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ハイソカーブームとの融合──トヨタ・スープラ70試乗記

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ハイソカーブームとの融合──トヨタ・スープラ70試乗記

歴代のトヨタ「スープラ」を、サトータケシがイッキ乗り! 次は2代目スープラ、通称“70”だ。

劇的な進化

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1985年型のセリカXX 2000GT(A60型)から、92年型のスープラ2.5GTツインターボ・エアロトップ(A70型)に乗り換えた瞬間、「あれ、ロクマルとナナマルの間にもう1世代あったけ?」と、考え込んでしまった。

こう勘違いするくらい、2台の間にはギャップがあるのだ。内装に使われるプラスチックパーツの色艶といい、スイッチ類の手触りといい、インテリアのクオリティが大きく変化している。エアコンの操作がマニュアル式であること以外、A70は現在のクルマとあまり変わらない印象を受けるのだ。いかにも昭和のヒーローといった懐かしさをおぼえるA60に対して、A70はついこの間まで接していた、最近のクルマだ。

でも、間違いない。A60が81年から86年まで生産され、フルモデルチェンジでA70にバトンタッチしている。現在、100年に一度のクルマの大変革期と言われるけれど、80年代もクルマは劇的な進化を遂げていたのだ。

重めではあるけれど、作動自体はスムーズなクラッチペダルを踏み込んでキーを回すと、排気量2491ccの直列6気筒ツインターボエンジンが、ターボユニットらしくシュンと静かに目覚めた。スムーズなエンジン始動といい、安定したアイドリングといい、セリカXXと同様、この個体からもいかにもコンディションが整っていることが伝わってくる。

A60型セリカXXの項でお伝えしたとおり、このクルマを用意したのは「Vintage Club by KINTO」。トヨタのクルマ好きのメンバーや新明工業の協力で、「できるだけオリジナルに忠実に」というコンセプトでレストアされている。

5MTのシフトストロークはセリカXXよりかなり詰められていて、少ない動きで気持ちよくシフトできる。実はA70型スープラに乗るのはこの日がはじめて。80’sのツインターボエンジンだからドッカンターボではないかと、ややビビりながらアクセルペダルを踏んでみると……、低回転域がスカスカなんてことはなく、1JZ-GTE型エンジンはアイドル回転付近から必要にして充分なトルクを提供してくれる。

そして3000rpmあたりからトルクが厚みを増し、力強く速度を積み上げる。4500rpmあたりからいよいよ、きたきた、きましたよ! 豪快な加速Gに、身体がシートに押し付けられる。瞬間的に重力を失って、前方に吸い込まれるようなワープ感覚だ。けれども決して野蛮でもなければドッカンターボでもない。じわじわとトルク感が盛り上がり、その次にパワーが炸裂する、言うならば2段ロケットの加速感だ。

ただし、踏めば速く走る最近のクルマと違って、自分でギアをシフトしてトルクバンドをキープしないと、この加速フィールを味わうことはできない。「ふさわしいギアを選ぶ」→「正しい操作でスムーズにシフトする」という段階を経ないと気持ちよい加速は手に入らない。そしてひと手間がかかる分だけ、うまくいったときの喜びはデカい。

トヨタが持てる技術を総動員この2.5リッター直6ツインターボは、1990年のマイナーチェンジで3.0リッター直6に代わって設定されたエンジンで、280psの最高出力は当時の自主規制値の上限。あの頃、これよりパワフルなエンジンは存在しなかった。自分はいま、1990年時点での日本の最高到達点に立っている。

野蛮ではない、と、記したけれど、それも道理で、A70型スープラは、ほぼ同時期にデビューした 2代目「ソアラ」と並行して開発されている。4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションやパワートレインは基本的には両車共通で、ハイソカーブームの真っ只中、トヨタが持てる技術を総動員して開発したのがこのスープラとソアラなのだ。

インテリアのクオリティがジャンプアップした理由も、こうした経緯を知れば納得できる。

屋根を取り外すことができるエアロトップ仕様だったこともあってか、コーナリング中にボディ各部からミシミシという音が聞こえたので、コーナーでは丁寧な操作を心がける。とはいえ、ブレーキはただ減速するだけでなくペダルの踏み応えもカチッとしているし、ハンドル操作に対してノーズはスムーズに向きを変える。

強力なエンジンと素直な操縦性の組み合わせは、気のいい大型犬を思わせるキャラだ。ヒリヒリするようなスリルを味わうのではなく、安心して高性能を発揮できると感じさせる懐の深さは、セリカXXにも通じる。同時に、キャラこそ共通しているけれど、80年代から90年代にかけて、階段を2段飛ばしか3段飛ばしで駆け上がっていたこともよ~くわかる。内装の質感だけでなく、加速やハンドリングといったパフォーマンスが、格段に向上しているからだ。

スープラだけでなく、日産の「スカイランGT-R」(R32)や初代ホンダ「NSX」など、この時期に日本の自動車技術は大きくステップアップしていたのではないか。そんなことまで考えさせる富士スピードウェイホテルの「Supra Summer Festival」は、なかなか奥の深い企画だ。担当者によると、車種はまだ秘密とのことだけれど、続編を企画しているという。

そしてスープラの垂直テイスティングもいよいよラスト、A80のスープラに乗り換える。

昭和のヒーローとの再会──トヨタ・セリカXX試乗記歴代のトヨタ「スープラ」を、サトータケシがイッキ乗り! まずは初代スープラ、日本名「セリカXX」をテストドライブ。文・サトータケシ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)

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みんなのコメント

1件
  • ******
    オーナーはオウナーと書くのに、
    サトウはサトーって書くんだね。

    ヘンなヤツら!

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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