令和の世でアメ車販売が絶好調だという。デカい・豪快・壊れやすいの3拍子に加え、左ハンドルを乗りこなす技量も求められる特殊な乗り物であったイメージはすでに過去。今は右ハンドル車も充実し、洗練されたデザインだけど、豪快という魅力でファンを魅了する。これからアメ車生活をユメ見るオジ様に今回は「映えるアメ車」をご紹介!!
文/九島辰也、写真/ステランティス、GM、フォード
今、おじさんが乗ってもカッコいいアメ車はどれか!? 「映えるアメ車3台」を選ぶ!
■ジープをはじめ、アメ車が日本で人気を集めているワケ
ジープ「ラングラー」都会的なチェロキーやグラチェロを抑え、いかにもジープ! 的なラングラーがいま日本で飛ぶように売れているという。デカいが見切りのよさも功を奏しているかもしれない
アメリカ車がにわかに注目されている。代表格はジープで、とんでもない人気になっている。昨年の日本でのブランド販売台数は初めて1万4000台超え。7つのブランドを合計するステランティス全体が約4万5000台だから貢献度は高い。フランスとイタリアが舵取りしているなか、アメリカ車が牽引しているのはユニークな状況だ。
そのなかでも目立つのはラングラーとコンパス。特にJL型ラングラーの評判は高く、7000台近い数字を叩き出した。1990年代クライスラージャパンセールスが扱っていた時の14倍である。もちろん、当時は4ドアのアンリミテッドもなければ今日のようなアウトドアブームもない。
それにSUVなんてシロモノも認知されていなかっただけに、背の高いクルマは特殊な領域として扱われていた。マニアというか、オタクっぽい乗り物といったところだろう。
あの時代、YJ型ラングラーやTJ型ラングラーを乗っていたワタクシが証言するのだから間違いない。どこへ行ってもイロモノ扱い。ただ、便利さもあった。だだっ広い駐車場でもひと目でわかる存在だったからだ。
■オジさんが乗っても「映え」を狙うなら「ジープグラディエーター」一択!?
そんな経験を通して今回のお題である「今、おじさんが乗ってもカッコいいアメ車はどれか!?」を探ると、当然ラングラーが候補に挙がる。齢五十路以上の方は実体験があるだろう。街中にはCJ型が走っていたし、ウィリス時代のライセンス契約から生まれた三菱ジープも身近だった。でもって、その厳つさに男らしさを感じたものである。
ジープグラディエーターを荷室側から見る。4.8m台のラングラーにそのまま荷台が+αとなっているため、全長約5.6m×全幅約1.9mと巨大となるが、映えること間違いなし!?
ただ、いい大人がスタンダードなラングラーに乗ってはダメだ。そこには酸いも甘いも噛み分けてきた百戦錬磨に見合った選択肢が必要となる。そう、そこで浮上するのがジープグラディエータールビコン。ラングラーの後部を荷台にしたピックアップトラックである。
理由は乗るだけで条件が必要なこと。全長5600mmを乗りこなす空間と心の余裕がなくてはお話にならない。それに価格もスタンダードモデルよりお高め。財布の余裕も持ち合わせる必要がある。
都合がいいのは、日本仕様がルビコンであること。ジープに詳しい人ならおわかりいただけるであろうが、ルビコンは別物。3つのデフをロックする機構は高い走破性を有する。それにジープの聖地ルビコンの名が付いているのも重要ポイントだ。ホンモノを知る大人はホンモノに乗るのが大前提となる。
ちなみに、新型グラディエーターは1962年にリリースされた初代グラディエーターをオマージュしていることを知っておこう。個人的に初代のステアリングを握ったことがあるのだが、なかなか楽しかった。まぁ、トラックだけどね。男らしさをひしひしと感じる。
忘れていたが、このクルマを乗るのであれば「吊るし」で乗ってはいけない。ベース車両を買ったとして思いっきりカスタムすることを進言する。日本ではラングラーをそのまま乗っている人を多く見るが、アメリカではあり得ない。
この辺のクルマはカスタムしてナンボ。北米にはカスタムパーツが山ほどあるから、ショップと相談してガンガンいじろう。車高上げて太いタイヤ履いてフォグランプを死ぬほど付けて……。そこまでやっておじさんが乗ってもカッコいいクルマに仕上がる。
