トヨタがアメリカで2020年5月18日に発表した北米市場向けの大型ミニバン、シエナの4代目モデルが、2020年10月27日に発売された。
シエナは1997年に北米市場にデビューした全長5mを超える大型ミニバンで約10年ぶりにフルモデルチェンジとなる。
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新型シエナは全グレードが2.5Lハイブリッドで、価格は3万4460ドル(約356万1000円)からとなっている。
現在、日本の高級ミニバン市場は、エルグランドやオデッセイがマイナーチェンジしたものの、相変わらずアルファードが一人勝ち状態で、直近の2020年10月の販売台数は、新車販売台数ランキング5位、1万93台(前年同月比196.7%)と2ヵ月連続で1万台を突破している。
こんな状況のなかで、シエナを日本で発売すれば、売れるのではないか? 乗用ミニバンのベストセラーだったエスティマ(2019年10月生産終了)亡き今、ぜひシエナの日本発売を熱望する!
そこで、シエナとはどんなクルマなのか? その魅力をモータージャーナリストの永田恵一氏が解説する。
文/永田恵一
写真/トヨタ ベストカー編集部 ベストカーweb編集部
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そもそもトヨタシエナってどんなクルマ?
新型シエナのボディサイズは全長5169mm×全幅1994mm×全高1740mm(ルーフレールを含むと1770mm)、ホイールベース3061mm
1BOXではなく乗用車的なデザインのシエナ。全高はアルファードが1950mmだが、シエナは1740mm(ルーフレールを含むと1770mm)と210mmも低い
初代モデルが1997年に登場したシエナは、1990年にミドシップレイアウトで登場した初代エスティマ(アメリカではプレビア)の後継車となる大型ミニバンである。
ミドシップレイアウトの初代エスティマは室内高の低さやアメリカではボディサイズが足りなかったこともあり、初代モデルから今回の4代目モデルを含め、エンジン横置きのFFレイアウトとなるカムリのプラットホームを使って、大型ミニバン化したという成り立ちだ。
シエナのパワートレーンは先代モデルには2.7L、直4ガソリンもあったが、歴代モデルは、3L~3.5LのV6ガソリンが中心だった。しかし、新型シエナは2.5Lハイブリッドのみという点には大きなインパクトを感じる。
ちなみにシエナのアメリカでのライバルは、日本の販売されているオデッセイ(全長4855×全幅1820×全高1695mm)よりもひと回り大きい全長5080×全幅1960×全高1710mmというサイズの北米向けオデッセイである。
パワートレーンは3.5L、V6ガソリンエンジンを搭載している。日本でもラグレイトの車名で販売されていた時期もある。
例えるなら20年ほど前の日本ではそれぞれ2代目モデルだったFF化されたエスティマとオデッセイが火花を散らす戦いを展開していたが、それと似たような戦いが今のアメリカでは繰り広げられているというわけだ。
新型シエナってどんなクルマ?
フロントマスクのデザインは日本の新幹線をイメージしたという
新型シエナは全長5169mm×全幅1994mm×全高1740mm(1770mm、ルーフレールを含む)、ホイールベース3061mmというアメリカらしい巨大なボディサイズを持つ大型ミニバンだ。
クルマの土台となるプラットホームは前述したようにエンジン横置きFFを基本とするカムリのもの。つまり日本で販売されるトヨタ車ではRAV4やハリアーにも使われるTNGA-Kプラットホームを採用している。
TNGA-Kプラットホームが巨大なシエナにも対応することは、アメリカなどで販売される大型SUVのハイランダー(日本ではかつてのクルーガー。現在はRAV4を大幅に拡大し、8人乗り3列シートとしたモデル)もTNGA-Kプラットホームを使っているのを見るとなんとなく理解できる。
改めてTNGA-Kプラットホームの拡張性の広さを再認識する。ちなみにデザイン、開発、生産がすべてアメリカで行われている。
新型シエナのエクステリアから見ていくと、日本の新幹線をヒントにしたというフロントマスクや、抑揚あるサイドビューが大きな特徴となっており、全幅と全高の関係もあり、ミニバンながら乗用車的だ。
大型のセンターコンソールとインパネ中央に配置された大型ディスプレイが特徴
一方、インテリアを前席から見ていくと、全グレードハイブリッドということもあり、センターコンソール下部にはアルファードハイブリッドのように駆動用バッテリーが置かれ、センターコンソールには大きな収納スペースも配置されている。
2列目シートは下位グレードには中央席が補助席的で、左右席がキャプテンシート的なものとなる3人がけ仕様も設定されるが、伸ばした足を支えるオットマンとスーパーロングスライドモードを備えた2人ぶんが独立したキャプテンシートが中心だ。
3列目シートは3人掛けのベンチシートとなっており、乗車定員は2列目3人がけが8人、2列目キャプテンシートが7人となり、ボディサイズが大きいこともあり、フル乗車でも快適に過ごせるに違いない。
サイズも大きく快適なフロントシート
独立2座のキャプテンシート仕様の2列目シート
全長が5m超のため、3列目シートはさすがに余裕がある
快適装備としては、シエナは車内に7つのUSBポートや最大16個のカップホルダーを備えているのが特徴。
静粛性の高さに加え、スピーカーとマイクにより、車内で距離の離れている乗員同士が大きな声を出さずに会話できる機能もあるなど至れり尽くせり。
