もくじ
ー A3、より洗練されたクルマに
ー 改良されたMQB IIプラットフォーム
ー A3オールロードの計画も
ー ガソリン・エンジンにはマイルドハイブリッドを採用
ー 新型RS3 先代同様5気筒エンジン搭載
A3、より洗練されたクルマに
アウディのブラム・ショット会長は、2020年に発売される新型A3の製品計画を承認した。
しかしなから、第4世代のA3シリーズすべてのラインアップが出揃うのは翌年になる。その中には、423psのマイルド・ハイブリッド・パワートレインや、改良された電気油圧式四輪駆動システムを備えた新型RS3も含まれる。これはメルセデスAMGやBMW Mのライバルに対抗するモデルだ。
新型A3の発表は予定より1年以上遅れている。ディーゼル排出ガス不正問題による打撃と、アウディが完全電気自動車のeトロン・シリーズの開発を優先することに決めたためだ。
しかし、その間に新型A3には多くの改良が施された。同社の広報担当幹部がAUTOCARに示唆した内容によると、新型A3は同クラスで最も先進的なモデルとなり、洗練という点において新たなベンチマークになるだろうとのことだ。
「すべての面において改善されています。特にインテリアは、ラグジュアリー・クラスでしか見られないようなデジタル機能と上質な素材が採用されており、強力なセールスポイントになるでしょう」と、情報提供者は語った。
「より洗練させるために多くの時間を費やしました。最近のテストによると、特に乗り心地は間違いなくクラス最高であることが確認できています」
「さらに、電動化技術を組み合わせたプラグインハイブリッドは、エンジンから発生する騒音を抑えることができます。この分野は、これまで以上に重要視されています」
改良されたMQB IIプラットフォーム
社内コードネーム「AU380」と呼ばれる新型A3は、フォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォームを大幅に改良したものが使われる。
より小型のA1や車高が高いQ3に似た力強い外観になり、市場では間もなく発売されるBMWの新型1シリーズや、メルセデスAクラスの競合となる。
スチールとアルミニウムを組み合わせた車体構造は、先代A3のプラットフォームよりも軽量かつ高剛性で、特に振動や騒音を抑えることを重視して開発は行われた。
このMQB IIプラットフォームは、さらに先進的な電動化技術を組み込むことが可能だ。これにより新型A3は、予定されている7年間のモデルライフの中で、様々なマイルドハイブリッドおよびプラグインハイブリッドのドライブトレインを持つ仕様を投入することができる。
また、デジタル・インストゥルメントパネルのアウディ・ヴァーチャル・コクピットをはじめ、今後の5G回線にも対応するインターネットを介したコミュニケーション機能や、革新的な自動運転機能なども採用されるだろう。
新型A3はまず、5ドア・ハッチバックと4ドア・セダンの生産から始まる。5ドアはこれまで通り、ドイツのインゴルシュタットで生産されるが、4ドアはハンガリーのジェール工場製となる見込みだ。
A3オールロードの計画も
3ドア・ハッチバックは、主要市場における需要が少ないため廃止となった。
この決定により、新型では3ドアをベースとするカブリオレが作られない可能性もある。代わりにアウディは5ドア・ハッチバックをベースに最低地上高を引き上げ、専用のグリルとバンパー、そしてホイールアーチに樹脂製ガードを装着したA3オールロードの投入を計画しているようだ。
オールシーズンタイヤを装備し、ラフロード走行に合わせてシャシーにチューニングを施したA3オールロードは、メルセデスGLAのライバルとして、2021年末に発売される見込みだ。アウディのラインアップには、その上にSUVのQ3があり、さらにクーペ風SUVのQ3スポーツバックも近々発表されるはずだ。
新型A3では、AUTOCARが以前お伝えした新しい5ドアのリフトバックも、関係者によると順調に開発は進んでいるようだ。しかし、メルセデスCLAのライバルとなるこのモデルは、アウディの開発キャパシティに限りがあるため、登場が2021年に遅れるという情報もある。
