ホンダは2023年11月16日、2023年12月に発表、2024年初発売予定の新型コンパクトSUV「WR-V」を公式特設サイト( http://www.honda.co.jp/WR-V/new/ )で先行公開した。今回その実車を確認することができたため、内外装を中心に第一印象を報告したい。
日本導入初のインド生産モデルは、カジュアルなエントリーSUV
実は今回公開されたWR-Vの生産国はインドである。もっとも、2021年に開発が始まった時点ですでに、日本導入も視野に入れた日印同時開発が行われたという。ちなみにインドではひと足先に2023年6月に「エレベイト」という名前で同車がデビューしているため、日本には少し遅れてやって来たというわけだ。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
WR-Vが担う立ち位置は、価格帯がヴェゼルより少し下にある「250万円以下」の市場。となると小さくて狭いのでは、と想像されるが実は違う。WR-Vのボディサイズ(暫定値)は全長×全幅×全高=4325×1790×1650mm。ということでヴェゼルと長さと幅はほとんど同じで、むしろ全高が70mmも高いという具合だ。
価格が安いポイントはずばりパワートレーン。詳細はまだ未発表なのだが、WR-Vは1.5L NAのガソリンモデルのみの設定となる。ハイブリッド「e:HEV」の搭載が期待されたが、このWR-Vが担うエントリーSUVとしてのポジションには不要。むしろ、充実した装備や広大な室内空間をより手に届きやすい価格でユーザーに提供する、という潔さを感じて好印象だ。
堂々とした力強いデザインは、アウトドアがよく似合う
WR-Vのエクステリアはたくましさと自信を感じさせる力強いデザインが特徴。実車を目の当たりにすると、高く配置したベルトラインと厚みのあるボディ造形は、コンパクトSUVとは思えない堂々さがあった。
WR-Vのライバルは、目指す方向性の近さという意味で、ずばりトヨタ ライズ/ダイハツ ロッキーなどが想像される。もっともあちらは5ナンバーサイズということもあって、それと比べるとハッキリとボディが大きかった。
インテリアも、スペック表に記載された寸法からイメージされるものよりも、広く感じられた。
デザインは水平基調で飽きのこないシンプルさが特徴で、とくに横方向の広さが印象的だ。ホンダらしく視界がとても良いこともポイント。ボンネットフードの両端が角ばっているため、ボディ先端との距離感が掴みやすそうだった。
さらに注目なのが、全体的にアクティブでタフな雰囲気を感じるデザインである一方で、エントリーSUVとは思わせない質感の高さがあることだ。アームレストをはじめ、人が触れる数多くのパーツには柔らかな素材を多用しており、クラスを超えた静的質感をまとう。
クラストップレベルの積載性、快適で広々としたリアシート
アクティブに使いこなすのが似合うSUVらしく、ラゲッジルームの積載性も抜群だ。トランク容量はクラストップレベルの458Lを実現。通常時でスーツケースを4個タテに積んだり、ゴルフバッグを2個ヨコに積むことが可能だ。さらに床下収納やコンビニフックも備えており、用途に応じた使い勝手を実現している。
リアシートは60:40の分割可倒式なのだが、実はこれヴェゼルのようなダイブダウン機構ではなく倒してもシート段差があってフラットにならない。けれどこれは、WR-Vが後席の居住空間を特に優先した結果だという。
というのもこのクルマ、とにかくリアシートの座り心地にこだわっている。実際に座ってみるとサイズも大きく、クッションにとても厚みがある。ホイールベースを長く確保しているため足元空間も広い。
なぜこれほど後席にこだわっているのか、それには理由があった。
開発の拠点となったインドでは、自家用車を週末に利用する際に運転手を雇ってオーナーはリアシートでくつろぎながら移動する、というニーズが多いそう。したがって、このWR-V(インドではエレベイト)を購入してリアシートを利用する頻度が高い人のために、居住性にこだわったのだ。
しかし同時に日本においても、コンパクトSUVセグメントにおける多人数乗車が多いそう。休日は友人を乗せてドライブにでかけたり、子育てを終えた世代が孫を後ろに乗せるなど、ニーズはたくさんある。
すなわち日本とインドで異なるニーズの中で生まれた共通点「後席空間への配慮」というものがWR-Vの開発で重要だったのだ。そしてその具現化は実車を確認した結果、確実なものだった。
コストパフォーマンスが魅力のコンパクトSUVは日本で売れること間違いなし
ホンダの独自調査によると、過去10年間でSUV市場のセグメントシェアは4倍に成長したという。また他のボディタイプからSUVへの買い替え意向の高まりも年々増加している。
したがってホンダはZR-V、ヴェゼルでは補うことができない「250万円以下の市場」へWR-Vを投入することで、大人気のSUVマーケットでのさらなるシェア拡大を狙っている。
今回実車を目の当たりにして、その商品力の高さ、すなわち「コスパの良さ」というものを存分に感じることができた。自動車の価格が軒並み上がっているなかで、装備が充実したコンパクトSUVを200万円前半で手に入れられるというのはむしろ貴重といえるだろう。
近頃の、ハイブリッドグレードを選択しないと上級装備が付けられないといった通説は、WR-Vには通用しない。安いけど安っぽくない仕上がり、これは間違いなく売れるだろうなと強く感じた。
さらに今回は、詳しいWR-Vの車両解説動画をモーターマガジンMovieで公開中なので、ぜひチェックしてほしい。
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みんなのコメント
凍結した坂道の信号で効果を実感できる程度でいいんだが・・・
ただヴェゼルはマイチェンでドンと価格アップして250万程度になるか
もしくはグレードが消滅するかも?