運営元:旧車王
著者 :野鶴 美和
横浜赤レンガ倉庫を彩る旧車が集結!横浜クラシックカーデイ2022
去る11月5日(土)6日(日)、岡山国際サーキットにてマツダによるモーターイベント「MAZDA FAN FESTA 2022」が開催された。
コロナ禍の影響で2020年、2021年と中止となっていたため、3年ぶりの開催となった。
「共に始めよう」とキャッチコピーを掲げた「MAZDA FAN FESTA 2022」は、レースや多彩な体験型イベント、トークショー、展示などが充実。
ファンにはたまらないポイントが満載で、世代関係なく誰もが自動車の魅力に触れることができる参加型イベントだ。その初日を取材した。
サーキットは早朝からにぎわい、大勢のファンが並んだ。
レーシングコースでは本格的に走行も始まり、徐々に会場の熱気が増していった。
展示ブースには早い時間から多くの来場者が訪れ、なかでも注目を浴びていた「FD RX-7 CLASSIC MAZDA レストア展示」は、このあと詳しく紹介する。
■レーシングコースではさまざまな競技サーキットのレーシングコースでは、二日間に渡って耐久レースやナンバー付き車輌のレース、ドライビングアカデミー、デモラン、マツダ各車種のパレードランなどが行われた。
今年10周年を迎えたという「マツダファン・エンデュランス(マツ耐)」は第5戦岡山ラウンド。
岡山大会では土曜に「NORMAL系クラス」が行われ、日曜に「TUNED系クラス」が行われた。
▲走行に備える参加者
そのほかにも二日間に渡って、RX-8のワンメイクレースとしては日本最大級の「エイトリアンカップ」や、多様なマツダ車が出走する「マツダファン・サーキットトライアル(MFCT)」なども開催された。
●熱狂!ドリフトパフォーマンス2018年FORMULA DRIFT JAPANチャンピオンのマッド・マイク選手が来場。
レーシングコースのホームストレートにてパフォーマンスした。
ホームストレートの観客席からは歓声があがっていた。
また、2023年のパイクスピークへMAZDA3で参戦するという発表もあった。
▲走行するロードスターの周りを旋回してドリフトに持ち込む超絶テクニックも披露
●ハイレベルな戦い、「ロードスター・パーティレース」ロードスターのモータースポーツベース「NR-A」による、JAF公認ナンバー付きワンメイクレース「ロードスター・パーティレース」。
西日本シリーズの覇者を決める最終戦だった。
今回、岡山でのパーティレースとしては過去最多の36台がエントリーした。
▲NDシリーズは「ミノワファクトリーロードスター(箕輪卓也選手)」(左)が、NDクラブマンは「Shootingロードスター(中村進選手)」(右)が優勝を飾った
●レースで活躍中のマシンたちが疾走!「MAZDA SRIRIT RACING&パートナーズレースカー展示・デモラン」レースカーのデモランも行われた。
マツダは2021年にレーシングチーム「MAZDA SPIRIT RACING」を立ち上げている。
スピードスポーツに挑戦する人、モータースポーツに憧れている人、応援する人、モータースポーツに限らず道具を操ってスピードに挑む人をつなぎ、サポートする取り組みを行っている。
そのチームマシンをはじめとしたパートナーズレースカーたちがコースを駆け抜けた。
▲スタートしていくマシンたち
▲スーパー耐久レースへのステップアップをサポートするマシン、倶楽部 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER。今年はパーティレース出身のドライバーを中心に挑戦中だという
●愛車でタイムアタックに挑戦!「マツダファン・サーキットトライアル」「マツダファン・サーキットトライアル(MFCT)」は、自分に合ったスタイルでモータースポーツを楽しめるのが魅力だ。
JAF公認サーキットで年5戦が行われている。
今回はその第4戦。
マツダのさまざまな車種が出走し、タイムアタックに挑んでいた。
▲ランティス(ゼロウノフロンティアランティス)
▲デミオ(M8トルクディーゼルデミオ)
▲アクセラ(SKM’AXELA)
■誰もが楽しめる展示やカフェ、参加型コンテンツが盛り沢山参加型コンテンツや展示も豊富で、どのブースも盛況だった。
eスポーツを体験できるブースや、マツダワークスで活躍したレジェンドマシンの展示、RCカー体験、子ども向けのストライダースクールまで家族で楽しめるような催しが充実していた。
さらに、飲食ブースやオーナーと愛車をテーマにした写真展、ペーパークラフト作り、雑貨販売なども行われていた。
ミニコースではドライビングアカデミーやオートテスト、CX-60の同乗体験など、最新モデルにふれたり安全運転技術を学べる催しもあった。
▲マツダワークスで活躍したマシンを展示。なかでも787B(レプリカ)は人気で、一緒に記念撮影するファンも多かった
▲クラブハウスにはカフェスペースが開設されて憩いの場に。愛車をテーマにした写真展も催されていた。テラスでは雑貨販売も
■名車を未来へ!「FD RX-7 CLASSIC MAZDA レストア展示」早い時間から大勢の人が訪れていた、RX-7のレストアブース。
マツダは2017年よりロードスター(NA)のレストアサービスを開始。