また、カメラ式のルームミラーやクルマの周囲を俯瞰から確認できる、パノラミックモニターも設定しており、このあたりの細かい配慮は、アメリカを中心に販売されるミニバンながら、日本的なおもてなしである。
走行性能では、全グレードに進化した2.5L、直4ハイブリッドを搭載したことが最大のハイライトだろう。
FFとリアはモーター駆動となる4WDが用意される2.5Lハイブリッドというのは日本でもRAV4とハリアーに搭載されているので、それほど珍しいものではないが、今回のシエナに搭載された2.5L、直4ハイブリッドの性能が大きく向上した点に注目したい。
具体的にはハリアーの4WDを基準に比べると、2.5L、直4エンジンは178psから191psとなり、フロントモーターも120psから180psに。リアモーターは54psと変わらないものの、システム出力は222psから245psに向上しているのだ。
性能向上の要因は主に駆動用バッテリーにある。ハリアーはリチウムイオン、シエナはニッケル水素という違いこそあるものの、シエナは駆動用バッテリーを配置するセンターコンソールの大きさも生かして、駆動用バッテリーの容量をハリアーの2倍近くに拡大した。
駆動用バッテリーの容量が大きくなれば動力性能だけでなく燃費にも有利で、公表されるシエナのEPA(米国環境保護局)燃費はそれぞれ1ガロン(約3.8L)あたり、FFが市街地、高速道路、総合ともに36マイル(15.2km/L)。4WDも市街地/35マイル(14.7km/L)、高速道路36マイル、総合35マイルと、大型ミニバンであることを考えれば優秀な数値だ。
2.5Lで動力性能と燃費をこれだけ高次元にバランスできれば、これまでの3.5L、V6を廃止し、2.5Lハイブリッドとなったのも納得だ。
また4WDシステムは前後駆動力配分がFFとなる100:0から20:80まで可変する高性能なものとなっているほか、カーナビと連動してハイブリッドシステムの燃費が向上するように作動させる機能が装備される点もおもしろい。
価格はFFでベースグレードとなるLEの3万4460ドル(約356万1000円)から4WDでトップグレードとなるプラチナムの5万460ドル(521万5000円)。
ベースグレード同士で比べるとオデッセイの3万1790ドル(約328万5000円)に対しシエナは30万円近く高い。ちなみに4WDはFFに対し、2000ドル(約20万7000円)高い。
3.5L、V6を搭載する北米オデッセイのEPA総合燃費は9.3km/L。30万円近くシエナのほうが高いが、ガソリン代で早い段階でペイできると思われるだけに、シエナの競争力は非常に高い。
アルファード、オデッセイと比べてシエナはどうなの?
Lクラスミニバン市場において独走を続けるアルファード
2020年11月5日に発表されたオデッセイのビッグマイナーチェンジモデル
日本ではクラウンと並ぶ高級車という横顔も持つアルファードは、全長4950×全幅1850×全高1950mmという日本でもギリギリ実用的に使えるボディサイズを持つ大型ミニバンだ。
価格は4WDのみとなる2.5Lハイブリッドで454万円7000円からと高い。アルファードは豪華さだけでなく、周りを見下ろす着座位置の高い全高など、全体的に日本人好みの大型ミニバンとなっており、その意味ではシエナとの差別化は明確だ。
2020年11月にビッグマイナーチェンジしたオデッセイはボディサイズが全長4855×全幅1820×全高1695mm。乗用車的なミニバンで、日本での使い勝手や必要性などを考えればアルファードよりも正しい適正サイズのミニバンではある。
しかし、オデッセイはビッグマイナーチェンジで価格が4気筒ガソリンのベースグレード同士だとアルファードとほぼ変わらない349万5000円に値上げされている。オデッセイはアルファードよりも格下に感じる点を考慮すると、薦めにくいところがあるのも事実だ。
まとめ
シエナXSEグレードはスポーティで日本で売れば人気が出そうだ
全長5300×全幅1970×全高1990mmという巨大なサイズのグランエース
シエナは全長5169×全幅1994×全高1770mmの大型ミニバンだから、さすがに日本では大きすぎるといえるが、ピックアップトラックのハイラックスやフルサイズミニバンのグランエースのように「大きなボディサイズが魅力」となる場合もある。
ちなみにグランエースは全長5300×全幅1970×全高1990mm、ホイールベース3210mm。巨大なグランエースが日本で発売されているのだから、シエナが日本で発売されてもおかしくはない。
またアルファードの次期モデルなどには燃費、動力性能ともに大きく向上したシエナの2.5Lハイブリッドを搭載してほしいところだ。
アルファードが物足りない人に向けて、シエナを日本でも発売したら売れるのではないだろうか。2019年10月に生産終了したエスティマの後継モデルとして、日本では発売してはいかがだろうか。ぜひ、シエナの日本発売を熱望する!
※編集部註:現状日本では、「アルファードでは物足りない」、「それ以上のミニバンが欲しい」となった場合にはメルセデスベンツVクラスか、VW T5/T6など並行輸入に頼るしかない。
グランエースがあるじゃないかという人もいるだろう。グランエースには、企業のVIP送迎を想定した6人乗り(650万円)と、高級ホテル、高級旅館が旅行で訪れるお客さんを送迎するために使うことを想定した8人乗り(620万円)をラインナップしているが、やはり首都圏で使うのには大きすぎるし、ファミリー層にとっても使いにくい。
グランエースの販売台数を見ても、直近の9月は58台、2020年1~9月は546台しか売れていない。グランエースは需要が限られているのだ。
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