FIA国際自動車連盟は、9月13~15日に開催されるWEC世界耐久選手権第7戦『富士6時間耐久レース』を前に、シリーズの“最高峰”ハイパーカークラスで使用されているBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)の最新版を公開した。
今季2024年は各ラウンドごとに調整が行われているハイパーカーBoP。今週末、静岡県小山町に位置する富士スピードウェイを舞台に行われる日本ラウンドに向けても同様の動きが見られ、9月10日付けで富士用の調整値が明らかにされた。
WEC富士初登場、LMGT3のBoP変更は最小限。全9車種の最低重量は変わらずBMW以外のパワーを調整
ハイパーカークラスに参戦している8車種すべてに調整が行われるなか、トヨタは2戦連続で最低重量の増加と最高出力の削減を受けることとなった。これにより“ホームレース”を迎えるトヨタGR010ハイブリッドの重量はサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われた前回大会の『ローンスター・ル・マン』から5kg増え1070kgとなり、一方で出力の最高値は4kW(約5.4PS)少ない493kWとなっている。
なお、2週間前にテキサスのCOTAで行われた6時間レースでは、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組のトヨタ7号車がレース後半にトップを走行。勝利は目前という状況から同車が最後の1時間にドライブスルーペナルティを受け、優勝を逃す展開となっていた。
最新のBoPテーブルでふたつの“ペナルティ”を受けたトヨタだが、富士では250km/h以上の速度域でパワーを増減させるパワーゲインの項目で有利な数値が与えられ、第6戦COTAでの4.6パーセントから5.4パーセントへと増加した。
トヨタGR010ハイブリッドはCOTAと比較して重量が増加した2台のハイパーカーのうちの1台であり、もう1台は1kgの増加で1042kgとなったアルピーヌA424だ。このほか同じ項目で調整が入った3台のマシンについては重量が削減される方向に動き、プジョー9X8がマイナス7kg、ポルシェ963がマイナス4kg、キャデラックVシリーズ.Rはマイナス1kgとなっている。
BMW MハイブリッドV8とフェラーリ499P、さらにランボルギーニSC63は重量設定に変化はなく、イタリアのブランドが走らせる2車種については最高出力も500kW(499P)と520kW(SC63)に据え置かれた。
この2台とトヨタを除く5つのハイパーカーでは2~4kW(約2.7~5.4PS)のパワーアップが認められた。もっとも大きな変更はプジョーの4kWだ。次いでポルシェとアルピーヌがプラス3kW、BMWとキャデラックは2kWの増加を受け取った。
一方、パワーゲインで0.8パーセントの増加を認められたトヨタ以外の7台のハイパーカーは、全車が同項目でマイナス調整を受けている。調整後トヨタ以外でプラスの値になっているのは1.3パーセントのフェラーリと0.2パーセントのポルシェのみだ。
スティントあたりの最大エネルギー使用量については、変動のないフェラーリとアルピーヌを除く6車種に1MJ、あるいは2MJのプラス調整が入った。1MJの増加を受け取ったのはBMW、プジョー、ポルシェの3台。キャデラック、ランボルギーニ、トヨタは2MJの増加を受け取っている。
■2024年WEC世界耐久選手権第7戦富士6時間耐久レース
ハイパーカークラスBoP(9月10日付)
マシンPF最低重量最高出力≦250km/hパワーゲイン≧250km/h最大エネルギー量Fr.ERS作動域(Dry/WET)アルピーヌA424 LMDh1042kg(+1)518kW(+3)-3.7%(-0.5)907MJ――BMW MハイブリッドV8LMDh1037kg515kW(+2)-1.2%(-0.3)907MJ(+1)――キャデラックVシリーズ.RLMDh1036kg(-1)520kW(+2)-0.8%(-0.2)909MJ(+2)――フェラーリ499PLMH1055kg500kW1.3%(-0.6)901MJ190kph/190kphランボルギーニSC63LMDh1030kg520kW-0.1%(-0.1)910MJ(+2)――プジョー9X8LMH1030kg(-7)513kW(+4)-1.9%(-0.7)903MJ(+1)190kph/190kphポルシェ963LMDh1049kg(-4)512kW(+3)0.2%(-0.5)908MJ(+1)――トヨタGR010ハイブリッドLMH1070kg(+5)493kW(-4)5.4%(+0.8)908MJ(+2)190kph/190kph()内の数字は前戦比
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みんなのコメント
断固たる姿勢が見えますね。
ここまだあからさまだと逆にいさぎいいです笑
(なんて小さな人たち…。)