EV専用モデル 全長約4mの5ドア
新しいミニが欲しい。このタイミングだから、電気自動車にしたい。ただし、実用性を考えるとコンパクトな5ドアが良い。こんな条件を、最新のミニ・クーパーでは達成できなかった。3ドアに限られているから。内燃エンジン版なら、5ドアも選べるけれど。
【画像】刺激的な運転体験 ミニ・エースマン 競合クラスのEVたち 最新クーパーとカントリーマンも 全185枚
クロスオーバーのカントリーマンは、全長4433mm、全幅1843mm、全高1656mmと小さくはない。都心部での取り回しを考えると、ちょっと二の足を踏んでしまう。お値段も少々高い。
それでも、スタイリッシュで適度にプレミアムな、バッテリーEVのミニが欲しい。こんなワガママを叶えてくれるのが、新しいミニ・エースマンだ。
基礎骨格とするのは、ミニ・クーパー EやSEと同じ、最新のEV専用プラットフォーム。内燃エンジン版は存在せず、5ドアで、全長は4079mm、全幅が1754mm、全高は1514mmと、大きさも手頃といえる。お値段は、カントリーマンより安い。
電動パワートレインも、ミニ・クーパーと共通する。ベースグレードとなるエースマン Eの最高出力は183psで、駆動用バッテリーは38.5kWh。試乗したSEでは218psへ強化され、49.2kWhへ増える。急速充電は、前者が最大70kW、後者は95kWに対応する。
0-100km/h加速は、エースマン Eでも7.9秒と充分。SEにすると、7.1秒へ縮む。
高級感あり個性的なインテリアデザイン
運転席へ座れば、車内は紛うことなきミニ。現行モデルの特長となる、真円のOLEDタッチモニターが中心的な存在だろう。ダッシュボードは魅力的なクロスで覆われ、鮮やかな差し色が、落ち着いた地色にあしらわれる。
ステアリングホイールの奥には、装飾的なベルト。高級感があり個性的。インテリアデザインは、間違いなく強みといえる。
タッチモニターのグラフィックもオシャレ。アップル・カープレイとアンドロイド・オートには、無線で対応する。ただし、標準のシステムはメニュー構造が少し複雑で、必要な項目を探すのに時間がかかる場合も。
運転席の正面に、メーターパネルはない。速度などはヘッドアップ・ディスプレイへ投影されるのだが、安価なトリムグレードでは装備されない。SEでは標準で付くが、Sの場合は、2000ポンド(約39万円)のオプション・パッケージを指定する必要がある。
このパッケージには、シートヒーターやキーレスエントリー、アダプティブLEDヘッドライトも同包される。タッチモニター上で速度は確認できるものの、ヘッドアップ・ディスプレイ単体を指定することはできないらしい。
車内空間は、後席側が狭め。小柄な大人なら問題なく座れるが、ベビーシートへ幼児を座らせるのは、少し大変そうだ。ベンチシート中央に、アームレストはない。
荷室容量は300Lと広め。一般的なベビーカーなら問題なく、キャンプ道具なども、ひと通り載るはず。背もたれは60:40の分割で倒せる。車内空間は、最近登場したルノー5 E-テックの方が広い。
活発な走り 機敏な回頭性 硬めの乗り心地
エースマン SEは、活発に走る。ミニがエクスペリエンス・モードと呼ぶドライブモードが穏やかな状態でも、しっかりエネルギッシュ。追い越しや高速道路への合流で、力不足を感じることはないだろう。
ステアリングの反応は素早く、回頭性はかなり機敏。少しワイドなボディのプロポーションも、貢献していそうだ。混雑した都心部を、軽快に駆け回れるに違いない。
回生ブレーキの効きは、3段階から調整可能。アダプティブ・モードも指定できる。タッチモニターのサブメニューから、切り替える必要はあるが。
そんな印象は、郊外に出ても変わらない。またスタイリングやインテリアと並んで、エースマンの強みといえるのが、1クラス上のモデルへ匹敵するマナーを実現していること。高速域での安定性は高く、信頼感が湧いてくる。
乗り心地は少し硬め。アダプティブダンパーの設定はなく、路面の凹凸を拾い気味で、垂直方向の揺れが目立つ。大きな隆起部分を通過すると、ズシンと衝撃音も聞こえてくる。長距離移動が得意分野とはいえないだろう。
とはいえ、減衰特性はしっかり練られており、衝撃へ身構える必要はない。落ち着きはないかもしれないが、購入を見送るほどではないと思う。
もう1つ指摘したいのが、小回り。最小回転直径は11.1mで、このクラスとしては大きめ。5 E-テックやジープ・アベンジャーなどは、10.5m前後に留めている。
刺激的な運転体験 多くの魅力が心を満たす
英国価格は、エースマン Eで3万1800ポンド(約617万円)から。SEでは、3万6300ポンド(約704万円)からに上昇する。このクラスでは、お高めといえる。航続距離は、5 E-テックやシトロエンe-C3より短い、403kmがうたわれる。
それでも、ミニだから欲しいという気持ちは理解できる。初めて見れば驚けるデザインのインテリアは、このクラスではトップクラスに上質。パーソナライゼーションの幅も広い。運転体験も刺激的。しっかりミニらしいと感じられる。
コスパや合理性で選ぶモデルではないとしても、多くの魅力が心を満たす。ミニ・クーパーより実用性は高く、ファミリカーとしての要件は満たしている。運転すれば、楽しい気持ちが溢れ出すはず。
◯:運転が楽しい 素晴らしいインテリアデザインと製造品質 ミニらしい個性
△:装備や航続距離を考えると割高 狭めの車内 少し癖のある運転体験
ミニ・エースマン SE(欧州仕様)のスペック
英国価格:3万6300ポンド(約704万円)
全長:4079mm
全幅:1754mm
全高:1514mm
最高速度:168km/h
0-100km/h加速:7.1秒
航続距離:403km
電費:7.0km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1785kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:49.2kWh
急速充電能力:95kW
最高出力:218ps
最大トルク:33.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
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みんなのコメント
BMWとか、牙をむいたデザインで、もはや何が何だかわからないし。
オジサンはついていけません。