現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 墜落=死の危険の思想が根付く! SUBARU車に「元航空機メーカーらしさ」を感じるところ【その1】

ここから本文です

墜落=死の危険の思想が根付く! SUBARU車に「元航空機メーカーらしさ」を感じるところ【その1】

掲載 更新 11
墜落=死の危険の思想が根付く! SUBARU車に「元航空機メーカーらしさ」を感じるところ【その1】

 フルモノコック構造は航空機の機体作りからの発想

 SUBARU車をみて「元航空機メーカーらしさ」を感じさせる部分はいくつもあるが、今回は「設計思想の原点」について注目してみた。

スバル車ならなんでも大好き……なハズのスバリストからも見放されたスバル車3選

 SUBARU(当時は富士重工業)が、1958年に初めて販売した四輪車として知られるスバル360。機械遺産に認定もされている日本の歴史的な名車のひとつだが、開発にあたっては、まさに航空機メーカーならではの発想で生み出されている。

 そのひとつが、当時の日本車としては例のないフルモノコック構造の採用だ。SUBARUは初めて四輪車を作るにあたり、欧米車のコピーではなく、国内では前例のないフルモノコック構造としたのは航空機の機体作りからの発想だった。

 モノコック構造のボディにおいては、軽量化と強度、耐久性の確保で、軽自動車という寸法の限られた小型の乗用車にこれ以外の選択肢はありえなかったという。航空機と同じ発想で、重量が嵩む鍛造品は使わず、トレーリングアームもパイプ構造とするなど、各部には中空構造のパーツの多様にこだわった。

 スバル360の開発テストドライバーを務めた福島時雄さん(元富士重工業走行実験担当)は「当時の日本の自動車会社では、うち以外にモノコックボディの強度設計をできるところはありませんでしたから、大きなアドバンテージを感じました。当時の日本人はクルマのことなんて誰も知らなかったので、見た目の格好良さぐらいしか判断基準がなく、SUBARUのクルマ作りの凄さが世間一般にはなかなか伝わらないのがもどかしかったです」と語る。

 当時の日本の自動車会社にはフルモノコックボディという発想がなく、それを作るためのノウハウもなかった。モノコックボディでは応力集中をいかに避けるかが重要。当時の一般的な車体作りでは、板厚を厚くしたり板の枚数を増やして強度を上げていたので重くなる一方。路面からの入力を応力集中で逃げるという発想は元航空機メーカーならではのものだった。

 アメリカでの支持も重要な意味を持つ

 元富士重工業ボディ構造設計の室田公三さんは「モノコックボディの応力解析なんて、もしよそのメーカーだったら若い技術者にやらせてもらえなかったでしょうね。そもそも、当時の他社は自分のところでボディを作っていなかったと思います。サンバーを作るときにシートを作る会社を見に行ったら、そこで他社のクルマのボディが作られたりしていました」と語る。

 黎明期のSUBARU車の開発に携わった元エンジニアの目に、現代のSUBARU車はどのように映るのか尋ねてみると、福島氏は「現行型の安全と信頼性を重視する姿勢にはとても深く共感し、昔からの伝統が継承されていることを実感できて嬉しい」という。

 続いて福島さんは「飛行機は墜落すると重大な事故になり、設計や整備には人の命をかけた確実な仕事が求められます。飛行機と比較すれば、クルマは止まっても即死亡事故につながる可能性は低い乗り物といえますが、たとえばアメリカ中部の砂漠のような厳しい環境でクルマがエンコすると死に直結します。アメリカでSUBARU車の人気が高いのは、そういう命に関わる信頼性や走破性の高さが評価されているからなのです」と熱く語る。

