■大阪のタクシーはなぜ「黒」多い?
タクシーは急いでいるときや、目的地の目の前まで行きたい場合などに便利で、利用したことがある人も多いでしょう。
そんなタクシーといえば、事業者によって色とりどりのボディカラーがあります。しかし一方で、地域によりボディカラーの事情も異なっているようです。
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全国津々浦々に存在するタクシーは、「一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会」の公式サイトによると、法人車両は17万7367台、個人タクシーは2万9649台で、約20万台近くのタクシーが全国で運用されています(2021年3月現在)。
そのうち、東京では約4万2000台、大阪では約1万7000台が走っています。
東京のタクシーはかつて黒い車両が主流だったといわれていますが、1950年代に大手タクシー会社がほかのタクシーとの差別化を図るためカラー車両を導入したところ、目立つことが評判になったことから、全国に普及していきました。
一方で、現在でも黒いタクシーが決して少ないわけではありません。
タクシー事情に詳しい東京都内の大手タクシー会社に務める現役ドライバーは以下のように話します。
「黒タク(黒いタクシー)はもともと、接客サービス向上のために、通常のタクシー車両より上級グレードの車両を使って差別化しようとはじまったのがきっかけです。フォーマルな見た目や高級感のあるシートもあって利用者からの人気も高く、その分営業収入(売上)も良かったと聞きます。
これまでは黒タクを運転できるのは、主任クラスや経験豊富なベテランドライバーのみでしたが、最近ではタクシー会社の方針としてサービス向上に努めていることから、一般の車両にも黒タクに準じた車両を使用するところが増えているようです」
そんななか、大阪ではカラフルなタクシーよりも「黒」のタクシーがかなり多いとされています。
SNSでも「東京(のタクシー)は黄色か緑なんだっけ?関西はタクシーといえばほとんど黒だと思う」「大阪のタクシーって黒多くないですか?」「関西のタクシーってほぼ黒だよね」など、大阪や関西圏では黒いタクシーが多い印象を受け、疑問に思うユーザーも少なからずいるようです。
大阪で個人タクシーを営むドライバーは過去の取材で以下のことを話します。
「黒タクは上級グレードの車両であるため、ハイヤー向けの車両と兼用できるという目的もありました。
大阪では、東京と違って完全予約制のハイヤーの需要が少ないため、普段はタクシー車両として活躍し、車体上部の行灯を取り外せばハイヤーとしても運用できる黒タクが重宝されている側面があります」
黒いタクシーとして使われているクルマが上級車種であるため、役員やVIPの送迎などのハイヤーとしての運用にも使用できますが、需要が少ないことからタクシーとハイヤーの車両を共通化して運用することで、事業者側としてはコスト削減や効率アップにつながると考えられます。
さらに、先出のドライバーは関西圏特有の事情として以下のことを話します。
「大阪は普段から派手好きといわれますが、黒に対して憧れといいますか、なんだか高級感があってシュッとしているイメージなんです。
冠婚葬祭などでタクシーを利用されるお客さまも多く、会場に乗り付けるなら高級感があるほうがいい、そんな関西人的気質もあると思います」
感覚的な問題ではありますが、カラフルなカラーのタクシーよりも、高級グレードでフォーマルな黒一色のスタイルをまとうタクシーのほうが同じ料金でも得をした気分になるのかもしれません。
ハイヤーとタクシーの共通運用化という側面以外にも、利用者からのイメージアップや満足度向上という面からも、黒いタクシーが多く採用されている理由のひとつとして考えられます。
■カラフルな東京のタクシーも「黒」増殖中?
大阪では黒いタクシーが主流のようですが、事業者によりさまざまカラーをまとう東京のタクシーでも、じつは近年ダーク系で落ち着いた色のタクシーが増えているようです。
とくに多いのはトヨタの「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」で、濃紺のタクシーを見かけるのも日常的な風景になってきています。
ジャパンタクシーは、トヨタが開発した次世代タクシーで2017年に発売。カラーバリエーションは3色を用意し、白、黒、藍色(濃紺)がありますが、都内で走る車両のほとんどが藍色です。
ジャパンタクシーが増えた理由は、国土交通省が提唱する「ユニバーサルデザインタクシー」の認定を受けた車両の導入を推進するために、1台につき60万円の補助金が受けられる制度の存在が挙げられます。
加えて、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を盛り上げるべく都独自の補助金を設定(一時は40万円)したことにより、通常より安価で新型タクシーを導入できることから続々と導入されているのです。
補助金だけではなく、車椅子や高齢者でも容易に乗車できる室内設計や、ジャパンタクシーの藍色に「東京オリンピック2020」のロゴが入った車両を都が街の景観向上のために推奨したこと、さらに藍色で高級感も感じさせることがうまくマッチしたことも、ジャパンタクシーの普及が進んでいる理由でしょう。
先出の東京都内のドライバーは以下のように話します。
「オリンピックの開催数年前から一気にジャパンタクシーが増えました。私の会社でも『四社カラー(従来車両)』はあと3台程度しかなく、すでにジャパンタクシーの新車を発注しているということなので、今後減っていくと思われます。
また、タクシー仲間の会社でもほとんどがジャパンタクシーになりつつあるようで、実際に都内で見かけるタクシーも、これまで主流だった『クラウン』や『セドリック』は減りましたね」
※ ※ ※
さまざまなボディカラーが存在していたタクシーですが、大阪では運用共通運用化の側面からすでに少なく、東京でもオリンピック大会開催をきっかけとして減少しつつあるようです。
一方で、黒い塗装の上級車種や乗りやすいタクシーの採用は利用者からは好評であるようで、交通手段としてのタクシーが今後サービス向上のためにどのように変化していくのか期待が膨らみます。
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みんなのコメント
神奈川の大学に通うようになって、草色の車を見ると、
思わず「タクシー」と条件反射で思ってしまう時期が暫くあったw
当然、一般の人の車なんですけどね、草色って滅多に見ないから