堂々たる装い、他を圧倒する存在感、そんな雰囲気で人々を魅了する高級セダン。しかし新車で買おうとするとなかなか手が届かない。だがご安心を。高価なフラッグシップセダンや欧州セダンだって、中古車なら2ケタ万円で狙うことができる。憧れの高級車を現実のものにしてみては?
文/木内一行、写真/トヨタ、日産、ホンダ、ビー・エム・ダブリュー ジャパン
憧れるのをやめましょう! 2ケタ万円で手に入る垂涎ものの高級セダン4選
■トヨタ・クラウン(14代目/S21)「国産車で最も歴史がある高級セダンの代表格」
伝統的なセダンフォルムは、いかにもクラウンといった感じだが、王冠をモチーフにしたフロントグリルが従来の保守的なイメージを払拭。ロイヤルシリーズは、高級セダンらしいフォーマルな雰囲気が強調されている
「いつかはクラウン」のキャッチコピーが生まれて早40年、いまでもそうした思いを持ち続けるファンにクラウンは愛されている。
とはいえ、現行は大きく様変わりしてしまい、あえて旧型を選ぶ人も少なくない。しかも先々代なら、2ケタ万円から中古車が狙える。
2012年に登場した先々代210系は、基本的な部分は従来モデルのキャリーオーバーながら、アグレッシブなデザインに注目が集まった。全体的なフォルムは、ひと目でクラウンとわかる正統派Lクラスセダンそのものだが、王冠をモチーフとした迫力のフロントフェイスがインパクト大。
さらに、ロイヤルシリーズとアスリートシリーズを設定するのは変わらないものの、フロントマスクやリアコンビランプだけでなく、フロントフェンダーの形状も変更。両者の違いがより明確になったのだ。
エンジンにも両者のキャラが表れており、2.5リッターV6とハイブリッド車用の2.5リッター直4+モーターは共通。しかし、3.5リッターV6と2015年に追加された2リッター直4ターボは、アスリートのみに搭載されるユニットとなった。
このように、アスリートとロイヤルは外観からエンジンまで差別化されているが、魅力は甲乙つけ難いもの。どちらにしても世のオトーサンたちを満足させてくれることは間違いない。
■日産・フーガ(最終型/Y51)「サルーンでも走りを楽しみたいオトナたちへ」
長らく日産のフラッグシップとして活躍したセドリック/グロリアが消滅し、その後継モデルとして登場したフーガ。もともと最高級パーソナルセダンでありながらスポーティな面を持ち合わせていたが、2009年にモデルチェンジした2代目でもそのコンセプトは受け継がれた。
特徴的なのはエクステリアデザインで、初代の「腰高で幅が狭い」印象から一変、ロングフードでリア荷重のプロポーションに加え、低いノーズや張り出したフェンダーでダイナミックさを表現。いかにもFRスポーツセダンらしいスタイリングとなった。
搭載されるパワーユニットも強力で、トップグレードには333psを発揮する3.7リッターV6を搭載。この他、2.5リッターV6と3.5リッターV6+モーターのハイブリッドも設定される。
その一方で、「広く、華やかに、心地よく仕立てられたインテリア」はさすが高級車と感じるもの。曲線形状のメッキや銀粉をコーティングした本木目を採用して質感の高さや華やかさを追求。さらに、最新技術を用いたエアコンシステムで心地良い空間を演出している。
また、「ECOペダル」や「コーナリングスタビリティーアシスト機能」などの先進技術や、さまざまな安全装備も投入された。
こんな大型サルーンの高級感とスポーティセダンの走りを持ち合わせたフーガは、ぜひお薦めしたい1台だ。
■ホンダ・レジェンド(4代目/KB1/2)「最先端技術を駆使したハイテク快速セダン」
全長5mに迫る堂々たるボディサイズながら、ワイド&ローフォルムで塊感を表現。2008年のマイナーチェンジでは、より存在感のあるフロントマスクとなり、スポイラー一体型トランクフードを採用。エンジンも3.7リッターになった
1985年にホンダの最上級セダンとしてデビューしたレジェンド。40年近い歴史の中で、最も大きな変革を遂げたのは、間違いなく2004年に登場した4代目だろう。
従来モデルと一線を画すエクステリアデザインは、塊感の強さを演出。ワイド&ローのフォルムに、シャープなフロントマスクやダイナミックな印象を与えるサイドビューを組み合わせ、ボディ全体で走りの良さを表現している。
実際の走りも大型セダンとは思えない実力を持つ。
その核となっているのが、新開発の3.5リッターV6エンジンと、世界初の4輪駆動力自在制御システム「SH-AWD」だ。
前者はホンダ自慢のVTEC機構を採用し、自主規制撤廃の時期も重なり国産車で初の300psを達成。後者は、前後輪に駆動力を可変配分するとともに、後輪の駆動力を左右で可変し、あらゆる状況でクルマの性能を最大限に引き出すというもの。このパワートレインで、スポーツカーにも匹敵する走りを実現したのだ。
ちなみに、2008年のマイナーチェンジでエンジンを3.7リッターに拡大。さらに2012年にはATが6速化されるなど、8年というモデルライフのなかでアップデートされ続けた。
最上級セダンでありながら、最高のドライバーズサルーン。そんな表現がぴったりハマるのが、4代目レジェンドだろう。
■BMW・5シリーズ(6代目/F10)「世界基準のクオリティと走りはさすがBMW」
1972年に初代「E12型」がデビューして以来、世界中で活躍し、日本でも人気の高いBMW・5シリーズ。2010年にモデルチェンジした先々代6代目「F10型」は、新車価格700万円オーバーながら中古車であれば手頃な価格でゲットすることができる。
発売以来、200万台以上の販売数を達成し、5シリーズで最も成功したモデルとなった6代目。国産車でいえば最上級サルーン並みのサイズに拡大されたボディは、スポーティかつエレガントなデザインで、大きなキドニーグリルがBMWとしての存在感をアピール。
インテリアもアッパーミドルサルーンに相応しい上級感と上質感を持ち合わせているが、あくまでもドライバーを重視したデザインというのがBMWらしいところだ。
エンジンは2リッター直4ターボから4.4リッターV8ツインターボまでと多彩で、後に2リッターディーゼルターボやハイブリッドも追加。ドライバーズセダンとしてのスポーティかつ上質な走りも魅力で、3シリーズ並みの俊敏性と7シリーズに匹敵する快適性を両立する。
そして、「インテグレイテッドアクティブステアリング」なる4輪操舵システムなどの先進装備が、走りの楽しさに大きく貢献していることはいうまでもない。
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