 今のSUBARUの北米市場傾注ぶりを好ましく思わない日本のユーザーも少なくないが、やはりアメリカで支持されることも重要だ。

 アイサイトやAWDなど、今のSUBARUが武器とする安全と走破性のためのシステムにも同じことがいえるはず、とのこと。

 黎明期の設計思想が今日にも受け継がれているからこそ、今のSUBARU車は安全性において世界的なトップクラスを誇れているのだろう。

こんな記事も読まれています

中古ミニバンで悩んでる方超必見! プレマシーvsウィッシュvsフリード コンパクトミニバン三つ巴ガチンコ対決プレイバック!!!
中古ミニバンで悩んでる方超必見! プレマシーvsウィッシュvsフリード コンパクトミニバン三つ巴ガチンコ対決プレイバック!!!
ベストカーWeb
強豪チームが定義する常勝ホイールの性能要件。タイヤの伸びしろを引き出す知られざるホイールの役割/BBS RI-A
強豪チームが定義する常勝ホイールの性能要件。タイヤの伸びしろを引き出す知られざるホイールの役割/BBS RI-A
AUTOSPORT web
ランド・ノリス、フェルスタッペンとの接触に憤慨「今日の彼は”やりすぎな日”だった……必死になりすぎているように見えたよ」
ランド・ノリス、フェルスタッペンとの接触に憤慨「今日の彼は”やりすぎな日”だった……必死になりすぎているように見えたよ」
motorsport.com 日本版
マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り
マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り
AUTOCAR JAPAN
F1オーストリアGP決勝速報|首位争ったフェルスタッペンとノリスがまさかのクラッシュ! ラッセルが”棚ぼた”優勝。角田裕毅14位
F1オーストリアGP決勝速報|首位争ったフェルスタッペンとノリスがまさかのクラッシュ! ラッセルが”棚ぼた”優勝。角田裕毅14位
motorsport.com 日本版
衝撃の結末! フェルスタッペンとノリス、頂上決戦の末に接触で共倒れ。ラッセルが優勝さらう|F1オーストリアGP決勝
衝撃の結末! フェルスタッペンとノリス、頂上決戦の末に接触で共倒れ。ラッセルが優勝さらう|F1オーストリアGP決勝
motorsport.com 日本版
ホンダが50ccバイクを生産終了! 原付は排気量から出力規制へ! 新規格のPCXとかシグナスとか出るのか?
ホンダが50ccバイクを生産終了! 原付は排気量から出力規制へ! 新規格のPCXとかシグナスとか出るのか?
ベストカーWeb
世界中で270万台の大ヒット! メルセデス・ベンツ「W123」シリーズは「Sクラス」のコンポーネントを受け継いで多様性に応えた傑作でした
世界中で270万台の大ヒット! メルセデス・ベンツ「W123」シリーズは「Sクラス」のコンポーネントを受け継いで多様性に応えた傑作でした
Auto Messe Web
フェルスタッペンがスプリント制す。ノリスをかわしたピアストリが2位【レポート/F1第11戦】
フェルスタッペンがスプリント制す。ノリスをかわしたピアストリが2位【レポート/F1第11戦】
AUTOSPORT web
あくまでも結果論!? 愛車が一生モノになるオーナーの5つの特徴とは?
あくまでも結果論!? 愛車が一生モノになるオーナーの5つの特徴とは?
外車王SOKEN
驚異的に「速く」明らかに「重い」 最新BMW M5へ初試乗 次世代は727psのV8プラグインHV!
驚異的に「速く」明らかに「重い」 最新BMW M5へ初試乗 次世代は727psのV8プラグインHV!
AUTOCAR JAPAN
シボレーC6型「コルベット」を『ウマ娘プリティーダービー』の痛車に! こだわり抜いて完成までに3カ月かかった理由とは
シボレーC6型「コルベット」を『ウマ娘プリティーダービー』の痛車に! こだわり抜いて完成までに3カ月かかった理由とは
Auto Messe Web
”代役参戦”のロバンペラ、王者の貫禄見せる総合優勝。エバンス2位でトヨタがワンツー|WRCラリー・ポーランド
”代役参戦”のロバンペラ、王者の貫禄見せる総合優勝。エバンス2位でトヨタがワンツー|WRCラリー・ポーランド
motorsport.com 日本版
バニャイヤ、独走逃げ切りでオランダGP”ハットトリック”達成! ランク首位逆転近し|MotoGPオランダ決勝
バニャイヤ、独走逃げ切りでオランダGP”ハットトリック”達成! ランク首位逆転近し|MotoGPオランダ決勝
motorsport.com 日本版
ダイハツの「認証不正問題」どうなった? 基準適合性の確認が終了! グランマックス含む3車種はリコール対応に
ダイハツの「認証不正問題」どうなった? 基準適合性の確認が終了! グランマックス含む3車種はリコール対応に
くるまのニュース
英国総選挙 自動車関連の争点は「エンジン車禁止の時期」「EV支援」か 各党の公約は?
英国総選挙 自動車関連の争点は「エンジン車禁止の時期」「EV支援」か 各党の公約は?
AUTOCAR JAPAN
「ル・マン24」翌日、自分の車でコースを巡る聖地巡礼! 縁石は想像以上に鋭角で高さがあるので要注意です【みどり独乙通信】
「ル・マン24」翌日、自分の車でコースを巡る聖地巡礼! 縁石は想像以上に鋭角で高さがあるので要注意です【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
流行りはホットハッチからFFクーペに! トヨタ・セリカ マツダMX-6 ローバー220 クーペ 1990年代の煌き(1)
流行りはホットハッチからFFクーペに! トヨタ・セリカ マツダMX-6 ローバー220 クーペ 1990年代の煌き(1)
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

11件
  • 元ではなく現ですが
  • あくまで自分の経験からですが、過去にレオーネ、レガシーNA レガシーターボと乗り、今はオリジナルサンバートラックのユーザーだが、スバルの車は悪くないけど、サービスの体制が褒められたものではない。
    リコール対応でも、込んでいるから出直せみたいな対応されたし、部品の不具合を認めようとしない。
    売るまでは精一杯なんだけどね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村