BMWジャパンは2020年12月16日、2021年秋に正式発売を予定している新開発の電気自動車「iX」の予約注文受付を、BMWオンラインストアで開始しました。納車開始は、2021年秋以降が予定されています。BMWオンラインストアでの予約特典は、日本導入時の早い段階での納車が約束されています。
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BMWは生まれ変わる
新型「iX」はその車名の通り、BMWのサブブランド「i」シリーズのSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)として開発されています。SAVコンセプトとすることで、サステイナビリティと、インテリアの広さ、快適性を兼ね備えます。3000mmのホイールベースによりX5の全長と全幅、X6の全高、X7の20インチホイールによる、パワフルなプロポーションを具現化し、インテリアは、高級ラウンジのような雰囲気を演出しています。
「iX」は、BMWの近未来のコンセプト「Vision iNEXT」にしたがって企画され、これから来る将来を見据えた画期的な世代の最初のモデルとされています。
そして、BMWがいち早く実現した電気自動車のサブブランド「i」シリーズで、生産やコストが課題となった教訓を生かし、BMWグループで拡張性のある初のCLARベースのモジュラー式電気自動車プラットフォームを採用しています。
CLAR(縦置きエンジン用モジュラープラットフォーム)ベースとはいえ、もちろん電気自動車用に新開発されています。ただし、従来のiシリーズとは違って、内燃エンジンを搭載するCLARプラットフォームの製造ラインで混流生産が可能になっているのがポイントです。
電動モジュラープラットフォームの第1弾となる「iX」は、電動化の最新のイノベーションを導入し、人間を中心に据えた自動運転とコネクティビティによる、新たなモビリティを実現することになります。そのため、このクルマのデザインを徹底的に追求し、ドライバーと乗員のための生活の質(クォリティ of ライフ)や健康、安心を飛躍的に向上させたキャビンを生み出しています。
「iX」は、サステイナビリティ、ドライビング プレジャー、プレミアムであることの意味を再定義し、近未来の世代のクルマとしてのロードマップを示しています。その先駆的なキャラクターは車両のデザインに明確に表現され、親しみやすさ、リラクゼーション、自主性が特長の新たなドライビングの世界観を提示しています。
クリアで虚飾を抑えた「ミニマリズム」のデザインを採用したエクステリアは新しいモビリティの形を表現しているといえます。インテリアはドライブの時間を有効に使うための先進的なオプションを提供し、リラックスできて安心かつ安全な、新しい形のラグジュアリーを提案しています。
「iX」は縦長の特長的なキドニーグリルとツインヘッドライトを組み合わせたフロントマスクとし、キドニーグリル表面は3Dピラミッド・パターンとなっています。EVであるためグリルはクローズド構造になっており、冷却通気の代わりにインテリジェンス・パネルとしてデジタル機能を受け持っています。
カメラ、レーダーなどの各種センサーは透明な表面パネルの背後に配置され、キドニーグリルと違和感なく一体化されています。センサー用のヒーター エレメントやクリーニングシステムも、キドニーグリルの前面に一体化されています。
なおこのキドニーグリルはBMWグループのライトウェイトデザイン&テクノロジーセンター(LuTZ)で開発、生産されインテリジェントモビリティの象徴的な存在です。
キドニーグリルの背後に設置されたレーダーセンサーの正確性を最大限に確保するため、このパーツの製造時には真空状態で行なうナノメーターレベルのコーティング工程を採用。これにより2色仕上げと視覚的な3D効果を生み出し、高級感がありかつ特長的な外観を実現しています。
そしてグリルはポリウレタンコーティングにより自己修復効果を発揮し、小さなかすり傷などは室温で24時間以内に、温風下では5分間で修復されます。
なお、「iX」のボンネットはユーザーは開くことができず、ボンネットを開けて駆動システムやパワーエレクトロニクスをチェックできるのは、サービスワークショップでのみ行なうようになっています。
BMW AGのオリバー・ツィプセ取締役会会長は、「BMWグループは、新たに生まれ変わるという企業戦略の元でiXは生まれ、そのデザインは変革を濃縮したフォルムです」と語っています。
BMWの新たな技術的フラッグシップ
