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“和製”フェラーリ308GTBがラリージャパン・ヒストリックで異彩を放つ「足回りがしなやかでキビキビ走る」と兼子オーナー

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“和製”フェラーリ308GTBがラリージャパン・ヒストリックで異彩を放つ「足回りがしなやかでキビキビ走る」と兼子オーナー

 11月6日(木)~9日(日)に愛知・岐阜を舞台に開催された『フォーラムエイト・ラリージャパン2025』。各ステージに集まった大勢のファンの前で、WRC世界ラリー選手権で戦うドライバーが熱いタイムバトルを繰り広げたが、同じステージの一部を舞台に、ALPINE CLASSIC CAR RALLY(ACCR)が主催する『フォーラムエイト・ラリージャパン・ヒストリック2025』が行われ、計13台の往年のラリーマシンがタイムを競っていた。

 そのなかでも、ひときわ異彩を放っていたのが兼子卓三/横嶋良組が走らせた75号車フェラーリ308GTBだ。フェラーリというとF1やWEC世界耐久選手権、FIA GT3などに代表されるサーキットレースのイメージが強いが、かつては1975年登場のフェラーリ308GTBをベースとしたマシンでラリーを戦っていた。ヨーロッパのクラシックラリーでは時折その姿が見られる車両だが、日本ではほとんど見かけることがないこのモデル。今回は、そんなフェラーリ308GTBでクラシックラリーを戦った兼子氏に、このマシンの背景やこだわり、乗り心地などを聞いた。

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 SCCJ日本スポーツカークラブが主催する筑波サーキットでの走行を皮切りにドライバーとしてのキャリアを開始し、競技歴は40年以上という兼子氏は、普段は徳三運輸倉庫株式会社の代表取締役を務めている。ラリードライバーとしては、ACCRのイベントにランチア・フルビアやロータス・エランなどで出走を重ね、今回のフェラーリ308GTBでの出走は5回目だそうだ。

 早速、マルティニカラーが映えるこの75号車について聞くと、「群馬県にある『エムズバンテック』(代表:諸井猛)というガレージで製作されているマシンで、同時にメンテナンスも依頼しています」と兼子氏。というのも、もともとこのフェラーリ308GTBのラリー仕様は、1970年代にオンロード仕様のフェラーリをサーキット向けにチューニングしていた『ミケロット』が手掛けたもので、当時の生産台数はわずか11台。現代では、ミケロットが手放した当時の図面や治具をもとに、各国のガレージで製作されているという状況のようだ。

 和製レプリカともいえる兼子氏の75号車フェラーリ。帯同していたメカニックによれば、純正車両と比べて手が加えられている箇所は“エンジン・ミッション以外のほぼすべて”だという。パイプフレームを追加して再構成されたシャシーや専用設計の足回り、ラリー仕様に造り替えられたコクピットなど、エレガントなイメージのフェラーリロードカーとは一線を画す野性的なラリーマシンへと生まれ変わっている。

 兼子氏はラリー仕様の308の乗り味について、自分のクルマだからと言ってひいき目を使うわけではないと前置きしたうえで、「フェラーリ308とは思えないぐらいに良いですよ」と太鼓判を押す。

「私はノーマルのフェラーリ308にも何度も乗ったことがありますが、これはまったく違います」

「まずパイプフレームのボディは剛性がありますし、その分足回りはしなやかに動いてくれます。ですので、かなりキビキビ走ることができますし、ブレーキもよく効きます。同じガレージのクルマには織戸学さんも乗られているのですが非常に高い評価でしたし、完成度は見事です」

 しかし、希少かつ長い歴史を持つクルマである以上、相応の“クセ”と付き合っていく必要がある。

「クラシックラリーとはいえ、もちろん全開で走っていますから、ミッションのギヤなどの純正パーツに負荷がかかってしまう傾向にありますね」と兼子氏。

「ギヤに関しては歯が欠けてしまうこともありますし、機関的なところの耐久性が少し弱めではありますね。だいたいラリーを走ると、どこかしらのトラブルを抱えてしまいます」

「さらに言えば、パーツを調達するのも大変です。大変というか、ポルシェやランチアなどと比べると個体数が少ないのでとにかくパーツがないです。今回も、とあるパーツは世界中を探してようやく見つけたくらいですよ」

「それでも私は昔のデイトナとかディーノとか、そういった古いフェラーリが好きで、古いフェラーリのなかには競技に出られるクルマってほとんどないですから貴重なんです」と、世話のかかる愛車を紹介してくれた。

 WRCと併催された『フォーラムエイト・ラリージャパン・ヒストリック2025』では、C3クラスで2位完走となった。筆者が実際に足を運んでいたラリー最終日の岡崎スーパー・スペシャルステージでも、多くの観客がその貴重な走行シーンに魅了されていた。兼子氏が競ったライバルはランチア・デルタやポルシェ911、フォード・エスコートMk2 RS2000、ニッサン・ブルーバードSSS-Rと往年の名車ぞろい。日本のヒストリックラリーも、WRCに肩を並べる熱気に包まれていた。

[オートスポーツweb 2025年11月14日]

文:AUTOSPORT web
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みんなのコメント

14件
  • なみかわ
    マルティニカラーのランチアラリー037が大好きですがこの308も良いです!
    ミニカーが出たら欲しいな。
  • m2_********
    ミケロットだったけか…このクルマをラリーやレースであえて使って挑戦したのは…
    ごく最近になってコレのグループ5とかあったンだと知った…288GTOやF40に繋がるンだよね…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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