5月5日、フランスのル・カステレに位置するポール・リカールで、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズの2024年第2戦『ル・カステレ4時間レース』が行われ、インターユーロポル・コンペティションの43号車オレカ07・ギブソン(セバスチャン・アルバレス/ブラディスラブ・ロムコ/トム・ディルマン)が優勝を飾った。
4月の開幕戦バルセロナで優勝した宮田莉朋のクール・レーシング37号車(ロレンツォ・フルクサ/マルテ・ヤコブセン/宮田)は、残り43分までトップを快走していたが突如コース脇にストップし、悲運のリタイアを喫している。
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■相次いだ首位走行車両のストップ
欧州6サーキットを転戦するELMSは、LMP2、LMP2プロ/アマ、LMP3、LMGT3という4クラス構成。LMP2クラスの14台とLMP2プロ/アマクラスの8台は、全車がオレカ07・ギブソンというパッケージでエントリーしている。
第2戦の舞台は南仏マルセイユ近郊のル・カステレ村に位置するポール・リカール。テストトラックとして活用される機会も多く、さまざまなコースレイアウトが可能となっている同サーキットだが、ELMSでは名物『ミストラル・ストレート』にシケイン等を設けない、約1.8kmの長い直線を持つレイアウトが採用される。
4日に行われた予選では、IDECスポールの28号車を駆るヨブ・バン・ウィタートがポールポジションを獲得。ルイ・デレトラズがアタックしたAO・バイ・TFの14号車、マッテオ・カイローリのアイアン・リンクス・プロトン9号車が続き、ヤコブセンがアタックを担当したクール・レーシングの37号車は6番手となる。
5日の決勝は現地時間11時30分からの4時間レース。晴天のもと、2周のフォーメーションラップを経てレースがスタートすると、序盤はAOの14号車がIDEC28号車から首位を奪う。その背後ではクール37号車のフルクサが順位を上げていき、1度目のルーティンピット後は3番手につける展開となった。
クールの37号車は2度目のルーティンピットで宮田へとドライバー交代を行うと、首位インターユーロポル43号車を追う2番手へ。2時間経過を目前に43号車がピットへ飛び込むと、宮田の37号車が首位へと浮上、2番手には佐藤万璃音がステアリングを握るユナイテッド・オートスポーツ22号車がつけ、レース折り返しを迎えた。
首位37号車は2時間を数分過ぎたところでルーティンピットを済ませ、インターユーロポル43号車に次ぐ2番手でコースへと戻る。
残り1時間38分でバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、このタイミングでほとんどの車両がピットへ。クールの37号車は宮田からヤコブセンへとドライバー交代を済ませると、コース上で首位に返り咲いた。
このVSCはやがてセーフティカー(SC)へと移行し、各車のギャップがリセット。残り1時間13分でレースが再開されると、37号車ヤコブセンは背後にIDECの28号車、インターユーロポルの43号車を従える形となる。再開ラップでは28号車に迫られたヤコブセンだったが、その後は後続との差をじりじりと広げた。
2番手28号車のウィタートに43号車のディルマンが迫るなか、チェッカーへと逃げ切りを図るヤコブセンだったが、残り43分を迎えたところで突如スローダウン、すぐにコース脇にマシンを止めてしまう。37号車陣営にとっては、開幕戦からの連勝目前での悲劇となった。
これにより導入されたフルコースイエロー(FCY)からのリスタート直後、ミストラル・ストレートエンドでディルマンがウィタートをオーバーテイクし、トップへと躍り出る。
残り35分あたりから始まった上位陣の最後のルーティンピット後には、34号車が首位、43号車が2番手と、インターユーロポル勢がワン・ツー体勢を築いた。
しかし残り19分、なんとまたしても首位走行中の車両に悲運が。クレメン・ノバラクの駆るインターユーロポル34号車がホームストレート脇にマシンを止めてしまったのだ。これで43号車がまたしても首位に立った。
最終盤にも異変は続き、残り5分を切ってベン・ハンリーがドライブする2番手の22号車のペースが鈍り、ポジションを失っていく。バン・ウィタートはこれにより2番手に上がるが、この直前、28号車には他車をブロックしたとして10秒のタイムペナルティが科されており、最終順位はインターユーロポル43号車の優勝、クール・レーシングの47号車が2位、レース中盤にドライブスルーペナルティを受けたAO・バイ・TFの14号車が3位に入ることとなった。佐藤組のユナイテッド22号車は終盤のペースダウンにより、5位でレースを終えている。
■ランボルギーニ濱口弘vsフェラーリ木村武史
LMGT3クラスでは序盤、3番手スタートのアイアン・リンクス63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2の濱口弘、5番手スタートのケッセル・レーシング57号車フェラーリ296 GT3木村武史がそろって上位を争った。
2スティント目に入ると、2番手にまで順位を上げた木村に濱口がチャージをかけ、ミストラル・ストレートでドア・トゥ・ドアの迫力あるバトルを経て濱口が先行するという、日本人ブロンズドライバー同士の争いも注目を集めた。
ポールスタートだったアイアン・デイムスのポルシェ911 GT3 Rが終盤に入るまでLMGT3クラスにおけるリードを保っていたが、最終ピットで停車時間を短縮したスピリット・オブ・レースの55号車フェラーリ(ダンカン・キャメロン/デビッド・ペレル/マシュー・グリフィン)がクラス優勝を飾った。
終盤には63号車ランボルギーニのアンドレア・カルダレッリがGRレーシングの86号車フェラーリを駆るダビデ・リゴンを追い詰め、残り24分で2位の座を手中に収めた。濱口/アクシル・ジェフェリーズ/カルダレッリは開幕戦の3位に続き、2戦連続でのクラス表彰台獲得を果たしている。
なおGRレーシングの86号車は終盤、FCY時の違反におけるドライブスルーペナルティが科せられ、3番手も失う結果となった。代わってレーシング・スピリット・オブ・ルマンの59号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3が3位に入っている。
ケッセルの57号車フェラーリは、木村がスタートから1時間30分余りを走行してエステバン・マッソンへと代わった後、1周でピットイン。マシンを修復する光景が見られたがコース復帰はかなわず、レースを終えている。
LMP2プロ/アマクラスはリシャール・ミル・バイ・TDSの29号車が優勝。LMGT3クラスは、RLR Mスポーツの15号車リジェJS P320・ニッサンが制した。
ELMSの次戦第3戦は7月7日、イタリアのイモラ・サーキットで開催される。
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