「iX」のデザインとテクノロジーは斬新なドライビング体験を生み出すためのパッケージで、パーソナル モビリティの変革を使命とするiブランドの特長を体現しています。
最初からバッテリーを動力源として企画されたi3は、持続可能な都市型モビリティの実現に向けたチャレンジであり、プラグインハイブリッドのi8の未来的なデザインと電気駆動技術は、プレミアム スポーツカー セグメントにおける最先端のあり方を示しました。
そしてこのiシリーズ第3弾となる「iX」は、BMWグループの新たなテクノロジー フラッグシップとして2021年下半期にディンゴルフィン工場で内燃エンジン車との混流生産により組み立てが開始されます。このニューモデルは、デザイン、自動運転、コネクティビティ、電動化、サービスといった戦略的イノベーション分野におけるBMWの最新の技術が投入されています。
「iX」の車両コンセプトやデザインは、持続可能性に対して真っ向から取組んだ結果です。これらは、最適化された空力特性、インテリジェントな軽量構造、天然素材やリサイクル素材の包括的な利用などにより、先進的なラグジュアリーの表現として健康的で安心感のある室内空間を生み出しています。
第5世代となる「eドライブ」
「iX」は、2基の電気モーターによる電動4WD、最先端のパワーエレクトロニクス、充電技術、高電圧バッテリーを搭載し、最大限の効率を目指しています。
そして持続可能な生産プロセス、つまりレアアースなどの貴重な原材料を使用することなくBMWグループが開発、製造するこの駆動システムは、最新の計算値によると出力は370kW/500psをオーバーし、iXの0-100km/h加速は5秒足らずという動力性能を持っています。
また開発状況下での推測航続距離は、WLTPテストサイクルで100km走行あたりの複合モード消費電力が21kWh未満となり、これは同セグメントでもきわめて低い高効率の数値となっています。
最新世代の高電圧バッテリーの総エネルギー量が100kWh以上で、WLTPサイクルで航続距離は600kmに達します。これは、アメリカのEPAのテストサイクル「FTP-75」に換算すると300マイル(482.8km)以上に相当します。
「iX」は最新の充電技術を採用し最大200kWのDC(直流)急速充電が可能となっています。これにより、残量約10%のバッテリーを40分以内で80%まで充電できます。また、10分以内の充電で120km以上の走行距離に要するエネルギーを蓄えることができます。出力11kWのウォールボックス充電を使う場合、残量ゼロの高電圧バッテリーを満充電にするのに必要な時間は11時間以内とされています。
さらに「iX」のバッテリーは長期的資源リサイクルを前提として設計されており、極めて高いリサイクル率を実現。バッテリーセルおよび高電圧バッテリーの生産に使用するすべての電力は、再生可能エネルギーのみを使用しているのも特長です。
最新の自動運転技術
「iX」に初めて採用される新たなテクノロジーキットとして、自動運転、デジタルサービスの電子プラットフォームを採用しています。例えばセントラルECUの演算処理能力は、従来モデルの20倍のデータ量が処理可能です。これにより、各種の車載センサーからのデータを処理する能力は従来の約2倍となっています。
自動運転システムは、高い演算処理能力、極めて高性能なセンサーシステム、人工知能(AI)、データ オリエンテッド開発などにより継続的な最適化が可能になっています。そしてシステムは新規開発プログラムや追加機能はリモート ソフトウェアアップデートが可能で、通信により車両に転送することができるようになっています。
BMW AGのフランク・ウェーバー開発担当取締役は、「iXのテクノロジーによって、私たちは自動車業界の新たな基準を打ち立てます。iXはデータ処理能力が向上し、現行ラインアップにおける最新モデルよりもさらに高性能なセンサー テクノロジーを備えています。また5G通信に対応した最新の改良型の自動運転および自動パーキング機能を装備しており、高性能な第5世代の電気駆動システムと適合させています」と語っています。
アルミ製スペースフレーム構造
「iX」は、高効率な電気駆動システムだけでなく、優れた空力特性や車両重量を軽減するための包括的対策が採用されています。
高電圧バッテリーは床下配置とし、ボディ骨格はアルミ製スペースフレーム構造で、高負荷のかかる主要骨格には超高張力鋼板や、カーボン製の部材を採用し、その他に熱可塑プラスチック材なども採用。
