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ヒョンデがあえて「リスク」を取る理由 斬新デザインの7人乗りSUV チェス戦略とは

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ヒョンデがあえて「リスク」を取る理由 斬新デザインの7人乗りSUV チェス戦略とは

あえてリスクを冒すのはなぜか

ヒョンデが7月に発表した新型SUV、サンタフェではこれまであまり見られなかった斬新な外観が採用された。この特徴的なデザインに至った経緯について、同社のデザイン責任者であるイ・サンヨプ氏が語ってくれた。

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7人乗りSUVの新型サンタフェは、これまでのヒョンデのクロスオーバーやSUVとは少し異なり、丸みの少ない無骨なスタンスとなっている。

「前モデルと比べると大きな変化です」とイ・サンヨプ氏は言う。こうしたデザインの方向性は「リスクを冒す」ものだという。

「サンタフェはヒョンデ最大のモデルの1つです。失敗は許されません。ですから、これはとても重要なことでした」

「4年半前、この(サンタフェの)デザイン・プロジェクトを始めました。わたし達は常にビッグデータの情報をチェックして、将来のトレンドを予測しています。パンデミック(新型コロナウィルスの流行)が起こる前のことですが、キーワードの1つは主流になってきた『アウトドア』文化です。わたし達は、都会生活とアウトドアの両方をカバーする方向性を選びました」

「箱型のSUVの場合、プロポーションのバランスがとても重要です。サンタフェは、このセグメントでは前例のない、非常にシンプルでボリュームのあるボディ・サーフェスを持ち、最大21インチのホイールによって支えられています」

「箱型とはいえ、精密なディテールのタッチを加えたい。そして大きな課題が空力です。空力エンジニアは、ボクシーなクルマを『エアロ・ディザスター(空力の惨事)』と呼びます。だから、わたし達はそこに挑んだのです」

「このクルマの抗力係数はCd値0.29です。わたし達はエアロダイナミクスにおいて多くのことに挑戦しました。このセグメントではかなり珍しいアクティブ・エアロ・シャッターがフロントにあり、またそれを助ける垂直のエアカーテンもあります。さらに、ホイールハウスも丸くなり、空力効果が大幅に向上しています」

「昔のポルシェ993(911)がそうだったように、リアフェンダーのフレアは後ろに向かって柔らかさを増しています。はじめはもっと角ばったデザインだったのですが、実際には空力の助けになっていないことに気づいたんです」

「このデザインは、機能に従う形であり、SUVにできることを強調するものです」

SUVらしいデザイン 実用性は?

このクルマは写真では大きく見えるが、実際にはそうでもない。一方、アイオニック5はその逆である。筆者がこのことをイ氏に尋ねると、彼は次のように答えた。

「その通りです。アイオニック5を最初に見たとき、誰もホイールベースが3mあるとは思わないほど、ソリッドでタイトです。コーナーワークも豊富ですね。そのコンパクトなキャラクターを作るために、コーナーはできるだけ丸みを帯びています。サンタフェが大きく見えるのは、コーナーを可能な限り引っ張り出しているからです。大きなテールゲートは、厚板のような大きさで、全幅をデザインの要素として使っています」

「製品によって、どのようなデザインツールを使うかが決まります。しかし、SUVの意図するところは明らかに『自分は大物だ』と言うことです」

インテリアのコンセプトは「思いやり」だとイ氏は主張する。インストゥルメント・パネルは手が届きやすいように曲面で、「腕で弧を描いたときの曲率」になっているという。「自動運転レベル4か5になるまでは、最も重要なのは道路から目を離さないことであり、すべてがコントロールしやすくなければなりません。そのため物理キーを排除しませんでした」

「HVACは絶対に物理キーです。これはいつも使うものですから、見ずとも手を伸ばすだけです」

リアドアの後ろにはグラブハンドルがあり、ドア内側のステップに足をかけて登ることができる。

「ルーフラックへのアクセスは、SUVの中でも最も簡単な部類に入ります」

トランクの開口部も広い。

「(セダンには)トランクがありますが、SUVにはテールゲート・スペースがあります。荷物を運ぶというより、ライフスタイルのスペースですね。そこで、荷室をできるだけ強調するために縦のラインを強くし、シャットフェイスと組み合わせることで、テールゲートをワイドにすることができました」

サンタフェのトランク開口部の幅はほぼ1300mmである。

「すべては家族のために。全席にフルサイズのカップホルダーが2つあり、また全席にUSBポートが付いています」

ビッグデータを使ったトレンド予測

4、5年後のクルマの姿を予測しながらデザインを描き始めることについて、イ氏はこう話している。

「正直なところ、将来何が起こるかわからない。だからこそ、ビッグデータを使ってトレンドを見極めるのです。主流トレンドの将来を可能な限り正確に予測しなければならないので、社内にビッグデータ・グループがあり、社外にも別のグループを利用しています」

「特にパンデミックの最中には、両者ともアウトドア・ライフスタイルを志向していました。クルマは自分だけの安全な空間になります。RV(レクリエーション・ビークル)車はとても人気がありますね」

「わたし達はリスクを冒したかった。ノーリスク、ノーリターン。これが、当社がチャレンジャーである理由でもあります。そうでなければ、常に主流の方向に従うことになってしまう。そのままではファスト・フォロワー(fast follower)になってしまいますが、わたし達はファスト・フォロワーにはなりたくなかったのです」

サンタフェは確かにそのようなクルマではない。また、ラインナップ中のどのモデルとも重複するようなデザインでもない。

「当社はすでにチェス・デザイン戦略を発表しています。多くのメーカーがファミリールック戦略を採用しており、クッキーカッターのような、ロシア人形のような一貫性があります。しかし、わたし達にとってヒョンデは顧客中心のブランドであり、ライフスタイルはお客様によって大きく異なります。Z世代が1世帯に1人いるのと、父親と母親と3人の子供がいるのとでは、まったく違いますよね。『チェス』とは基本的にキング、クイーン、ビショップ、ナイトからなるものであり、すべてがまったく異なり、機能的にも異なりますが、チームとして協力し合うのです」

「ヒョンデの超小型SUV、キャスパーは、非常にコンパクトで、ビビッドなキャラクターを持つZ世代指向のSUVです。このクルマ(サンタフェ)はファミリーカーなので、同じデザイン言語を使うことはできません」

「ですから、わたし達は多様性を持っています。賛否両論ありますが、デザイン・ビジョンを高めるためにも、顧客中心であることこそがブランドのあるべき姿だと考えています。正しいとか間違っているとかではなく、これはお客様が決めてくださることだと思います」

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みんなのコメント

105件
  • 内装のデザイン、色使いや質感
    デザイナーって大事だなと思うわ
    ビーエムとか一気に酷くなってったからね
  • ランクルよりも新しさを感じる
    ランクルって高齢者が作ってる感じがプンプンする
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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