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ランドローバー・レンジローバー CSK キングへ捧ぐ200台限定 最速の3ドア 後編

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ランドローバー・レンジローバー CSK キングへ捧ぐ200台限定 最速の3ドア 後編

1000時間を費やしボルト1本まで再生

クラシックカー・ディーラーを営むピーター・ヴァンデル・ウォルト氏のレンジローバー CSKは、英国の納屋で発見された。2003年から眠った状態だったものを、2018年にウォルトが発見したという。

【画像】レンジローバー CSK レストモッド事例は他にも 最新レンジローバーも 全67枚

「最初に詳しく見た時は落胆しました。酷く錆びていて、高すぎる金額だったと後悔したほど。レンジローバーのカスタマイズを手掛ける、オーバーフィンチ社によるクルマだと気付き、少し興奮していたんですよ」。とウォルトが振り返る。

彼は南アフリカでも、別のCSKを2台購入している。ホワイトの1台は、ラグジュアリー・グッズの販売業を営む女性へ売ったという。夫へのクリスマスプレゼントとして。

今回ご登場いただいたブラックのCSKは、シリアルナンバーが142。オーバーフィンチ社によって手が加えられた2台のうちの1台で、残る1台は現存していないようだ。

英国中部、バーミンガムの南のレディッチという街に拠点を構える、トゥエンティ・テン・エンジニアリング社によってレストアを受けたばかり。代表のフィル・ホランド氏のチームにより、2年間、1000時間を費やしてボルト1本まできれいに再生されている。

作業は、COVID-19の流行に伴う部品供給の問題で難航。加えて、ワークショップから出火し、レンジローバー数台と貴重なスペアパーツが焼けてしまう、災難にも見舞われたという。

質実的な雰囲気とはかけ離れた豪奢さ

「父は、自分が生まれる前に3ドアのレンジローバー・クラシックを購入。1995年、自分が就職した時に住んだ街から10kmも離れていない場所で、初代レンジローバーはまだ製造されていました」。と、レンジローバーとの古い関わりをホランドが説明する。

オリジナルのCSKに対しオーバーフィンチ社が加えた変更は、マフラーに一層引き締められたサスペンション、標準よりワイドなエイボン社製のタイヤなど。同社は5.7Lのシボレー社製V8に換装する手法で有名だったが、エンジンはCSKのままだという。

ローバー社製のV8は、レディッチの街から東へ離れたラターワースに構える、JEディベロップメント社によってリビルドされた。新車時より状態が良いほど。1991年に筆者はCSKの広報用車両に乗った記憶があるが、間違いなく好調だ。

ドアを開くと、豪華なカーペットが敷かれた車内から、芳醇なレザーの香りが漂ってくる。初期の頃の、質実的な雰囲気とはかけ離れた豪奢さを感じる。

傷んでいたレザーは、ホランドのワークショップの隣にあるネイションワイド・トリム社によって、丁寧に蘇った。プラスティッキーだったダッシュボードも、より高級感のある見た目に仕立て直されている。

リアシート側は、3名掛けの彫りの深いベンチシート。分割して折りたためる。荷室空間は、さほど広くはならないけれど。

明確にボディロールが少ない

最初期の頃のクラシック・レンジローバーは、運転が楽しい。だが、高速道路を用いたような長距離旅行は、本来の設計意図にはなかった。オーバードライブへシフトアップできるチャンスがあったとしても。

1970年代のモデルと比べて50馬力ほどパワーアップしたCSKは、遥かにたくましい。加えてロードノイズは低く、風切り音やトランスミッションのうなりなども静か。1990年代に、高い評価を得られたことを理解できる。

運転席からの眺めに、CSKだからという違いはない。しかし速めの速度でコーナーへ侵入すると、硬めのサスペンションとアンチロールバーのおかげで、明確にボディロールが少ない。

同乗者や対向車を不安がらせることなく、積極的に運転できる。外から眺めていると大きくボディが傾いているように思えるが、乗っているとそうは感じない。正確にレンジローバーを操れる。

ブレーキペダルは軽く踏め、制動力はABS付きで強力。シフトレバーのストロークは、乗用車のように短い。古い4速MTの、商用車のような質感とは大きな違いだ。素晴らしいレストアが施された今回のCSKは、新車時以上に楽しい。

マニアの間では特にスペシャルな1台

3ドアのレンジローバー・クラシックに対する注目は、近年高まる一方。このCSKのレストアを手掛けたホランドは、現代的なチューニングを施すメニューをいくつか用意して、需要に応えている。

レンジローバーの構造は比較的シンプルで、レストアしやすいと考えられているが、実際は異なるとホランドが話す。「通常のレンジローバーでも、かなり面倒です。サンルーフや集中ドアロックなどを装備したCSKの場合、一層複雑になります」

部品の入手も難しいそうだ。「大抵の場合は、新品として扱われる部品は新しくありません。長期間箱にしまわれていた年代物です。レストアには、専用の道具を準備する必要もあります」

「中古部品は、一般的な中古車なら問題なく使えるでしょう。でも、10万ポンド(約1520万円)のレストア車に使うわけにはいきません」

新車時のレンジローバー CSKの価格は3万ポンド。ベージュ・レザーにベルーガ・ブラックという色の組合せ以外、基本的に選択肢はなかったという。5ドアのハイスペック・モデルへ人気が集まっていた時代、200台限定でも販売は簡単ではなかった。

しかし現在は、3ドアのレンジローバー・クラシックとして最も希少で速いCSKは、マニアの間では特にスペシャルな1台と化している。たとえ15万ポンド(約2280万円)の値札が付いていても、すぐに温かいガレージが見つかるのだろう。

ランドローバー・レンジローバー CSKのスペック(1991年/英国仕様)

英国価格:2万8995ポンド(新車時)/15万ポンド(約2280万円)以下(現在)
生産台数:200台
全長:4470mm
全幅:1778mm
全高:1778mm
最高速度:183km/h
0-97km/h加速:9.5秒
燃費:5.3-7.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:2012kg
パワートレイン:V型8気筒3947cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:187ps/4750rpm
最大トルク:32.4kg-m/2600rpm
ギアボックス:5速マニュアル/4速オートマティック

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