地

「買い」か?
ー 古典的な魅力 今年後半にもマイナーチェンジ

スペック
ー メルセデス-AMG GT Cのスペック

どんなクルマ?

まさにGT SとGT Rの中間

ちょうど良いメルセデス-AMG GTを待っているなら、今回のモデルは絶好かもしれない。

今回、英国で初試乗となるGT CはGT Sとサーキット志向のGT Rの溝を埋めるモデルだ。GT R譲りのアクティブリアステアリングと電制デフロックを採用しているが、硬いレーシングバケットシートや大仰なディフューザー、リアウイングは装備されない(ウイングの代わりに、小ぶりな可変スポイラーがつく)。

アルミニウム製のリアボディはSよりも57mmワイドで、305サイズのミシュラン・パイロットスポーツを履いているので、一目でCだとわかる。一方で、フロントには「パンアメリカーナ」グリルを採用している。つまりSLSに代わるより手頃なモデルとして意図されたものだ。

これほど強力な足回りでもリアのグリップを失わせることができるのは、ドライサンプ仕様の4.0ℓV8ツインターボエンジンを搭載しているからだ。出力はGT SとGT Rの中間である558psだが、これはポルシェ911ターボには及ばない。

どんな感じ?

ライバルにはない魅力

この7000rpmまで回るM178エンジンはやはりとてつもない。ラグは小さく、パワーはリニアでフレキシブル。そして何より周りを気にせず轟き渡る低いサウンドは魅力的だ。

メルセデスで共通のドライブセレクトのロータリースイッチを回してよりアグレッシブな設定にすれば、ひとによってはわざとらしく感じるだろうが、ひとによってはこれだけで購入を決めてしまうほどの魅力がある。

GTは極めて古典的だ。フロントガラスからの視界は狭く、キャビンもコンパクト。スカットルは高く、高グリップなタイヤは、完璧な舗装路ではまるで弾丸かのようにクルマを前方へと弾き飛ばす。GT Cの暴力性と対峙できるほどのライバルは数えるほどしかいない。

このクルマにかかるコストは膨大だが、同じV8を搭載するアストン マーティンDB11に乗っていては得ることのできない感覚が味わえる。

とはいえやはりGTはリラックスして走るにはノイズが過剰で、そのうえさまざまな道を含む試乗ルートでの燃費はわずか7km/ℓだった。燃料タンクは75ℓの容量を持つものの、それでも443kmしか走ることができない。このようにGTは生まれながらのツアラーではないが、Cではこれまでになく納得のいくスポーツカーに仕上がっている。

刺激的なドライビングフィール

うまくコーナーにアプローチしさえすれば、シャシーが一方に傾き、類い稀なグリップを発揮する。サスペンションはダブルウィッシュボーンで、フロントのネガティブキャンバー角が強められている。このクルマの身のこなしはかなり評価できるものだ(トランスアクスル7速デュアルクラッチトランスミッションをリアに配置することで好ましい重量配分を実現している)。

しかし、ステアリングレシオはセンター付近を過ぎると、依然としてクイック過ぎてぎこちない。とはいえ、AMGはリアのロールについて懸命に対処し、コーナーでのナーバスさは全域にわたって改善されている。

搭載されるV8は2000rpm以下から69.1kg-mを超えるトルクを発生させるので、その気になればいつでもリアをスライドさせることもできる。

しかし、限界を超える前はリアアクスルはあくまで安定した振る舞いを見せる。「ゆっくり進入して、電光石火で脱出する」のがGT Cの流儀のようだ。そして、意外にもこのようなドライビングをするとうまく行くのだ。

感知できないほどわずかなヨーの中でGT Cを思いのままに操るのは難しい。太ももの裏で感じることはできても、修正舵は必須ではないくらいのヨーでは、特にその傾向が強い。本来はもっと大きな動きを好むようだ。その証拠に、ESPのセッティングは許容量が大きい。

英国の道路にはハードすぎる乗り心地

悲しいかな、AUTOCARは試乗車の詳細な仕様を選択することはできず、今回の試乗車にはAMG ダイナミックプラス・パッケージは選択されていなかった。

これに含まれるエンジンやトランスミッションのアダプティブ・マウントはステアリングレスポンスを向上させ、ステアリングの洗練性を向上させる。しかし、同時にサスペンションはさらに固くなり、これは落ち着きのない乗り心地というGT自体の弱点を悪化させてしまう。

英国の公道では、ダンパーをもっとも柔らかいセッティングにしても、GT Cはスポーツカーとは思えない落ち着きのなさを露呈した。

1795ポンド(26万円)の使い道ならもっと他にあるし、このクルマがサーキット向けでないことを考えると、5995ポンド(87万円)のカーボンセラミックブレーキにも同じことがいえる。ただし、スポークから覗くゴールドのキャリパーは宝石のようで見栄えが良い。

「買い」か?

古典的な魅力 今年後半にもマイナーチェンジ

GT Cは時代錯誤な存在だが、それこそがGT Cの存在意義だ。計器類はアナログ、ボンネットはあまりにも長く、そのほとんどを凶暴なエンジンが占めている。

CがGTよりも優れているのはシャシーだ。トルクを抑えこめられるよう、より良い装備が備わり、アジリティが向上している。トラクションのすべてをコントロールしようとせず、導いていくような感覚で操作すれば、満足な走りができる。

ライバルの新型アストン マーティン・ヴァンテージや911 GTSはグランドツアラーとスポーツカーの中間にある。これらはもっとデリケートで、満足感が得られ、英国の道路でも苦労は少ない。残念ながら、クルマとしての洗練度でいえばGTは劣っている。

それでもこのクルマが欲しいなら、わたしからこれ以上言えることはない。それに今年後半にはフェイスリフトも予定されているので、それを待つのもありだ。中間帯でのパワーの向上やCLSに採用されているデジタルコクピットの搭載が見込まれるが、乗り心地は大きく変わらないだろう。

メルセデス-AMG GT Cのスペック

■価格 12万9945ポンド(1890万円)
■全長×全幅×全高 4551×2007×1288mm
■最高速度 317km/h
■0-100km/h加速 3.7秒
■燃費 10.6km/ℓ
■CO2排出量 259g/km
■乾燥重量 1700kg
■パワートレイン V型8気筒3982ccツインターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 558ps/5750-6750rpm
■最大トルク 69.1kg-m/1900-5750rpm
■ギアボックス 7速デュアルクラッチ

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