クルマの「電化」が徐々に進む電動化過渡期の今、巷の自動車好きの間で「最強」と謳われるのがPHEV(プラグインハイブリッド)。内燃機関エンジン+モーターのハイブリッドカーと100%モーター駆動のBEVのいいとこ取りをしているからというのがその理由。そこで、SUVのPHEV4台を集めて、街中で実用的なテストを敢行した!!
※本稿は2023年4月のものです
文/橋本洋平、写真/ベストカー編集部、撮影/中里慎一郎
初出:『ベストカー』2023年5月10日号
現代の「最強グルマ」の実力とは!? 4台のSUVタイプPHEVを街乗りテスト!!
■SUVのPHEV街乗りテスト!!
エンジン排気量、モーターの出力、数ともそれぞれ違う
PHEVはEV走行ができて、万一の電欠時でもエンジンで走れるが、ハードルが高いと感じている人も多いのではないだろうか。
本企画では、PHEVの街中での実用性をテストするために、気になっている人も多いであろう人気SUV、トヨタハリアーPHEV、三菱アウトランダーPHEV、マツダCX-60 PHEVの日本車勢に加え、ジープラングラー4×eをテスト車として用意。
ゼロ発進加速、中間加速、室内騒音、電費の計測、そして橋本洋平氏による試乗で各車の街中での性能を細かくチェックしたぞ!!
■ハリアーPHEVの街中性能は!?
街中を走りだしてすぐにそのスムーズさとクセのなさでとても運転しやすいのが誰にも体感できるハリアー。車内からの視界がよく街中を走っていて爽快
●街中を走ってどうなの?
パワーユニットはRAV4のものを踏襲するハリアー。フロントのモーター出力はハイブリッド系とは異なりパワーもトルクも引き上げられているが、基本的にはトヨタのハイブリッドカーそのものの扱いやすさがあり、クセのない出力特性だ。
ブラインドテストをしたら、ハリアーだと言い当てられるか否か。プリウスから脈々と受け継がれた世界観は相変わらず。アクセルの反応もいつものアレだ。
結果、電費は優れるし俊敏さは備えているしと、あらゆるシーンで優等生ぶりを発揮! いやはや、もやはこれはニッポンの伝統芸能かと思えるほどである。
ただ、ブレーキのコントロール性にややクセを抱えているところは少し残念。
初期がカクッと効き出すこと。また、完全停止を静かに止めようと狙った際に、ブレーキペダルの踏力を抜こうとすると、それに追従してくれないところが気になる。回生ブレーキとパッドとの協調など難しさはあるのだろうが、そろそろ改善して欲しい部分だ。
●街中でのハンドリングは?
シャシーの仕上がりは明らかにオンロード重視でフラットに走ってくれる。足回りが引き締められた感覚があり、うねりや突起を乗り越した際の収束は一発でピシッと収める系。いつまでもだらしなく動いているタイプではない。おかげでハンドリングは街中でも軽快さが際立つ。4台中最軽量が効いたか!?
わりと小径に収められたステアリング、そしてアップライトに座って見切りがいいこともあって、音羽ニュルのような狭く険しい(?)ワインディングコースでも手の内に収めやすい感覚があった。
●どんな人にオススメ?
だからこそあえて言おう。これは最高の下駄グルマだ! SUVを意識することなく、そしてPHEVであることも感じさせない。万人が納得できる一台だと感じた。
トヨタ ハリアーPHEV Z 主要諸元&テスト結果
とにかく速い!! 加速性能は今回テストした4台でナンバーワン。室内音も静かだが、エンジン音はややチープ。普通に街中を流して走っているぶんにはまずエンジンはかからない。電費も及第点だ。
■アウトランダーPHEVの街中性能は!?
究極のオフロード性能を実現しているアウトランダーPHEVは、そのセッティングが街中での走行にも影響している。特に乗り心地面では当たりが柔らかい
●街中を走ってどうなの?
SUV+PHEVのパイオニアであるアウトランダーは、現行型に進化してボディを拡大。旧型で達成できなかった7人乗り仕様を登場させるなど、いろいろと充実してきた。
ただ、おかげで重量はラングラーに続く2番目に重たい2110kg。それに対応するかのようにタイヤ&ホイールはナント20インチである。街乗りでこのあたりがどう出るのかは興味深い。
走り出すと反応が急激ではなく、踏み始めが穏やかで扱いやすいところが印象的。重たい車体がジワっと動いて行く感覚は軽快さとは対極にあるが、それが逆に優雅な感覚にさせてくれるところもある。だが、後半の伸び感があり爽快さも得られるから嬉しい。
●街中での乗り心地は?
シャシーは悪路重視の印象で、柔らかくゆったり。それはストロークを確保したかったという理由もあるのだろう。20インチ装着のせいか、突起の乗り越しなどではフロント側がガツンとやられることもあったが、基本的にはフワッとあたりが柔らかい感覚がいつまでも続いている。
EV走行を続ける限りはモーターやインバータの音はうまく抑えられており、嫌味のないスッキリとした感覚だ。ゆりかごで静かに運ばれているかのようなフィーリングはグッド。ブレーキは停止寸前に扱いにくさが残っていた。
低速では大きめのステアリングを素早く回すことが要求されたりと、路地裏では扱いにくいところもあったが、あのゆったりどっしり感があるのなら許せるか!? 結果としてハンドリングは、やや大味な感覚で、ゆったりじんわり動く感覚が乗り心地同様に続いている。
●どんな人にオススメ?
あくまでも悪路を前提とした立ち振る舞いは、本格的に雪やダートに立ち向かうアウトドア派にオススメ。ソフトな乗り味が好きな人にもピッタリだ。
三菱 アウトランダーPHEV P 主要諸元&テスト結果
重量級ボディながらモーターらしいスムーズな加速が魅力。急な負荷などをかけない限りエンジンはほぼかからず。エンジン始動時も音は不快ではない。今回テストして電費の達成率はナンバーワン!!
