シーズオフ恒例となっている、鈴鹿サーキットでのスーパーフォーミュラの合同/ルーキーテスト。今年は総勢32名ものドライバーが参加するが、なかでも一番の注目ドライバーといえるのが、2023年のFIA F2チャンピオンに輝いたテオ・プルシェールだ。
今季F2にはARTグランプリから参戦したほか、アルファロメオF1チームのリザーブドライバーも務めているプルシェール。F2では1勝に留まるも、毎回安定して上位フィニッシュを記録し、シリーズチャンピオンに輝いた。そして今回、彼はITOCHU ENEX TEAM IMPULからスーパーフォーミュラのテストに初めて出走する。走行前日の12月5日、鈴鹿入りしたプルシェールに話を聞いた。
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■「欧州とどう違うのか。新たな発見をしていきたい」
20歳・フランス出身のプルシェール、実は今回が初来日とのことで東京観光を楽しむ姿が自身のSNSに投稿されていた。鈴鹿サーキット入りすると、チームスタッフへの挨拶やシート合わせなど、慌ただしく準備をこなしていたが、翌日からの走行が楽しみなのか、終始笑顔が絶えない様子だった。
「この機会を得られたことを嬉しく思っている。新しい国や文化を見て知っていくことができるし、ずっと日本に来たいなと思っていたからすごく嬉しい。僕にとってはチーム、クルマ、サーキットなど初めての経験になるものばかりだけど、すごく楽しみな2日間になると思っている」と目を輝かせるプルシェール。
2023シーズンは、かつてF2でライバルだったリアム・ローソンが日本で活躍していたこともあり、レースの模様は逐一チェックしていたという。「スーパーフォーミュラはF2より速いし、開催コースも素晴らしい」と、走行前からポジティブな印象を持っているようだ。
「スーパーフォーミュラは、僕のキャリアの中で素晴らしいオプションのひとつだと思っている。実は、昨年もここに来たいなと思って、関係者と話をしていたけど、最終的にF2でチャンピオンを目指して戦っていくことになった。結果的にその選択は正しかったけど、今はF1にステップアップする機会がないなかで、スーパーフォーミュラのテストに挑戦するというのは素晴らしい機会だと思っている。クルマは速いし、シリーズのレベルも非常に高い。だから、僕にとっては素晴らしいカテゴリーだと思っている」
「世界的に見ると、一般的にはスーパーフォーミュラというシリーズが浸透していないような部分も感じるが、僕たちレーシングドライバーは(スーパーフォーミュラが)世界の中で最もコンペティティブな選手権であるということを知っている。コースも非常に難しいし、手強い日本人ドライバーがたくさんいる。そこに立ち向かっていくのは簡単ではないけど、まずは2日間のテストで自分ができるベストを尽くしたい」
さらにプルシェールは、スーパーフォーミュラのマシンに乗れるということだけではなく、多くのF1ドライバーが高く評価する鈴鹿サーキットを実際に走れるという点も、楽しみにしていると語る。
「F1カレンダーのなかでもっとも難しいコースのひとつだと思う。何人かのF1ドライバーと話した中で、必ず出てくるのが『鈴鹿は素晴らしいコースだ』という言葉だ」とプルシェール。
「今年、アルファロメオでシミュレータードライブを担当して、クルマのセットアップをいろいろ試すなど、チームのサポートをしていたんだ。だから、鈴鹿は(シミュレーターで)たくさん走ったけど、スーパーフォーミュラで走る鈴鹿はきっと感覚が違うだろう。今回、実際に走ることができるから、それが何より楽しみだ。特に最初のセクターが好きだね。ターン1・2と入っていって、そこから次々とコーナーが現れる。ある意味で“クレイジー”な区間だけど、そのあたりはシミュレーターでコースを覚えているから、それも役立てたい」と、取材中も終始笑顔が絶えなかったのが印象的だった。
なお、今回のテストはカーナンバー19でのエントリーとなるが、平川亮が今季使用していた車体を使うとのこと。エンジニアも、これまで平川を担当してきた大駅俊臣氏が担当する。
今回のテストにはルーキードライバーのみが参加できる3日目のセッションもあるが、プルシェールは週末にFIAの年間表彰式が控えているため、2日目のセッションが終わったら日本を離れるという。改めてテストへの意気込みを問うと、次のように語った。
「まずは、このクルマに対して自信を持ちたい。スーパーフォーミュラにはF1やF2とはまったく異なる要素がある。特にF2との大きな違いはパワーステアリングで、それに慣れることが自分のなかで今回一番のトピックだ。F1の走行では経験したけど、(パワーステアリングを)しっかりとものにすることができなかった」
「あとはタイヤも、これまで僕が経験してきたものとは異なる。グリップレベルを理解した上で、予選・決勝のシミュレーションもしていきたい。とにかく、このチームを通して、日本のレース文化やチームの動き方が、ヨーロッパのそれと比べて、どう違うのか。新たな発見をしていきたいんだ」
F2チャンピオンが、初めてのマシンとコースをどう攻略するのか。目が離せない2日間になりそうだ。
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