なぜ今、124シリーズ? 一番の理由は
text:Yasuhisa Shimashita(島下泰久)
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デビューから実に35年が経つというのに、人気が衰える気配が無いのがメルセデス・ベンツ・ミディアムクラス「124」シリーズである。
中古車市場を覗くと、タマ数はある方だが価格はセダンなら50万円辺りから、ステーションワゴンは最低でも100万円からで、良いものは200万円は見ておきたい雰囲気となっている。
確かにこの頃までのクラシック・メルセデスは、どれもそうやって価値が下がらないのだが、それにしたって驚いてしまう。
他人事のように書いたが、実は何を隠そうわたし自身もこの124シリーズに心酔している1人である。
ずっと乗り続けているわけではなく、2016年に90年式のW124型300Eセダンを購入し、2年後に92年式のS124型300TEステーションワゴンに乗り換えている。
なぜ今、124シリーズなのか。よく訊かれたのだが、まず一番の理由は……カッコ良さだ。
デザインは今見るとシンプルを通り越して素っ気ないほど。直線基調のデザインは端正そのもので、当時は大きく威張っているようにも見えたラジエーターグリルだって、今や小さく感じられる。
質実剛健というか無機質なテイストだが、それが今、却って美しく見える。
誰かが言っていたのは、メルセデスは高級車ではなく高機能車であり、それゆえに年月を経ても古びることなく、むしろ良く見えてくるのだということ。
最新のメルセデスでは、きっとこうは行かないだろうな……。
「こうあるべき」を実直に 徹底的に
カッコいいからだとミーハーなことを言ったが、それは表面的なデザインだけで実現できるものではない。
124シリーズは、そもそもプロポーションが非常に均整が取れている。
セダンもステーションワゴンも、クーペやカブリオレだって体現しているのは「こうあるべき」という形で、余計な足し引きはされていない。
セダンは実直そうだし、ステーションワゴンは積めそう。
そう見えるのは、実際にそのようなクルマとしてパッケージングされているからである。
ドライバーズシートに腰を下ろすと、ここでも「こうあるべき」を実感できる。
ステアリングに調整機構は無いから、シート位置で合わせていくと、ペダルとの距離がしっくり来て、視界も全方位に開けたポジションへと自然と導かれる。
ノーズの先端にはスリーポインテッドスター。これもまた気分をアゲる。
走り出すと解るのだが、これだけ視界が良ければ、ブラインドスポットモニターなんて不要である。
周囲の見えにくいデザインにして、見えにくいからとカメラやセンサーを満載にする今のクルマって……と、誰だって考えさせられるに違いない。
124、何より快適さが半端じゃない
直径の大きなステアリングホイールは、見た目とは裏腹に繊細な操作に貢献している。
高速道路で実感できる圧倒的な直進性は、大きく寝かされたキャスターとこのステアリングに拠るところが大きいはずだ。
スポーティじゃないという人も居るけれど、速く曲がりたければ速く操舵すればいいだけの話である。
そうした部分も含めた走りが、やはり124シリーズの今もって最大の魅力と言っていいだろう。何より快適さが半端じゃない。
今、これを超える乗り心地をもたらしてくれるクルマなんて、他には思い浮かばないほどだ。
サスペンションは路面からのあらゆる入力をきれいに受け流す。縮んだあと、ゆっくり伸びていくから目線がブレず疲れない。この設定は絶妙の一言に尽きる。
クッション性が心地良いシートも絶品。特にオススメは布シートである。
普段はこうして快適性が際立っているのに、速度が高まるにつれて挙動がビシッと引き締まってくるのも、124の魅力だ。
挙動は落ち着いて曖昧なところが無く、絶大な安心感がもたらされる。まさに、アウトバーンを走るならこうじゃなきゃなという感触を味わえるのだ。
エンジンはわたしは直列6気筒派だが、4気筒でも他の排気量でも124らしさに大きく変わりはない。
但し4速ATだけは問題で、シフト操作をかなり丁寧にしないと、すぐ不機嫌になる。
気を使うし、実際すぐに調子を崩すから、正直、他人には自分の124、乗せたくないのである。
次に乗りたいクルマが無くなる……?
124を走らせる度に思うのが、果たしてクルマは、この頃から確実に進化したと言えるのかということだ。
衝突安全性能、燃費、ADASといった辺りはさすが時代を感じるが、それ以外には正直、引っかかる要素はまったく無いと言っていい。
正直に言えば、走り出す時にはいつも「さすがに古さが目立ってきたな」と思う。しかし、それが5分もしないうちに「やっぱり124サイコー!」となるのが、いつものパターンなのだ。
全幅1740mmしかないサイズながら、大人5人、ステーションワゴンなら何と7人がしっかり乗れて、荷物も満載できるパッケージングだって何の不満も無い。実はクーペでも、荷室にタイヤ4本をすんなり飲み込むである。
クルマが様々な規制にがんじがらめになる前の時代に、理想を追いかけ続けて至った究極。124シリーズを、そういうクルマだと評しても、異議を唱える人はきっと居ないだろう。
冒頭で示したような相場の形成を後押ししている、今124シリーズの乗りたいと考えている人は、それこそカッコ良さや憧れから関心を示しているのだろう。
安心してほしい。もし手に入れたら、124シリーズはきっとその思いを裏切らない。
オーナーの誰もが「次に乗りたいクルマが無い」と言う。ここまで読まれてきた方は、きっとこの世界の入口に立ってらっしゃるのだろう。
ようこそ124シリーズの容易には抜けられない世界へ……。
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