この時代だからできた。楽しめて贅沢なクワトロ社渾身の“スポーツカー”
松本 この「名車への道」で取り上げたモデルってMT車が少ないよね。僕はATやツインクラッチのマニュアルATって、どうも上手に扱えないんだよね。個人的には乗りこなせる自信もあるから自分で買うなら断然MT派だよ。
——なんといっても、あの徳大寺巨匠から「キミは運転が上手いね」って言われた人ですからね(笑)。
松本 そんなこともあったね(笑)。やっぱりエンジン回転を合わせてクラッチとシフトとブレーキングを連続的に動かしながら、ヒール&トーでブリッピングしてコーナーへアプローチする。これが車を操る楽しさ、まさに醍醐味だよね。
——そんな松本さんにピッタリのMT車を見つけてあります。今回はこの車です。
松本 RS4 アバントのMTかぁ。素晴らしい車じゃない。しかもコンディションもいいし。よく見つけたね。
——やっぱりこの車って、マニアックな部類に入るんですかね?
松本 まぁ、新車の販売台数を考えたらマニアックだと思うよ。今じゃ珍しいスポーツワゴンのMTモデルだし。でも、あまり注目度が高くないから知られてないけど、中身はとても素晴らしい車なんだよ。しかもこれ、日本で乗りやすい右ハンドルのMT仕様じゃない。こんな車が流通しているんだね。
——ではいつもどおり、まずRS4の基本から教えてください!
松本 まず、知っていると思うけど、RSというモデルはかつてのquattro GmbHが手がけたスペシャルモデルだよね。
——今は名前が違うんですよね?
松本 そう。quattro GmbHは2016年に今のAudi Sport GmbHに社名が変わったんだ。アウディ クワトロのスポーツ性を高めた素晴らしい会社だよね。
——最初のRSであるRS2を作った時はquattro GmbHだったってことですよね?
松本 そうだね。その時代のquattro GmbHはポルシェと仲が良かったんだ。だからRS2アバントみたいな特殊なモデルが生まれたんだよ。個人的にquattro GmbHの時代の方が小ロット生産で雰囲気があるから好きだなぁ。
——確かこの車はRS4としては2代目になるんでしたっけ?
松本 初代RS4は日本では正規で販売されなくて、2007年製のこのRS4は2代目のB7という型式になるね。プラットフォームもB7といわれるもので、モジュラータイプになる前の最後の単独モノコックボディなんだ。だけどRS4はさらに特別で、スポット部分にシームレスのレーザー溶接を多用して、さらに強靭なボディにされていたんだよ。この当時、S4アバントとRS4アバントを乗り比べたことがあるんだけど、RS4アバントはリアの開口部が広いにもかかわらず、みしりともせず、ハードに締め上げられたサスペンションをしっかりと受け止めてくれたんだ。だから断然乗り心地がいいんだよ。
—— へー。RSっていうとガッチガチのアシ回りで、ハードな乗り心地のイメージがあるのに意外ですね。
松本 でしょ? それにブレーキはランボルギーニ ガヤルド同じ、ブレンボ製の8ポッドが付いているんだ。高速からのコントロールはピカイチだったけど、街乗りの低速ではリニアにコントロールするのが難しかったなぁ。
——まあ普通の人はそんなコントロールはしないと思いますけどね(笑)。
松本 デザインも先代よりフェンダー前側を若干絞り込んで一気に膨らませているんだよ。オーバーフェンダーにすることで、より力強い感じを出したかったんだと思うな。
——パっと見た感じは普通のA4アバントに見えなくもないのに、内装とか改めて見るとすごいんですね……。
松本 そうなんだよ。乗り込むとこれがまた素晴らしい。レカロ製の専用バケットシートは薄型だけど、包み込む感じが量産車っぽくないんだ。とにかく質感が高い。スペシャルなパーツ、良い物を使っている感じがすごく漂っているんだよ。
——松本さん好みの車ですよね……。
松本 そうだね。だってエンジンも素晴らしいもの。様々なV型8気筒を試乗してきたけど、シャープさとか、レスポンスの良さは一番だと思うね。なんといってもNAでリッター100psだからね。このV8エンジンは同じ時代の他のRSでも使われていたんだ。RS用だけあって、クランクシャフトとコンロッドピストンなんかに、高精度なパーツを使い、加工も量産車とは違う精度で研磨して組み上げていたらしいんだ。4500回転を過ぎたあたりから一気に回転計の針が速くなる感じがして、しかもマフラーから奏でる音はチューニングしたエンジンの音。まさに鳥肌もんだよ。
——確かにこういうハイスペックな車をMTで乗れる機会、減りましたもんね。
松本 余談だけどこのエンジンはアウディのR8にも使われているからね。もっともカムシャフトの向きなどはミッドシップ用に変えているけど、それだけポテンシャルが高いエンジンという見方もできるよね。
——MTはどんな感じだったんですか?
