この記事をまとめると
■ロールスロイスのオープンモデルを紹介
ブランド史上初の電気自動車は 400年以上の使用に値する 250万kmのテストを実施 ! ロールス・ロイスよりスーパー・クーペ「スペクター」が登場
■同社ではオープンモデルのことを「ドロップヘッドクーペ」と呼ぶ
■現在は「ドーン」というモデル名で生産が続けられている
ロールスロイスのオープンモデルの歴史
超高級車メーカーとしてクルマ好きはもちろん、自動車に興味がない人にもおなじみのロールスロイス。同社のモデルとしては、ファントムやゴーストなどのセダンをイメージする人が多いでしょうが、クーペやオープントップモデルも数多くラインアップしてきました。
今回はロールスロイスが「ドロップヘッドクーペ」と呼ぶ、歴代オープントップモデルを紹介していきましょう。
コーニッシュ(コーニッシュI~IV:1971~1996年)
多くの人がロールス・ロイスのオープンカーと聞かれてイメージするのはコーニッシュではないでしょうか。
コーニッシュの成り立ちは4ドアセダンのシルバーシャドウをベースにクーペボディ化したモデル。1967年に「シルバーシャドウ・マリナー(ミュリナー)・パークウォード製ドロップヘッドクーペ」としてデビューしましたが、1971年にコーニッシュと車名が変更されました。
そもそもの車名通り、同車の生産はコーチビルダーであるマリナー(ミュリナー)・パークウォードが担当。当時は同じグループだったベントレーでも販売されています。
外観はベースとなったシルバーシャドウに似ていますが、クーペらしい端正なフォルム。また、シルバーシャドウより製作時間をほぼ2倍かけるなど、熟練の工員がアルミパネルを叩いて仕上げるなど、1台1台がハンドメイドで組み立てられていました。
コーニッシュはオープンモデル(正式名称はドロップヘッドクーペ)とともに、当初はクーペ(正式名称はスポーツサルーン)もラインアップ。ただし、クーペは1982年にラインアップ落ちしています。
同車のパワーユニットは6.75リッター(6747cc)V8OHVエンジンを搭載。このエンジンにGM製の3速ATを組み合わせました。
少量生産のパーソナルモデルだったコーニッシュですが、デビュー後、数々の改良が加えられていきます(改良後のモデルをコーニッシュII、コーニッシュIII、コーニッシュIVと表記することもあります)。
1975年にベースとなったシルバーシャドウが「シルバーシャドウII」へモデルチェンジしたことにより、同車のステアリングシステムや空調システムなどを採用するマイナーチェンジを実施。
その後、シートやダッシュボードの変更、エアバッグの装備、製造工場の変更などを経て、1995年にはターボエンジンが搭載されたコーニッシュSが登場。同車がコーニッシュとしては最後のモデルとなりました。
コーニッシュといえば日本でも知名度が高いモデルですが、その名が大きく知れ渡ったのが2018年の新聞報道。「即位の礼」や「結婚の儀」のパレードに使用された宮内庁所有のコーニッシュが走行不能になっているとのニュースです。
※写真は市販のコーニッシュII
その後、現在までにコーニッシュがどうなったかの続報は入っていませんが、皇族が使用するほど格式が高いクルマであることが日本中に知れわたりました。
コーニッシュ(コーニッシュV:2000~2003年)
コーニッシュの名が途絶えて約4年後に登場した新世代コーニッシュ。とはいえ同車は謎が多いクルマでした。
4ドアセダンのシルヴァーセラフと外観は似ていますが、ボディはまったく別物。正式にはアナウンスされていないようですが、ベントレー・アズールをベースに仕立てられていたようです。
パワーユニットはアズール同様、6.75リッターのV8ターボエンジンを搭載。ただ、最高出力はアズールが405馬力だったことに対して、乗り心地を重視するため325馬力に変更されました。
とはいえ0-100km/hは8.5秒と、巨大なボディ(全長5405mm)を俊敏に走らせる動力性能を備えています。
先代コーニッシュ同様、ハンドメイドで仕立てられる同車は、レザーやウッドをふんだんに使用する贅沢な内装がウリ。しかも、デュアルエアバッグ、トラクションコントロール、プリテンショナー付きシートベルトなど、当時としては先進的な安全装備を備えていました。
