見た目はスポークホイールの方が軽そうだが……
オフロードバイクが履くスポークホイール(正確にはワイヤースポークホイール)は見るからに軽そうです。対する多くのロードスポーツ車が履くアルミのキャストホイールは、デザインにもよりますがスポークホイールより重そうに見えます。
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スポーツ性能を考えたら「バネ下荷重」(サスペンションのスプリングより下にあるホイールなどの重量)が軽い方がタイヤの路面追従性も高まるので、ロードスポーツ車も軽量なスポークホイールを履いた方が良いのでは? という気がしなくもありません。スポークホイールは本当に軽いのでしょうか?
じつは、スポークホイールとキャストホイールのどちらが軽いかは、現在は単純に比較することができません。それはホイールの歴史やタイヤの進化も影響しているからです。
そこでバイク用のホイールの起源を辿ると……最初は木製でした。世界初の内燃機関を積んだ2輪車は、ダイムラー社(現在のメルセデスベンツ)が1885年に製作しましたが、車輪は大昔の荷車のような木製で、耐久性を高めるために外周に鉄板を貼っていました。とはいえ、この2輪車はエンジン開発用の試作車で販売はされていません。
その後、実用バイクを1900年代に発売したトライアンフやハーレーダビッドソンは、空気入りのゴム製タイヤを履き、ワイヤースポークホイールを装備していました。
1900年初頭に登場したバイクは長らくスポークホイールを履き、現代的なアルミ合金製のキャストホイール(鋳造製ホイール)が登場したのは1970年代の初頭でした。
イタリアではMVアグスタやモト・グッツィが1970年代半ばにキャストホイール車を発売しましたが、日本製のバイクで初めてキャストホイールを装備したのは、カワサキが1976年に輸出モデルで販売した「Z900LTD」でした。
この当時のキャストホイールは、どちらかと言うとドレスアップ用のカスタムパーツという立ち位置で、しかも重い上に、当時はまだバイク用のチューブレスタイヤが存在しなかったため、スポークホイール同様にタイヤチューブが必要でした。
そのため重量的にはスポークホイールの方が軽量で、国内では1978年からヤマハとスズキがキャストホイール車を発売しましたが、スポークホイール仕様と並売する車種もありました。
「良いトコどり」の「コムスター」とは!?
1970年代後半に登場したキャストホイールですが「ルックスは新鮮だけどスポークホイールより重い」というデメリットがありました。そこでホンダが世に出したのが「コムスターホイール」です。車軸周りのハブと軽量なアルミリムを「スポークプレート」で繋ぐという革新的な構造は、キャストホイールより軽量で、同時にバイク用のチューブレスタイヤも世界で初めて装備しました。
コムスターホイールによるバイク用チューブレスタイヤの登場は、スポークホイールとキャストホイールにも大きな変化をもたらしました。それはキャストホイールにチューブレスタイヤを履くことで、パンク時の急激な空気漏れを抑止して安全性が高まったことと(パンクの応急修理も簡単)、チューブが不要な分、軽量になるからです。これによりロードスポーツ車は急速にキャストホイール化が促進されました。
さらに1980年代後半には、バイク用の「ラジアルタイヤ」が登場します。グリップ性能だけでなく、大排気量・大パワーのバイクだと既存の「バイアスタイヤ」で対応するには構造や強度面で重量がかさみ、ラジアルタイヤの方が軽量に作れることもメリットでした。
そして時代を追うごとにバイクの高出力化やコーナリング時のグリップ力を高めるためにロードスポーツ車のタイヤはどんどんワイド化し、ホイールにも高い剛性が求められるようになりました。
この要求にワイヤースポークで応えることは難しく、性能を優先するロードスポーツ車ではスポークホイールを採用しなくなりました。そのため近代では「スポークとキャスト、どっちが軽い?」と単純に比較することはできなくなったのです。
スポークホイールのメリットは?
とはいえオフロード車は、現在でも競技用モデルも公道用モデルもスポークホイールが主流です。これはジャンプから着地した時などに、スポークホイールの方が衝撃吸収性に優れているからです。またロードスポーツ車がサーキット走行するような、舗装された路面を深いバンクでハイスピードで駆け抜けることを想定していないので、ホイールに求める剛性も異なります。
さらに言えば、高速巡航も考慮した大排気量アドベンチャーを除けば、ブレーキもロードスポーツ車のような超強力な制動力を求められないので、車軸周りのハブもコンパクトで軽量に作ることができます。
というワケで「オフロード車のワイヤースポークホイールは軽量」というコトになります。
ちなみに、スポークホイールはタイヤチューブが必要になりますが、近年は大型アドベンチャー系を主体にチューブレスタイヤの装着が可能な「クロススポーク」など、チューブを必要としないスポークホイールも登場しています。
機能・性能は重要だが、ルックスも大切!
ロードスポーツ車のホイールに話を戻すと、近年のキャストホイールは非常に軽量です。中には独自製法のマグネシウム製の鋳造ホイールを装備するヤマハの「YZF-R1」のような車種もあります。
またアフターマーケットのリプレイスホイールはアルミ鍛造製が主流になり、こちらも非常に軽量です。そのためロードスポーツ車に関して言えば、もはやスポークホイールは重量や性能面でキャストホイール(または鍛造の「フォージドホイール」)には及ばない、と言えるでしょう。
とはいえ、ロードレースのような限界性能やサーキット走行でのパフォーマンスはともかく、ストリートやツーリングなどの普段使いなら、おそらくスポークホイールに性能的な不満は感じないでしょう。
ネオレトロやクラシック系のモデルには、現在も性能よりルックス優先でワイヤースポークホイールが採用されています。この辺りは逆説的ではありますが、1970年代にカスタムパーツとして登場した頃のキャストホイールと通じるものを感じます。
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みんなのコメント
なんでオフ車がスポークホイールを使うかってのは低圧で運用できることでしょ。
それなりの場所を走破するなら低圧走行は必須。
それに加えリム打ちを想定した場合だ。
スポークホイールは少々リムを打ってひん曲がってしまってもそのまま走りきれる。
チューブレスのキャストでは低圧走行なんてできないし、リムを打ち付けてひん曲がった時点で終了。
悪路でのサバイバル能力として雲泥の差がある。
スポーク重い
キャストはアルミも有る
スポークはアルミ無し
いい加減な記事しか出来ないこのプレス記事