■GMが描くEVを主軸とした未来図とは?
GM(ゼネラル・モーターズ)は2022年7月、米ミシガン州にてメディアブリーフィングを実施、今後のGMのグローバル事業展開などについて説明しました。その骨子は下記のとおりです。
【画像】キャデラック初のEV「リリック」の画像を見る(3枚)
・電気自動車(EV)および自律走行車(AV)の技術開発に350億ドル以上を投資し、世界中でモビリティの未来をリード
・「事故ゼロ、排出ゼロ、混雑ゼロの世界を作りあげる」というビジョンの実現に向け、各国の政府機関やパートナーと連携
・あらゆるスタイルと価格帯で運転する楽しさと性能を備えた業界最高のEVポートフォリオを提供
・EV、自律走行、モビリティへの投資は、よりクリーンで安全な地域社会の構築に貢献
世界的にEVシフトが進むなか直近のGMは、アメリカ国内にてキャデラック初のEV「リリック」の先行予約を開始し、さらには「キャデラック セレスティック」や「シボレー ブレイザーEV」といったEVを発表しています。同社シニア・バイスプレジデント兼GMインターナショナル プレジデントのシルパン・アミン氏は、2021年末に生産を開始した「GMC ハマーEV」の予約が7万3000台を超え、さらに「シボレー ボルトEV」「シボレー ボルトEUV」についても生産を増強しており「今年と来年の『ボルト』の販売台数は記録的になると予測しています」と話します。
またアミン氏は、GMの自動運転車開発部門でありホンダも出資するGMクルーズについて、「アメリカの主要都市で無人配車サービスを運営する、初の自律走行技術の開発企業」で「完全電動化されたファースト/ラストマイル配送、ソフトウェア、サービスのポートフォリオを提供」しているとし、「設立からわずか1年ほどで、すでに配送・物流企業の車両管理システムを変革しています」といいます。
「充電インフラ、整合性のある規制、適切な公共政策といった新しい社会の実現に必要な要素を構築して、全車電動化への移行を加速させるため、GMは世界中の政府機関やパートナーだけでなく、自動車業界全体とも連携しています」(アミン氏)
■日本での展開は?
このようにGMは、EVおよびこれを主軸としたインフラ構築などを通して、自動車メーカーからプラットフォーム・イノベーターへと移行しつつあり、このことは「世界中の顧客やサプライヤー、パートナーとともに、GMの製品ポートフォリオだけでなく、ベンチャー企業やパートナーシップ、カスタマー・ケアやアフターセールス・ネットワークを通じてさらに拡大していくことを意味します」(資料より)としています。
こうしたEV事業への取り組みについてGMは、韓国、中東、南米など、同社の販売台数が多い市場についてはすでに発表しています。では日本における展開はどのように考えているのでしょうか。
GMのストラテジックマーケット・アライアンス・ディストリビューター担当バイスプレジデント兼マネージング・ディレクターのクリスチャン・サマー氏は、「今後数年の間に、GMのストラテジックマーケット・アライアンス・ディストリビューター・パートナーシップ(SMAD)は、小規模ながら利益を得られる地域で、独自のビジネスを展開する計画です」といいます。日本はこの、「小規模ながら利益を得られる地域」に含まれます。
「SMAD地域の多様性と広がりは、GMの成長投資においてグローバルな事業規模を実現するための重要な要素になります。事業の変革はSMAD市場全体で異なるスピードで進み、今日の持続可能な業績と将来に向けた強力な成長戦略という両利きの戦略によって推進されます」(サマー氏)
具体的な個別のビジョンは提示されていませんが、日本市場も重要な要素のひとつと数えているようです。たとえば欧州では現在、将来計画と戦略の見直しとともに、新しい人材を採用しチームの拡大を図っており、欧州の市場と政策は、非従来型のスタートアップビジネスを通じて、モビリティ、ソフトウェア、コネクティビティ、配送、ロジスティクスの分野で事業展開の大きな機会を得ているといいます。日本でも、こうした分野でさらなる事業拡大を図るものと見られます。
GMは「現在進行中の複数のグローバル投資とパートナーシップにより、変革をリードし、全車電動化の未来を実現するための資金を提供するだけでなく、すべての人を全車電動化の未来に導きます」としています。
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