ただ、初代と比べあまり語られることがないのは、製造がわずか3年間で終わってしまったことが要因でしょう。これは不人気だったからではなく、2003年からロールスロイスがBMW傘下になることが決まっていたからです。
生産台数は約370台と非常に少なくロールスロイスのなかでも、とくに希少なモデルです。
BMW傘下へ入り新世代のロールスロイスへ
ファントム・ドロップヘッドクーペ(2007~2016年)
BMWの傘下となったロールスロイスから最初に登場したモデルがファントム。2003年に4ドアセダンが登場し、2007年にオープンモデルのドロップヘッドクーペが追加されました。
同車は2004年のジュネーヴショーへ出展されたコンセプトカー『100EX』ほぼそのままのフォルムで登場。ショー公開時に好評だったブラッシュ仕上げのステンレスボンネットもオプションで装備することが可能でした。
ファントムをベースとしながらも、クーペ化するにあたり全高を70mm下げ、全長も250mm縮小されています。また、ボディパネルもすべて専用で、ヘッドランプは超薄型LEDポジショニングランプを装着するなど、フロントマスクのデザインも変更されました。
パワーユニットは6.75リッターのV12エンジン。最高出力460馬力を発揮するエンジンを搭載したことで、0-100km/hは5.9秒を実現しています。
同車のルーフは電動開閉式ソフトトップを採用しました。オープン時にトップが収納されるデッキはチーク材で仕立てられるのが特徴。その仕上げには最長で1カ月もかかることが話題を呼びました。
同車の特徴といえば前開きのコーチドアも忘れてはいけません。スペースフレーム構造を採用し強度は抜群。高級クーペらしい優雅さを備えたドアに仕立てられています。
ファントムは2017年に新型へとモデルチェンジしましたが、ドロップヘッドクーペはラインアップされていません。高級コンバーチブルは後ほど紹介するドーンがその座を受け継いでいます。
ドーン(2015~2023年)
ロールスロイスの新型ドロップヘッドクーペとして2015年に発表されたのがドーン。2ドアクーペのレイスをベースに仕立てられましたが、ボディパネルは約8割が専用デザインとなっています。
ドーンという車名は、1950年から1954年の間に生産された『シルバードーン』からインスパイアされたもの。ちなみにベースとなるレイスも1938年から生産されたモデルにあやかってつけられました。
ボディサイズは全長5295mm、全幅1945mm、全高1500mmと巨大ですが、ファントム・ドロップヘッドクーペと比べるとひとまわり小さくなっています。
パワーユニットは「史上最高にパワフルなロールスロイス」と謳われたレイスと同じ6.6リッターV12ツインターボエンジンを搭載。ただ、レイスのエンジンは最高出力が632馬力なことに対して、ドーンは571馬力とややデチューンされました。
コンバーチブルらしい乗り心地や優雅さを重視した性能におさえられたドーンですが、とくに静粛性にもこだわられています。
「音のない舞踏」をテーマにファブリック製ソフトトップルーフを設計。そのルーフは6層構造の電動開閉式で時速50kmまでであれば走行中の開閉も可能としました。
ドーンは発売後、好調なセールスを記録し、歴代ドロップヘッドクーペにおいてもっとも売れたモデルとなりましたが、2023年5月に生産終了となりました。
まとめ
現状、ロールスロイスがラインアップするオープンモデルはありません。ドーンの後継モデルもまだ発表されていませんが、BEVのラグジュアリークーペ「スペクター」(2023年第4四半期発売予定)をベースに新たなドロップヘッドクーペが登場するのではと噂されています。
そのスペクターは、ロールスロイスの伝統的なデザインを踏まえつつ、流麗なルーフラインやヨットにインスパイアされたというボディ下部ラインなど、新世代のクーペに仕立てられました。
同車をベースとするドロップヘッドクーペがどのように仕立てられるかいまから楽しみです。
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