■CX-60PHEVの街中性能は!?
まだ煮詰めは必要だが、走りの愉しさを追求するマツダ独自のアプローチが随所に感じられる
●街中を走ってどうなの?
EV化へ向かう昨今のクルマたちは、没個性になるのではと危惧していたが、このクルマに乗るとそんな心配が取り越し苦労であったことに気付かされるくらいに味が濃く、いい意味でクセがたまらない。
まず驚いたのがインバータやモーターの音だ。まるでエンジンが吹け上がるかのように感じさせてくれるのだ。
それが狙いなのか否かは定かじゃないが、シューン、シューンと発するその音は、初めは耳障りだと感じていたにもかかわらず、乗るほどに病みつきになっている自分に気づく。
そこにシフトアップが加わっていくのだ。街乗りであったとしてもテンポよくシフトアップを繰り返す。この合わせ技はまるで京急電鉄のドレミファインバータを思い起こさせてくれる。
ただ、登り坂で低速走行だったりすると、ギアが1速と2速を迷ったりしてギクシャクしてしまうなど、まだアラが出てしまうが、それもセッティングが煮詰まってくればクリアしていけるのだろう。
こうした独特な作りのせいか、電費も達成率も悪いという結果になってしまったが、面白さや可能性を感じたことは事実。モーター走行だってこうすれば面白いでしょ? と訴えかけているかのようだ。
●街中での乗り心地は?
乗り心地については低速であってもバウンシングや突き上げが感じられ、一体感のない動きは改善してほしいポイント。けれどもハンドリング自体はステアリングが重すぎるところが気になったが、面白さには繋がっているようにも感じる。
また、ブレーキのダイレクト感やコントロール性はピカイチで、綺麗に停止できたところが心地よかった。
●どんな人にオススメ?
どこまで行ってもやはり走りの愉しさを追求したいと思える仕上がりをしていたから、このクルマは走り好きに選んでほしい一台だ。
マツダ CX-60 プレミアムモダン 主要諸元&テスト結果
加速性能については、タイムはライバルに劣るが、数字以上の気持ちよさがある。それは室内に入ってくる音とも影響があり、マツダ車らしくスポーツ心を掻き立ててくれる。電費面では少々厳しい感じ。
■ジープラングラー4×eの街中性能は!?
ラダーフレーム特有の遅れもダルではなく街中で心地よく感じる
●街中を走ってどうなの?
車両価格が1000万円オーバーと、やや反則気味なジープラングラー。それ以外にも、唯一のラダーフレームだったり、おかげで重量が2350kgもあったり、はたまた全幅は1930mmだったりと、何もかもが規格外。
今回のPHEV企画としては特化していてほしかったEV走行可能距離(WLTC)は42kmと4車中最も短い。
だが、そんな細かな話はどうでもいいと思えるくらい、このクルマはキャラクターが濃いところだらけだ。
走り始めて驚いたというか、改めて気付かされたのは、このクルマが電費だとか環境だとかを第一に考えてはいないということだった。あくまでも目的は悪路走破性なのだ。
だからタイヤはオフロードを考えたゴツいものを履き、結果として走り出すとパワーユニットは静かなのに、いきなりタイヤのパターンノイズがごろごろと車室内に襲ってくるのだ。確かに、モーター走行するクルマはほかの音が気になると言うが、それを隠そうともせず、むしろ全面に押し出してくる。
モーターは、力強さはそれほどないが、踏めばきちんと応答する感覚。アクセルはオフした瞬間から減速感が大きく、ほぼワンペダルで走れてしまいそうだ。
●乗り心地は?
乗り心地はあくまでマイルド。ラダーフレームらしい独特の応答遅れや入力のいなし、前述したタイヤのたわみを利用して突起を見事にクリア。うねりも上手く収めて重さもいい方向に作用している。
取り回しは全幅1930mmであるため言わずもがな。ちょっと慣れが必要だろう。
●どんな人にオススメ?
扱いにくかろうが、うるさかろうが、これに乗りたいんだと思える人が選ぶべき一台であることに変わりはない。PHEV化したが、日和っていないところがグッド!
ジープ ラングラー4×e主要諸元&テスト結果
超重量級ボディにより速くはないが、起動トルクの立ち上がりは4車で一番。タイヤノイズが大きいが、これがジープ!! 電費は表示されないが、ドライブモードを切り替えてEV走行可能距離を伸ばせる。
■色々キャラがあって面白い!!
それぞれに個性を発揮した今回の車両たち。まだまだクルマに夢が持てるのだと感じたテストだった
音羽ニュルを主戦場として比較が行われた今回の試乗を振り返ると、まだまだクルマの個性は失われそうにないなと思えたことが何よりも大収穫だった。
あまり特徴がないと踏んでいたハリアーは扱いやすさやキビキビとした身のこなし、さらにはクセを出さないアクセルの反応などが逆に個性的。アウトランダーはオフロード前提にしたことがゆったり感にも繋がり、意外にも都会にマッチするかもと思えたことが面白かった。
そしてCX-60はやはりSUVだのPHEVだの言っても走りを大切にしたかったことが肌で伝わってきた。ラングラーは相変わらずのアメリカンオフローダーぶりにホッとしたし、笑顔になれたことが嬉しかった。
もうクルマに夢が持てないのではないかと考えたこともあったが、このクルマたちを見ていると決してそんなことはないのだと背中を押されたような気分だ。PHEVでそんなことが、しかも街中で見えてくるとは……。音羽ニュル恐るべし!?
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