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HOPPY Schatz GR Supra GTは死なず。フレームそのままに2024年開幕戦での復活を目指す

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HOPPY Schatz GR Supra GTは死なず。フレームそのままに2024年開幕戦での復活を目指す

 8月6日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたスーパーGT第4戦富士の決勝レースで、トラブルから火災に見舞われてしまったHOPPY team TSUCHIYAのHOPPY Schatz GR Supra GT。火災によるダメージは深刻で、チームはその後のシーズンの参戦を見合わせているが、9月18日には復活に向けた支援を呼びかける『ホピ子復活プロジェクト』をスタートさせ、ホームページの中で支援者に復活への進捗を報告している。10月11日に掲載された支援者限定の『ホピ子製作日記 限定#04』の中では、嬉しい報告もあった。

■生きていた骨格。『ホピ子』は“新造”ではなく“復活”へ
 次世代を担う若きエンジニア、メカニックを育てるべく、オリジナルのGT300規定車両を製作しスーパーGTに挑戦していたHOPPY team TSUCHIYAは、2022年から投入したGRスープラGTで少しずつ速さを増してきていたものの、8月6日の第4戦富士では、決勝レース61周目に発生した火災により、車両に大きなダメージを受けていた。

HOPPY team TSUCHIYA、『復活プロジェクト』スタートへ。「皆さんの想いも一緒に復帰したい」

 HOPPY team TSUCHIYAの土屋武士代表は、その後しばらくはアクシデントのショックもあり「自分の気持ちが大変だった」というが、まわりからの挑戦を続けて欲しいという多くの声も後押しとなり、「10月6日がちょうどアクシデントから2ヶ月でしたが、一点を向いて、スタートを切られた気がする」と第7戦オートポリスを訪れ、スーパーGT全体に向けた手伝い、そして復活へ向けて後押ししてくれた多くの関係者、チームからの支援に感謝を伝えた。

 復活へ向けて再スタートを切った『ホピ子』ことHOPPY Schatz GR Supra GTだが、10月11日に掲載された支援者限定の『ホピ子製作日記 限定#04』には、嬉しい報告も掲載された。火災による車両へのダメージは大きく、使える状態で残っているのは「チンスポイラーとフロントバンパーくらい」だったが、フレームが熱のダメージを乗り越え、使用に問題がない状態だったということだ。

「フレームにダメージがある箇所は検査の結果、検出されませんでした。関係各所の必要なところにレポートを提出させていただいて、参戦に向けての障害がない状況であると後押しをいただきました」と土屋代表。もちろん、最終的に車両が完成し、車検を受けて承認を受けなければレースには出られないが、「今のところハードルを乗り越えた感じ」だという。

 このフレームの熱に対しての影響について聞くと、「フレームにはクロモリ(クロムモリブデン鋼)がほぼ使われていますが、クロモリというのは基本的に数百度という熱で15分以上過熱をして、その後なましたり、急冷したりすると、硬度が変化します。しかし、5分では変わらないんです。同じ材料で検証して数値を測り、フレームのあらゆる箇所を検査して数値を測った結果、重要な物性である硬度には変化がなかった」という。

「あの事故のときに何分間火がついていたかは分かりませんが、基本的にダメージを受けるようなことはありませんでした。そういう結論がつけられたので、それをレポートとして報告し、確認をしていただいています」

 一般車でもそうだが、レーシングカーでは一般的に、クラッシュ等でフレームにダメージが及んでしまうと、そのクルマは“全損”となり、新たな個体にスイッチを強いられることになる。しかし今回のホピ子の場合、溶接のスペシャリストに教えを請いながら若手たちが作り上げていたフレームがそのまま使えることになった。費用がかからない点でプラスなのはもちろんだが、クルマで最も大事な骨格は残っていた。これから始まるクルマづくりは“新造”ではなく“修復”と言うことができる。

 火災の直後、土屋代表は気持ちを押し殺すように「すべてなくなってしまった」とはき出したが、『ホピ子』は死んではいなかった。

■復活の日は……!? 2024年開幕を目指す
 少しずつ道が見えはじめた復活プロジェクト。気になるのはその復活の日だ。土屋代表にズバリ「来年の開幕戦ですか?」と問うと、「はい」と力強く答えた。

「今のところ、1300人くらいの方にプロジェクトに参加していただいて、2000万円以上の資金が集まっている状況です。正直ないまの気持ちとしては、皆さんの思いに応えるためには、少しでも早くクルマを直し、しっかりとリザルトを残す、皆さんの前でレースをすることだと思っています」と土屋代表。

「チームのみんなもまた目の色が変わって、自分たちが置かれている環境を感じることができています。とにかく、もっといいクルマを作ること、そして自分たちが作ったクルマでレースをすることにフォーカスしています。自分もチームオーナーとしてクリアしなければならないハードルはたくさんありますが、これはクリアできるものと信じて、最短で行こうと思っています」

「もちろん資金の問題は大きく立ちはだかるかもしれませんが、なんとかクリアするためにも作ろうと。最短で、妥協なくいいクルマを作ることだけに集中しています。エンジン代など現実的な問題は必ずやってくると思いますが、そこはその都度クリアしていく。立ち止まっていても仕方ないので、信じてやろうというのが正直な気持ちです」

 この『ホピ子復活プロジェクト』では、集められた資金は全額スーパーGTに参戦するクルマの製作費、そしてレーシングチームの活動費として充てられる。土屋代表が言うとおり、すでに1300人以上の支援者がおり、参加すると復活祈念ステッカー、そして復活に向けた『ホピ子』の製作状況が見られる日記の閲覧権を得ることができる。『ホピ子製作日記』はすでに限定07回まで掲載されており、すでに今回記事内でお届けした内容から、さらに一歩先へ進んでいる。

 ステッカーは順次ファンの皆さんに向けても発送されたが、オートポリスでは土屋代表自ら完成したばかりのステッカーを配り、支援してくれたスーパーGTで戦うライバルチームやドライバー、多くの関係者に感謝を伝えた。

「関係者、チームの皆さん、メカニックの皆さん、ドライバーの皆さん、先輩、後輩。本当にたくさんの人たちが参加してくれています。ひとりひとり紹介したいくらいですが、アピールしているような、催促しているようになっちゃうのもイヤですからね(笑)。でも、本当にものすごくたくさんの皆さんに参加していただいています。感謝しています」

ホピ子復活プロジェクト
http://tsuchiya25.com

文:AUTOSPORT web
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