■ミドでマッチョなスーパーカーといえばシボレー「コルベット」
シボレー「コルベット」。ついにミドエンジン化され日本でも昨年登場! しかも右ハンドル仕様もあるという気合の入れようだ。スーパーカーのたたずまいだが、やはりアメ車のマッチョさも兼ね備えたデザインだ
で、「今、おじさんが乗ってもカッコいいアメ車はどれか!?」の2台目は言わずと知れたシボレーコルベットだ。2020年にフルモデルチェンジしたこのクルマもまたおじさんを格上げする。
理由はいくつかあるが、まずは単純にカッコいい。存在感は120%で、スーパーカー的領域に入る。それでいて、スタートプライス1300万円はバーゲンプライス。2004年にベントレーコンチネンタルGTを2000万円で売り出したのと同じくらいのセンセーショナルさがある。
というのも、6.2LV8エンジンから発せられる502psの走りは想像を絶する。とにかく力強くてスタビリティが高く、それでいて快適なのだ。これと同等のスペックをヨーロッパ車メーカーに求めたら価格は2倍じゃすまないだろう。作りはしっかりしていて、手垢にまみれたアメリカ車のイメージは皆無だ。ボディ剛性の高さ、サスペンションセッティングの秀逸さ、それとインテリアの高級感に不満はない。
コルベットの走りに関しては、アメリカ・ル・マンシリーズや、ル・マンGTカテゴリーでの戦歴が根底にある。そこでのノウハウが、伝統のFRをミドシップにし、パフォーマンスを高めた。実際にサーキット試乗をしたが、コーナリングスピードの速さは驚きだ。
それでいてエンジンがOHVだったり、伝統が守られているのが嬉しい。C6でリトラクタブルヘッドライトが不採用になって魅力半減となったが、それ以降はいい意味で期待を裏切りながら進化している。
そんなC8コルベットを垣根なく受け入れるがおじさんのかっこよさでもある。1963年のスプリットウィンドウや1969年のマッスルエイジに想いを馳せるのもいいが、新しいものをサラリと乗りこなすのが美点。ただ、グレードはコンバーチブルでないと興醒めする。価格は1650万円に上がるが、屋根が開くと開かないとでは大違い。大人の余裕がそこに醸し出される。
それにこの価格になってもヨーロッパ車比ではまだまだバーゲン価格だし。ここはひとつ、「Tシャツ+デニム+白スニーカー」のLAスタイルで乗り回してくださいな。でも若者のマネしてフラットバイザーのキャップは禁物でっせ。
■並行輸入車となってしまうが、それでも乗りたいフォード「マスタング」!
3台目はフォード「マスタング」初代のイメージをうまく現代に昇華させており、ひと目でマスタングと分かるデザイン画魅力的だ。フォードが日本市場撤退後もアメ車専門店等で購入可能だ
と、ここまで正規ディーラーで買える輸入モノを2台紹介したが、3台目となる最後は並行輸入車にスポットを当てたいと思う。その名はフォードマスタング。おじさん憧れの1台だ。
憧れる理由は簡単で、多感な頃に観ていた映画の主人公は皆マスタングに乗っていたから。『ブリット』しかり、『60セカンド』しかり、『ジョン・ウィック』しかり(一部シェルビーだけどね)。そういえば、『ビバリーヒルズ青春白書』の主人公ブランドンの家もそうだった。なので、アメ車といえばマスタングとすり込まれている。
個人的には同じ歳という親近感がある。同じ1964年製で、マスタングは4月17日生まれの牡羊座だから3カ月ちょっとこちらが早いだけだ。よってあと2年でお互いに還暦。誰か赤いマスタングをお祝いにくれないかな?
それはともかく、正規輸入販売が終了してからもマスタングはどんどん進化してカッコよくなっている。先日もマッハ1を試乗したが、かなりよかった。エキゾーストノートはレーシングカーなみで、加速もとんでもなく速い。それでいてサイズもそこそこで扱いやすいのがグッド。
2ドアクーペというパーソナルカーとしてのキャラクターは健在だ。気になる方はネットで検索するといい。本国にはいろんな仕様があって、それが日本に並行輸入されている。
というのが、おじさんが乗ってもカッコいいアメ車3選。どれも強烈な個性でワクワクさせてくれるクルマである。
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