このようにマテリアルミックス、つまり多数の素材を最適に組み合わせることで軽量化と高剛性化を実現しています。カーボン材は、フロントカウル部、サイドフレーム、ルーフのフレーム、リヤウインドウのフレームにロールケージ形状で採用し、高強度なキャビンとしています。そしてフロントカウルとリヤウインドウのフレームは長繊維を使用した熱可塑カーボン材を初採用しています。
空力対策ではボディ表面の気流を制御することで風が巻き起こす騒音を低め、同時に空気抵抗を低減して高速走行での電費性能を向上させています。空気抵抗低減のために、滑らかなボディ表面仕上げにし、くさび形のキャビン、埋め込み式ドアハンドル、極めてスリムなドアミラー、さらに適正にデザインされたたエアロリップなどにより、クラストップレベルのCd値0.25を達成しています。
なおAピラーの位置は、従来の内燃エンジンを搭載したXモデルよりもさらに前方に移動され、電気駆動システムが極めてコンパクトなため、結果として車両のフロントセクションが縮小でき、これによってインテリアスペースがより拡大されています。
ミニマリズムによるモダンリビング インテリア
インテリアのデザイン、パッケージングは、広々とした空気感を持つ、現代的で居心地が良く、しかもミニマリスティックを追求しています。
広々とした空間、厳選された上質な素材の組み合わせ、新開発のシート、そして大きな可変調光パノラマガラスルーフが、5座席のすべてで上質なラウンジの雰囲気を生み出しています。
そして何より、センタートンネルのないオープンなインテリアの空気感が強調され、前席、後席の足元はさらに広くなり、収納のための十分なスペースと上質な家具のようなデザインのセンターコンソールを採用しています。
人間を中心に据え、インテリジェントなテクノロジーは突出せず、陰に控える存在であるべきという発想(シャイ テクノロジー)の元で、「iX」に採用されたシステムは入念に考慮され、必要なときだけその機能を発揮するようになっています。インテリアのデザインは複雑になり過ぎず、直感的に使用でき、安心感と信頼感を与えるもので、乗員とクルマとの間に新たな連帯感を生み出すようになっています。
操作系のすべてのディスプレイは必要不可欠なものに絞り込まれ、すっきりとしたキャビンの居心地の良さをさらに強調しています。インテリアにおけるシャイ テク(陰に隠す発想)の事例としては、見えないように配置されたスピーカー、繊細なデザインのエア吹出し口、暖房機能が組み込まれたトリム表面、そしてほとんど見えないようダッシュボードに埋め込まれたBMWヘッドアップディスプレイのプロジェクターなどがその代表です。
初採用となる六角形のステアリングホイール、ロッカースイッチ式のギヤセレクター、そして次世代BMWオペレーティング システムの一部を構成する湾曲した、コックピット上に浮遊しているように見えるBMWカーブド ディスプレイが未来志向のドライビングプレジャーを生み出しています。
この新採用のカーブド ディスプレイは、12.3インチのインフォメーション ディスプレイと対角14.9インチのコントロール ディスプレイの表示領域を継ぎ目なく合体させ、ドライバー オリエンテッドな1枚のディスプレイになっています。
シートやダッシュボードに使用している本革の表面仕上げには、天然のオリーブの葉の抽出物を使用。そのため製造時に環境に悪影響を及ぼす恐れのある残留物を一切排出しません。
この本革はとりわけ高級感があり自然な風合いが活かされています。持続可能性を重視した原材料の選択および生産のための総合的なコンセプトには、ドアトリムパネル、シート、センターコンソール、フロアパネルの表面にFSC認証を受けた木材を使用し、多くのリサイクル プラスチックを使用するなど環境対策も高いレベルで追求しています。
リヤのベンチシートは3名用に設計され、左右外側のシートはヘッドレストが一体化され、中央座席のヘッドレストは、後方の視界を最適化するため折りたたみ式となっています。センタートンネルがないので、リヤシートも広々としたレッグルームが確保され、こうして生み出されたオープンな空気感とドアエリアまで達するワイドなベンチシートによって、ラウンジの雰囲気と長距離走行の際の快適性を実現しています。
新型「iX」は、これからのBMWを象徴するフラッグシップモデルであり、当然ながら高価になりそうですが、BMWが大きく変わろうとしていることが実感できるモデルです。現在は最終的な熟成、チューニングを行なっているはずですが、約9ヵ月後の登場は大いに期待できそうです。
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