2024年F1に向け、GrandPrix.comの執筆陣が、来るシーズンに注目する10の項目をピックアップした。チームの運命、F1が抱える問題点、ドライバー市場など、多岐にわたるテーマを個別に紹介していく。
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F1 2024年シーズンに注目すべき10のこと(1)メルセデスは復活できるのか
ハースF1チームは、過去3シーズンのうち2シーズンがコンストラクターズ選手権最下位という結果だった。オーナーのジーン・ハースは、2024年シーズンを前に、チーム代表をギュンター・シュタイナーから小松礼雄に変更した。ジーン・ハースは熱狂的なレースファンだが、それでも、このような成績がさらに続けば、チームの将来について考えざるを得ないだろう。
2024年はハースにとって重要な年になる。今年、中団でコンスタントに戦えるところまで、向上することができるかどうかが注目される。
タイトルスポンサーのマネーグラムのおかげで、ハースは2023年シーズンのなかで大幅に進歩した。ただ問題は、直近のライバルたちの方が、大きな改善を遂げたことだ。
2018年以来、最下位からうまく抜け出せずにいたウイリアムズは、2023年にはコンストラクターズ選手権で7位に浮上した。新しい経営陣、強力なアメリカの投資家、アレクサンダー・アルボンという堅実なファーストドライバーのおかげで、ウイリアムズは2023年に最大の飛躍を遂げたチームのひとつとなった。そしてその進歩はそこでとどまることはないだろう。2024年、ウイリアムズはハースには手の届かない位置で活躍を続けるものと考えられる。
アルファタウリも、2023年終盤の3分の1に限ってではあるが、大きく改善した。彼らは最下位に終わるものと予想されたが、シーズン終盤に強さを見せ、ダニエル・リカルドと角田裕毅が最後の5戦中4戦でポイントを獲得、ランキングを8位まで上げ、ウイリアムズの7位の座を脅かしさえした。アルファタウリには、チャンピオン、レッドブルという大きな後ろ盾があり、彼らのテクノロジーとノウハウを利用することができる。2024年にはその協力関係が強化される予定であり、アルファタウリの存在は侮れないものになるだろう。
ザウバーは、アルファロメオとのスポンサー契約が終了し、2024年には『ステーク』として参戦する。また、対ハースで見ると、バルテリ・ボッタスと周冠宇のパフォーマンスは、ケビン・マグヌッセンとニコ・ヒュルケンベルグとほぼ同等である。さらに両チームはともに、フェラーリのパワーユニットユーザーだ。2024年のコンストラクターズ選手権最下位争い、というか最下位を避けるための争いは、ハースとステークの一騎打ちになるのではなかろうか。
ただ、新スポンサーの下で、ザウバーの財政的な不利は大幅に解消されたといわれている。ステークは、2026年にはアウディのワークスチームになることが決まっており、それまでの2年間は、つなぎの期間になるとはいえ、才能ある新たな人材はすでに採用されつつあり、アウディ時代に向けた準備は進められている。
2023年、ハースはフラストレーションが募る一年を過ごした。アメリカGPという遅い時期になって入れられた待望のアップグレードは期待外れであり、メンバーたちを落胆させた。シーズン序盤に低迷したマクラーレンの場合、オーストリアでアップグレードを入れた途端に驚くほど速くなった。もちろん、ハースにそれと同じことを期待するのは非現実的だったのは分かっている。だが、ハースにとってより悪いニュースは、シーズン終盤のアップグレードは、2024年型マシンの基盤となるものだということだ。
もちろん進展の余地はある。このアップグレードは、2023年最終戦で見られた以上の可能性を秘めている。しかしそれでも、出発点は、期待したほど有望ではなかった。
一方、約10年前にシュタイナーがハースのために考案したビジネスプランは時代遅れになりつつある。フェラーリとダラーラに大きく依存するというやり方は、F1に新規参入する時点では効果的だった。しかし、10年たった今、それは逆に障害になっているように見える。他のライバルたちと比べて、ハースにはインフラが不足しているのだ。
ハースF1チームは2024年にコンストラクターズ選手権最下位から脱出することができるだろうか。今シーズンの彼らが、注視していく対象として興味深いのは間違いない。
【F1 2024年シーズンに注目すべき10のこと】
(1)メルセデスは復活できるのか
(2)勝利か息子か。アストンマーティンF1オーナーが迫られる決断
(3)24戦開催を喜んでいるのはFOMだけ。関係者の疲労が深刻に
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