大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、マクラーレンのCEOザク・ブラウンに焦点を当てた。
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今のF1は、サーキットでもそれ以外でも大きな注目を集めているため、チームボスたちにとってゆったり過ごせるグランプリウイークエンドなどというものはほとんど存在しない。そのなかでも、このところマイアミGPは、シーズン中で最も忙しいイベントのひとつとなっている。
マクラーレン・レーシングのCEOザク・ブラウンにとっては、特に忙しい週末だった。アメリカ出身のビジネスマンであるブラウンは、ここ数年で、マクラーレンに多くのアメリカ企業のスポンサーを獲得するのを助けてきた。そのため、アメリカでのグランプリは、彼にとっては最も多忙な週末になるわけだ。
ブラウンは、チーム代表アンドレア・ステラがスポーツ面に可能な限り集中できるよう、多くのマーケティングやプロモーション関係の仕事を担当している。
マイアミGPを前に、ブラウンは、アメリカ流に、ゴルフ場でビジネスミーティングを行った。マイアミ・ドルフィンズのCEOトム・ガーフィンケルや、伝説的なNFLクォーターバックだったダン・マリーノらとラウンドしたブラウンは、レースが成長し続けるために何をすべきかについての見解を彼らに提供していたことだろう。
その後、マイアミで複数のスポンサーイベントに出席するなど、ビジネス面で忙しかったブラウンだが、ライバルチームに対して攻撃的な発言をする機会を逃がすことはなかった。
金曜日のFIA記者会見に出席したブラウンは、レッドブルからチーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイが離脱する件について聞かれた。
「半年前なら驚いただろうね」とブラウン。「だが、今年の初めからいろいろなことが起こっていた。さらに、私はエイドリアンをよく知っているのだが、彼は非常に誠実な人物だ。そういったことを考えあわせると、彼が動くことに驚きはない」
「そこで起こっていることは、状況を不安定にしている。おそらくこれは、最初のドミノが倒れたという状況といえるだろう。飛び交っているうわさから考えて、これは最後ではないと私は推測している」
ブラウンは、時には境界を越えたり、不必要に何かの問題に関与したりすることはあるものの、非常に賢明な政治的プレイヤーだ。トラック外での混乱が続くレッドブルにプレッシャーをかけるチャンスを、彼は逃すはずがなかった。
過去12カ月で、マクラーレンは、レッドブルにとって最も近い脅威のひとつになってきた。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリがマックス・フェルスタッペンに挑む場面もあり、その差は縮まり続けている。
マクラーレンはマイアミに大規模なアップグレードを持ち込んでいた。ブラウンはアップグレードに自信を持ってはいたものの、週末がここまで素晴らしい展開になるとは予想していなかっただろう。
日曜レースのグリッドには2台が3列目に並び、ブラウンは、表彰台争いが十分できると考えていた。ところがノリスはそれ以上のペースを示し、ついに彼にとってのF1初優勝を挙げたのだ。
誰もがこの勝利を祝福した。また、ブラウンにとっては、多くのスポンサーやパートナーが出席したイベントであり、自身の母国での勝利とあって、より大きな意味があった。彼がマクラーレンに加わってから2度目の勝利を祝う姿からは、大きな興奮が伝わってきた。
1回目の勝利では自分が表彰台に上がったブラウンだが、今回はチーム代表としての仕事を讃えるために、アンドレア・ステラを表彰台に上げた。
決勝日の夜には多くのスポンサーイベントが計画されていたものの、勝利を祝うために、ブラウンはスケジュールを調整しなければならなかった。今回コース上で勝利を挙げたことが、商業面での取り組みにおいて、さらなる大きな後押しになることを、ブラウンは月曜朝の時点で実感したことだろう。
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