次期型フォルクスワーゲン・ゴルフをはじめ、セアト・レオンやシュコダ・オクタヴィアの兄弟車となる新型A3は、いずれのボディスタイルでも、現行モデルよりわずかにサイズが大きくなる。ホイールベースとトレッドを拡大することで、インテリアは広くなり、クラス最大級の荷室を備えるとアウディは明言している。
車内に関しては、ダッシュボードのデザインは第2世代のQ3に似たものになり、コネクティビティも同等の機能が採用される見込みだ。その中には、インターネット回線とHEREの地図データを利用したリアルタイム・ナビゲーションも含まれる。以前はノキアの傘下だったジョイント・ベンチャーのHEREだが、現在はアウディ、BMW、メルセデスの3社が共同で運営している。
ガソリン・エンジンにはマイルドハイブリッドを採用
新型A3には数種類のガソリン、ディーゼル、天然ガスのエンジンが用意され、6速マニュアルまたは7速デュアルクラッチ式オートマティック・ギアボックスと組み合わされる。現行モデルと同様、その多くは前輪駆動だが、パワフルな高性能モデルや新しいオールロードなど、いくつかのモデルには四輪駆動のクワトロが与えられる。
ガソリン・エンジンは、フォルクスワーゲン・グループの1.5ℓ直列4気筒ターボが最高出力130psと150psの2種類、そして190psを発生するアウディ自身の2.0ℓ直列4気筒ターボが用意される。どちらのエンジンも燃費改善に力が入れられており、48Vの電装システムを使ったマイルドハイブリッドが組み合わされる。
さらに、現行のプラグインハイブリッド・モデルであるA3 eトロンの後継も開発されており、遅れて加わる見込みだ。そのバッテリー技術はアウディの電気自動車eトロンから受け継ぎ、電気のみによる航続距離が大幅に伸びると言われている。
電気自動車に多額の投資を行っているにもかかわらず、短期および中期的には依然としてディーゼルの需要も大きいとアウディは見ている。新型A3にはフォルクスワーゲン・グループ製のユーロ6に適合した3種類(138~204ps)の2.0ℓ直列4気筒ディーゼル・エンジンが用意される。
アウディの内部関係者によると、新型A3のディーゼルは12Vの電装システムとスターター/ジェネレーターを装備し、燃費が10%ほど改善されるという。さらに新開発の微粒子フィルターや、NOxの排出量を激減させるダブルSCR触媒も採用する。
新型RS3 先代同様5気筒エンジン搭載
2020年内には、四輪駆動の新型S3とRS3の投入も計画されている。S3は現行モデルの2.0ℓ直列4気筒ターボを引き継ぐが、その最高出力は330ps程度に向上する見込みだ。
新型RS3も、先代の2.5ℓ直列5気筒ガソリン・エンジンに替わり、この2.0ℓ4気筒を搭載すると伝えられており、最高出力は408ps程度になるという噂だった。さらにスターター・モーターが15psほど発揮し、合計最高出力はメルセデスAMG A 45を凌ぐ423psを発生すると言われていた。しかし、アウディはこの噂を否定。先代と同じ2.5ℓ5気筒が新型にも搭載されることを認めた。
新型RS3は改良されたマルチプレートクラッチ式の四輪駆動システムを備え、駆動力を後輪のみに100%伝えることができるドリフト・モードが用意されるという。フォード・フォーカスRSやAMG A 45と同じような仕組みだ。アウディは、他のVWグループのMQBプラットフォームを使ったモデルと差異化するため、新型A3のハンドリング性能を大幅に高めようとしている。
「標準の設定でも、他のMQBを使ったモデルよりシャープでダイレクトなハンドリングになります。しかし、ドライブ・セレクト機能を使えば、ドライバーの好みに合わせてダイナミクスをさらに高めることが可能です」と、情報提供者は言う。「われわれの明確な目標は、新型A3をクラスで最も洗練されたモデルにするだけでなく、最高のハンドリングを備えたクルマにすることです」
新型アウディA3の発売時期予想
A3 5ドア・ハッチバック:2020年初め
A3セダン:2020年中頃
A3 eトロン:2020年中頃から後期
S3ハッチバックおよびセダン:2020年代後期
RS3:2021年初め
A3リフトバック:2021年
A3オールロード:2021年中頃
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