ホセ-マリア・ロペスやエステバン・グエリエリ、ネストール・ジロラミらを輩出したアルゼンチン最大のツーリングカー選手権スーパーTC2000(STC2000)に、2019年シーズンから新規ワークス参戦を果たすフィアットは、今季から導入が予定されているフランス・オレカ製の直列4気筒直噴ターボを搭載するニューマシン、フィアット・ティーポS2000のシェイクダウンを行った。
2019年シーズンのSTC2000では、昨季まで使用されてきた2700ccの超軽量自然吸気V8エンジンに代わって、今季からオレカ製の直列4気筒直噴ターボを採用することが決まり、シリーズの技術部門はこのオフシーズンにオレカのダイナモ設備に通い、その開発進捗を見守ってきた。
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そして2月にはベンチでのテストが最終段階を迎え、こちらはキャリーオーバーとなるXトラック製の6速共通ギヤボックスとともに、新型直噴ターボを今季からワークス参戦を果たすフィアット・レーシングチームの新型モデル、ティーポS2000にインストール。
そのシェイクダウンテストには、昨季までTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナに所属していたダミアン・フィネンチが起用され、シリーズを代表する形で新開発ターボの初期作動確認を担当することとなった。
アルゼンチン北東部、メソポタミア地域のエントレ・リオス州に位置するパラナ・サーキットに運び込まれた新型エンジン搭載のニューモデルは、フィアット・レーシングチームを運営するDTAレーシングの首脳陣を前にセッション開始早々にインスタレーションラップを完了すると、ホームストレートを通過することなくインアウトのチェック走行を順調にこなしていく。
午後に入るとショートカットレイアウトで5ラップ、フルレイアウトで5ラップ。そして終盤には連続20周の模擬スプリントを敢行し、大きなトラブルなくすべてのパラメータが規定値内に収まったこともあり、シェイクダウンテストは成功裏に終了した。
アルゼンチン上陸100周年のメモリアルイヤーにSTC2000挑戦を決めたフィアットは、昨季まではグループPSAのバックアップを受け、チーム・プジョー・トタル・アルゼンティーナとしてSTC2000に参戦してきたDTAレーシングとジョイントしての参戦となる。
そのフィアットDTAレーシングの代表を務めるウリセス・アルメリーニは、シェイクダウンテストの成功を受け「このエンジンはSTC2000にとって明らかにダイヤモンドの原石になる」と表現した。
「テストはとてもポジティブなものだった。この新型マシンはヨーロッパ最新モードと呼ぶべきエクステリアをまとっていて、最新のツーリングカーとしてその審美眼に耐える仕上がりになった。そのマシンが(タービンの)インペラーを持つ新たなエンジンで走り始めたことは大きなステップであり、その歴史的一歩を我々フィアットが担えたことを心から光栄に思う」
また、オレカでの開発テストでも陣頭指揮を執り、このシェイクダウンテストにも帯同したSTC2000シリーズのスポーティングディレクター、エドガルド・フェルナンデスは「オレカとの技術開発の行程と、そのテスト結果にはとても満足している」と語った。
「このシェイクダウンで車載状態での作動環境に対して、我々とオレカが設定した水温、油圧、ブーストなどのパラメータがすべて期待していた範囲内に収まったことが確認できた。今後、3月中にも5基の新エンジンがブエノスアイレスに到着する予定で、各チームに支給してそれぞれのテストプログラムを開始することになるだろう」
また、2019年型フィアット・ティーポS2000のステアリングを握ったフィネンチは、同時に今季から改定された新フロントエアロの感触にも言及し、オーバーテイク促進のためにレスダウンフォース仕様となったフロントのボディワークにより「ドライバーは慣れが必要になる」とコメントした。
「新しいS2000マシンをドライブできて興奮したよ。明らかにフロントの空力荷重が減少していて、最初はその違いに慣れる必要があった。でもその後はステアリングの感触も良く、タイヤのグリップを感じながらドライブすることができた」
「これがマシンと新エンジンにとっての初走行だし、チームは今後もハードワークを続けるだろう。まだまだ進化するだろうし、このカテゴリーにとって大きな進化を果たす良いシーズンになりそうだね」
フィネンチ自身、2019年シーズンに向けTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナへの残留はまだ発表されていないが、フィアットDTAレーシングはすでにドライバーラインアップを発表済みで、昨季までのプジョー・ワークス時代からチームに所属していたマリアーノ・ウェルナー、ファビアン・シャナンツォーニ、マティアス-ムニョス・マルケージの3名でシリーズを戦うことになっている。
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