松本 ゲトラグ製の6速MTは軽やかで軽快なシフトフィールだよ。このRS4はクワトロシステムが最新になっててね。とにかく動力を確実にタイヤに伝えるからコーナーがスムーズなんだ。スタビリティプログラムやデフのコントロールも秀逸。印象としてはそうだな、運転していてスタビリティの高さを感じるって言えばいいのかな。本当に「よくできたスポーツカーだな」って思わせてくれるんだ。マグネシウムのサスペンションアームを使っていたりして、レーシングカーみたいだなって当時思ったよ。
——この時代だからこそ楽しめる贅沢な車ですよねぇ。
松本 そうだね。自然吸気のメカチューンってなかなか見られなくなったよね。今じゃレクサスのスペシャルモデルぐらいじゃない? でも、このRS4はNAで420ps、しかもMT。今じゃないよ、こんな車。これぞスポーツ車両専門のquattro GmbHが作った渾身の1台だと思うな。
アウディ RS4アバント
アウディのモータースポーツなどを手掛けるquattro GmbH(2016年よりAudi Sport GmbH)が送り出すハイパフォーマンスモデルがRS。走行性能や乗り心地、積載性能などすべてが高次元な、乗用車として万能な1台となっている。 アウディ RS4アバント(2代目)の中古車を探す▼検索条件アウディ RS4アバント(2代目)×全国※カーセンサーEDGE 2021年9月号(2021年7月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています文/松本英雄、写真/岡村昌宏
【取材協力】BAY GARAGEカーセンサーEDGE.netはこちら
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
新型トヨタ [ハリアー]は歴代トップのスタイリッシュボディで登場!? 完全イメチェンで[2026]年デビューか!?
新車230万円! ホンダの「小さな高級車」に大反響!「コンパクトカーとは思えない…」「一度は乗って欲しい」の声も! 超豪華な「本革インテリア」採用で“クラス超え”実現した最新「フィットLUXE」とは
8年ぶり全面刷新! 日産「新型SUV」登場へ!? スゴイ“加速”実現する「パワフルモデル」? 流麗な“クーペボディ”採用の新たな「リーフ」どうなる?
2024年「一番盗まれたクルマ」は何だった? 3位まで「全部トヨタ車」… 愛知・埼玉・千葉は「特に警戒」必要です! どんな対策が必要? 最新の「クルマ盗難」ワーストランキング発表
静岡~埼玉直結!?「西関東連絡道路」ついに難所区間「大滝トンネル」開通秒読み! 埼玉県も「終了となります」工事報告が“完結” ついに今月完成へ
EVは長寿命だった! 平均「18.4年」でガソリン車並みの耐久性、英国の最新研究で明らかに
【日本車か外車か問題】“輸入中古車評論家”を自称していた自動車ライターが「欧州車崇拝」をやめた理由
「日本の免許」簡単に取得…なぜ? 「ホテルの住所&◯?10問」で外国人が運転できる!? 「絶対に事故が増える」と懸念の声も! 予約方式が変更へ
「プリウス」の記録を超えた!? 売れすぎで注文中止のスズキ新型「ジムニーノマド」受注再開は3年後か!? “増産体制”調整中で納期短縮に期待!
首都高「屋根の雪落として」異例の呼びかけ!? 無視すると「反則金6000円」の場合も!? 実は知られていない「雪乗せ運転」の危険とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?