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【違いを解説】横浜ゴム、アイスガード7発売へ 2月の北海道で分かったこと

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【違いを解説】横浜ゴム、アイスガード7発売へ 2月の北海道で分かったこと

ヨコハマのスタッドレス 7世代目に

text:Shinichi Katsura(桂伸一)

【画像】スープラとアイスガード7【雪上テスト】 全25枚

2月の北海道・旭川の早朝。気温マイナス7℃、路面温度マイナス1℃。

暖冬のせいで少ないとはいえ、降り積もった雪は気温が下がる夕方から夜間に路面を凍結させる。朝日とともに気温が上昇すると、通勤時間のクルマの往来による排気熱・タイヤの摩擦で表面が溶けて水分が発生しツルツルに。

交差点はとくに滑りやすく、歩くこともままならない。

一般国道を走行中に、まったく予期しない場所で、ツルッと滑る挙動の不安感、対向車線にはみ出しそうになるとか、ブレーキングで滑って前車に急接近したハラハラドキドキの瞬間は、精神状態として実によろしくない。

降雪地域の日常のドライブは、常にこうした思いと隣合わせであると、この冬に実体験した。そのような環境では、スタッドレスタイヤに求められる性能、とくに凍結が溶け始めたときの氷上性能、そして雪上性能との両立の重要性を心底理解できた。

そんなリアルな世界で横浜ゴムの新商品、アイスガード7(以下、iG70)の性能を体感した。同時に、100km/h超えの高速走行も可能な広大なテストコースで、従来品との比較を交えながらの試乗が叶った。

「iG70」と「iG60」を比較すると?

従来のiG60に対してiG70は、「氷上性能の向上」、新品装着から4年後もゴムの柔軟性/摩擦力を維持する「永く効く」効果、アイスガード史上最大のエッジ量により雪上を噛む「雪に効く」という点が大きな特長。

それら性能の引き上げを、iG60とiG70を同一条件で比較したデータを確認すると、まずもっとも重要な氷上ブレーキングは14%向上。

冒頭の旭川市内の交差点で、停止線手前とはいえブレーキングでABSが作動した時のドギマギが脳裏をよぎるが、そうした状況下で14%の制動距離差とは、タイヤ1つ分の直径よりも差が大きいことを意味する。

氷上発進は、ゼロスタートから5~20km/hの中間加速も含む。やはり市内の交差点、盛大なホイールスピンから路面を磨き、滑りの原因を増やしながら加速するFRのタクシーや営業車。

そんなクルマが往来する公道で、テスト車に選んだカローラ(FF)はアクセルを踏んだ瞬間から、トラクションコントロールの介入を感じないまま、路面を噛み、駆動力を伝達する。その向上幅は15%という。スッと軽快な車速のノリが違う。

氷に効く性能はさらに、氷上コーナリングでiG70が曲がれる軌跡に対して、iG60は同じ速度ではアンダーステアになり外にはらむ。旋回をタイム計測すると7%向上とある。部分的に凍結した峠道のコーナリングでは、対向車の存在を意識せずに自車線内を舵角どおりに旋回してすれ違うことができる。

一方、雪上性能はどうか?

スラローム 踏ん張って滑りを止める

まず雪道のブレーキングは3%、発進性能も3%向上した。雪上旋回は同等以上……と、曖昧だが差は少ないという意味だ。

実際に圧雪路で、ヤリスを使ってパイロンスラロームを行なうと、ステア操作に対する“正確な動き”という点が違う。

iG60は舵角を入れた時、左右に切り返した時の動きが、iG70よりも謂わば緩慢。ズルズルと前後輪で滑りながらスラロームして行く。

iG70は、ステア操作すると同時にノーズが入る。

曲がる前輪に後輪の追従が遅れるため、早いステア操作では後輪が横滑りを起こす。しかしiG70は、流れた後輪に、横方向へのたわみとトレッド面の剛性バランスとが一致した一体感がある。

滑った瞬間に、横方向にグッと踏ん張って滑りを止める。

この“滑りから回復させる能力”は、大きな違いだ。安定性につながると同時に、体感だけではなく、実際に高い速度で抜けて行くことができる。安心感にもつながる優れた安定性である。

プジョー/シトロエンがいい

同様にブレーキングの減速Gは、テストコースの平坦路面では、身体に明確に感じられるほど違って驚く。

iG70のトレッドデザインはiG60と同様、インとアウトでデザインが異なる非対称パターンを採用。アイスガード史上最大のエッジ効果を得るために、イン側は、傾き角度が異なる横溝によるエッジを効かせて発進・制動時にグリップ力を発揮。

センター部とアウト側にはジグザグに刻まれた縦溝が、雪上コーナリング時のグリップ力と排雪に効果を発揮する。

一方の氷上で威力を発揮するのは、ゴムの違い。

シリカを配合した新開発のウルトラ吸水ゴムが、氷上の滑りの原因である水膜を吸い上げる。iG60に比べてその差7%向上。経年劣化で硬くならない効果も合わせ持つ。

テストコースの直線と高速コーナリングを複数の車両で走り込んだが、テスト車が持つ操縦性の違いが如実に感じられる。

とくに注目は、高速からループ形状で巻込むコーナリング。シトロエンC3もプジョー508も、前輪のグリップ力の感触も手応えも確かで、舵が最後まで効き、ノーズからまさに巻込むように入る。

グリップ限界は後輪から迎えて、テールはスライドし、ノーズはイン側を向くと言う理想的な姿勢を披露。フランスのネコ脚2モデルとの相性はとくに好感触だった。

スープラの雪上テストは?

パワフルなFR、スープラではVSC(横滑り等抑制装置)オンの状態では何事も起らず、電子制御が舵角に会わせて最適な駆動力と四輪個々のブレーキをコントロールしクリア。

VSCオフでは盛大なホイールスピンとともに圧雪を蹴り飛ばし、パワーオーバーステアの姿勢に。

ここでもやはり、前輪が確実に路面を捉えているからこそ舵角どおりに曲がり、後輪はパワースライドで積極的な姿勢変化が叶う。

もちろんそれらはアクセルを踏み込み過ぎるためで、右足の力を弱めると、ファットな後輪から安定姿勢へと収まる。

という走りはテストコース故で、富良野~旭岳に向かう国道でも試乗したが(もちろん一般車両と混走するためグリップ走法に終始)、そうして操縦することに造作はない。

むしろ危険なのは、大型バス/トラックによる轍である。

ドライ路面 新旧の差について

轍の壁の中にタイヤがいるうちはまだしも、轍を乗り越える車線変更では、路面を柔軟に捕えているタイヤの変形と接地安定性が実に有効であった。

リアルな公道走行こそ、タイヤの真価が味わえる。

路面が変化してドライ路面になると、過去に装着していたiG60の印象とiG70の乗り味の違いが明確になった。

タイヤ単体の縦方向のたわみでiG60は、謂わばベースの硬いゴムとトレッド面の柔らかいゴムで、たわみが突然硬くなり、その硬さが衝撃として乗員の腹に響く。

新しいiG70はベースもトレッド面も柔らかいゴムにより、縦方向にたわんだ際のダンピングが、一定の変化量で乗員にも優しさとして伝わる。

テストコースだけではない一般公道のリアルな世界で、iG70の進化を感じ取ることができた。

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