ニュル最速を目指すEVハイパーカー
ポルシェは、ブランド創立75周年を記念して開発されたハイパーカー・コンセプト「ミッションX」を、7月13日開幕の英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023で公開した。カレラGTや918スパイダーの後継モデルとなる可能性を秘めている。
【画像】ポルシェ最速の次世代ハイパーカー【ミッションXコンセプトをライバルのメルセデスAMGワンと写真で比較】 全46枚
ポルシェ・ミッションXは、高性能な電動パワートレインを搭載する軽量「スーパー・スポーツカー」を目指したものだ。後輪駆動の2シーターで、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで市販車最速記録の達成を目標としている。
「ミッションX」という名称は、タイカン(2019年発売)を予告した2015年のミッションEコンセプトや、718ボクスター/ケイマンのEV版(2025年頃に発売見込み)を予告する2021年のミッションRコンセプトを踏襲したネーミングだ。
これらのタイムラインに基づけば、ミッションXをベースにした市販車が登場するのは、2027年頃となりそうだ。ポルシェが独自に開発しており、ポルシェが株式を保有するクロアチアのEVメーカー、リマックとは無関係であると考えられている。
最高出力は1500ps近く?
ミッションXのボディサイズは全長約4500mm、全幅約2000mm、全高1200mm未満、ホイールベース2730mm。フロント20インチ、リア21インチのホイールを装着し、エアロダイナミクスを重視したエクステリアデザインとなっている。
ポルシェはパワートレインに関する詳細を明かしていないが、「技術的ビジョン」を掲げ、エンジニアが量産にこぎつけるために達成すべき一連の開発目標を示している。その中にはニュルブルクリンクのラップタイム更新も含まれ、現在の記録保持車であるメルセデスAMGワン(6分35秒18)を超えようとしている。
ミッションXは効率性と軽量設計に重点を置き、パワーウェイトレシオは1kgあたり1psを想定する。目標重量は明らかにされていないが、現行の911に近い約1400~1500kgになると思われる。その場合、パワーウェイトレシオから最高出力は1500ps近くになる計算だ。
バッテリーは座席の後ろ、つまり従来のミドシップ車のエンジンが置かれる場所に配置される。このレイアウトは「Eコア」と呼ばれ、以前のミッションRコンセプトでも同じアプローチが見られた。質量を集中させてハンドリングを向上させるとともに、一般的なスケートボード型シャシーよりも低いボディ設計が可能となる。
また、ダウンフォースについては現行の911 GT3 RS(285km/hの速度で最大860kg)を「はるかに超える」ことも、開発上の目標とされている。
サーキット走行前提の設計
また、900Vアーキテクチャーによる充電性能の「大幅向上」も目指し、タイカンの2倍の充電速度が目標だという。タイカンは最大225kWで充電できるため、ミッションXでは450kWを目指していることになる。このような急速充電が実現すれば、比較的小型のバッテリーでも十分対応できるようになり、軽量化につながると期待される。
バッテリーの種類やサイズについては今のところ未公表だが、モータースポーツ用の高性能ユニットを検討中と思われる。
ミッションXのスタイリングは、パフォーマンスと「モダンラグジュアリー」の融合を意図したもので、耐久レースのスポーツプロトタイプに影響を受けたデザイン要素が数多く見受けられる。
炭素繊維強化プラスチック製の外骨格を持ち、耐久レーサー風のドアがAピラーに固定され、前方と上方に開くようになっている。
4灯式のLEDヘッドライトを備え、リアにはフルワイドのライトユニットと、イルミネーション付きの「PORSCHE」のレタリングがある。リアホイールのエアロブレードはタービンのようなデザインで、リアブレーキの冷却性能を向上させている。
インテリアでは、モータースポーツ式の非対称レイアウトと、それぞれのシートに異なるカラーを採用することで、ドライバー中心の設計を強調している。また、ステアリングホイールにはパドルシフトが装着されている。
サーキットでの走行映像を記録するため、多数のカメラが内蔵されており、マルチパーパスコントローラーの専用ボタンで操作できる。
また、助手席側のインストゥルメントパネルには、ストップウォッチモジュールを固定できる「バヨネット・システム」が組み込まれており、公道走行時やサーキット走行時にラップタイムなどの走行データを得ることができる。
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