その第二弾としてRX-7が検討されている。
すでに復刻パーツが一部再供給されており、現時点でFC3Sのパーツは30点、FD3Sは72点のパーツが復刻されている(いずれもエアーコントロールバルブは2023年1月発売予定)。
今回は、初日にFD3Sのホワイトボディ、二日目に塗装されたボディを展示。
レストアサービスの実現に向け、前進していることをアピールした。
▲今もロータリーエンジンの製造を継続するマツダ。ハンドメイドで製造されている
▲レストアサービス検討中のイメージとして公開されていた車体[写真提供:MAZDA]
▲ローター部品やスロットルセンサーセットなどが展示されていた
現段階では、NAロードスターに続く「第二弾」として、1台丸々できるかどうかをシミュレーション中。
再生産できない部品もあるので、リビルド品で対応するなど検討しているという。
今後の展開を、担当の西田芳伸さんに伺った。
「お客様から要望の声は大きいですが、本社で行うと台数をこなせないという問題があります。今、NAロードスターのお客様にも待っていただいている状態です。価格においてもどのくらいでスタートできるのかを検討しています。NAロードスターのときはサービス開始まで2、3年を要していますが、なるべく早く実現したいという思いはありますね」そう話す西田さんのもとには、つねにファンやRX-7のオーナーが訪れて熱く語り合う場面も見られた。
そこで、来場者にレストア事業への要望を伺ってみた。
▲商品開発企画部・西田芳伸さん
●【VOICE】「メーカーのイメージとしても良い取り組み。部品を出し続けてください」最初に話を伺ったのは、藤谷敬さんと大和基宏さんのおふたり。
藤谷さんは初代デミオ、大和さんは初代アテンザが愛車で「マツダファン・サーキットトライアル」に出場。
待ち時間に見学に来たそうだ。
藤谷さん:「部品がなくてクルマを降りてしまう人もいるなかで、このようなイメージの取り組みはマツダユーザーとしてとてもうれしいです。まだ乗り続けられるという希望が湧いてきます。私は初代デミオに乗っているのですが、ゴム部品をまだ出してくれているので助かっています。これからも純正部品を使っていきたいですね」大和さん:「他のメーカーでも部品の復刻やレストアはありますが、ここまでの規模は他にないように思います。私の初代アテンザの部品は幸いにも供給されていますが、これからも多くの車種の部品を生産し続けてほしいです」▲初代デミオ(Team枯山水デミオ)でサーキットトライアルに出場していた藤谷さん
▲初代アテンザ(どうでしょうアテンザ)でサーキットトライアルに出場していた大和さん
●【VOICE】「クラウドファンディングしてもいい。どうにか部品を出し続けてほしいです」山口裕さんは、RX-7(2001年式最終型)のオーナー。
スポーツカー好きの友人、木村裕介さんと会場を訪れていた。
ホワイトボディを前に熱心に見学するおふたりに話を伺った。
▲ホワイトボディを眺める山口さんと木村さん
山口さん:「長く乗り続けているオーナーにとっては、代わりがないかけがえのない1台です。もし部品の設計図があるならデータ化するとか、何らかの形で継続できるような体制をお願いします。特にロータリーエンジンの部品は、マツダしか作れませんから。生産し続けることが困難になったときは、クラウドファンディングしてもいいと思っています。海外とは違い、日本は旧車にいろいろと厳しいですが、そのような状況下で部品を出し続けてくれていることに感謝しています」木村さん:「部品がなくなってしまうクルマがあるなか、乗り続けられることがすばらしい。これからも必要なときに手に入る状況であるよう願っています」▲個体にもよるが、実際にレストアする場合はこの状態にするまで約10日、2~3カ月で完成という工程となるようだ
▲NAロードスターの場合は外装のみの費用が約300万円。FDはルーフもあり、個体の状態によっても価格は変わってくるため、価格決定は課題のひとつとなっているという[写真提供:MAZDA]
■取材後記今回は初日のみの取材だったが、ユーザーとの絆をイベントの随所に感じられ、マツダユーザーでなくとも、さまざまな取り組みや先進技術を知ることができるクルマ好きにはたまらない催しだった。
特に「FD RX-7 classic MAZDAレストア展示」は、いち「ネオ・クラシック」のオーナーとしても胸が熱くなった。
メーカーとの距離が近く、直接声を届けられる場所が設けられていたことに感服した。
こうした取り組みが業界の起爆剤となり、自ずと旧車に光が差す未来を想像せずにはいられなかった。
▲コースに虹。初日の午後は、にわか雨に見舞われた。筆者も含め、会場にいた大勢の人がスマホで撮影していた様子が印象的だった
[取材協力]
●岡山国際サーキット
http://www.okayama-international-circuit.jp/
●MAZDA
https://www.mazda.com/ja/innovation/MAZDA_SPIRIT_RACING/event/okayama2022
[ライター・撮影/野鶴美和]
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