アンティークカーへの対応策で安全性に関するテストを免除
アメリカ連邦法で、いわゆる「25年ルール」と呼ばれるものがある。同法が制定された背景には、1970~1980年代に横行した輸入車のグレー市場だ。本来、アメリカにクルマを輸入する場合、連邦法、および各州法に従って、車両安全性と排気ガス規制に対応する必要がある。
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アメリカでは1970年代に排気ガス規制が厳しくなり、大排気量エンジンから小排気量エンジンへの転換が進んだ。また、1980年代以降には、衝突安全性に関する法規制を設ける州が増えた。
こうした中で、1988年に連邦法として「輸入車セイフティコンプライアンス法」が制定され、製造から25年を経過したクルマは、安全性に関するテストを事実上、免除することが決まった。また、連邦環境局も同法の施行を配慮するかたちで、アンティークカーに対する法整備を進めた。
25年ルールを日本では、排ガス規制緩和という観点で見ることが多いが、輸入する際のコストでは、安全性に関する緩和での恩恵が大きい。安全性を証明するためのクラッシュテストなどの費用で膨大となるからだ。
現状では、25年ルールでアメリカにクルマを輸入する際、連邦環境局と米運輸省からの許可を得た上で、使用するそれぞれの州法に基づく法規制を考慮する必要がある。
ネオクラシックカーの相場が押し上がった
アメリカで25年ルールが注目される理由のひとつが、映画「ワイルドスピード」の初作から第三作までの影響だ。同作品は、90年代末から2000年代初頭、米西海岸を中心に社会現象化した、日系改造車ブームを題材としている。
メインとなった改造車はホンダのシビックやアキュラRSX(インテグラ)などコンパクトカーだった。トヨタ80スープラ、三菱3000GT(GTO)、日産S14 シルビア、三菱ランエボ、スバルWRX・STIなど、当時のブーム時点では庶民にとって高嶺の花だった。あれから約20年、40代から50代になったブーム当時の世代が、25年ルールを使った『大人買い』をしていることが、日本でのネオクラシックカー相場を一気に押し上げた。
25年ルールに関して、自動車メーカーにも動きが出てきた。旧車パーツの復刻だ。
自動車メーカーは新車販売が終わったクルマについて、少なくとも10年間は補修部品の生産を部品メーカーに依頼し、部品共販など部品卸業者が在庫を確保している。つまり、新車販売から25年以上たったクルマの補修部品は、生産中止になってしまう。
それが、海外での25年ルールによって、補修部品の新たなる需要が生まれた。また、日本国内でもネオクラシックカー市場が活性化し始めているため、人気旧車を対象とした補修部品の復刻が今後、さらに進む可能性がある。
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