積算9512km 問題視するほどのトラブルなし
眩しいエンバー・オレンジのマクラーレン・アルトゥーラと、数か月を過ごしてきた。開発が遅れていたから、すべてが正常に機能するのか、初めは僅かな不安があったことは事実だ。
【画像】ほぼパーフェクトな第一印象 マクラーレン・アルトゥーラ フェラーリとランボのHVスーパーカー 全141枚
長期テストは、近郊を数100km走るだけではない。サーキットを数周するだけでもない。これまで1万km近く走り込んできた。振り返ると、トラブルと呼べそうなことは3つ起きたが、問題視するほどのことではないだろう。
1つ目は、クルーズコントロール用のレバー。車間距離を任意に変更できる、アダプティブ仕様ではない部品が組み付けられていた。機能自体に不具合はなく、簡単な交換作業で修正され、許される範囲のミスといえるだろう。
2つ目は、完全に筆者の不注意。アスファルトに空いた大きな穴を、巨大な水たまりだと勘違いして通過したのだ。タイヤを超えてアルミホイールまで激しい衝撃が加わったが、被害を受けたのはタイヤ内に装備された温度・圧力センサーのみ。
このタイヤとホイールの、品質の高さを物語っている。サスペンションのアライメントが狂うこともなかったようだ。
3つ目は、フロア部分のシールから雨水が侵入したこと。大雨の中を容赦なく走らせていたら、助手席側のフロアカーペットが濡れていた。対応してくれたマクラーレンのスタッフは、珍しい事案だと話していたが、同じ症状が出たユーザーを筆者は他に知っている。
とはいえ、これも軽微なもの。たとえ自身の愛車だとしても、これを理由にクルマを突き返し、返金を要求することはないだろう。
ほぼすべての環境で問題なく普段使いできる
この3つ以外、アルトゥーラは完璧だった。ブリリアント!と叫びたいほど。
カーボンファイバー製タブに680psのハイブリッド・パワートレインを搭載しているから、驚くほど速いのは当然。グリップ力にも舌を巻く。落ち着きとバランスは秀抜で、油圧アシストのパワーステアリングの感触も素晴らしい。
だがそれ以上に、少量生産のスーパーカーが、天候の安定しないグレートブリテン島の毎日を平然とこなしたことへ深く感心している。何しろ冬から春にかけて、2024年は雨が多かった。これなら、恐らくほぼすべての環境で、問題なく普段使いできるだろう。
短距離なら駆動用バッテリーで走れるから、人混みの中でも必要以上に注目を集めることはない。内燃エンジンが温まるより早く、霜で曇ったフロントガラスをクリアにできる。ポルシェ911と同じくらい、運転席からの視界は広い。
ステアリングホイールから手を放さずに、シャシーとパワートレインのモードを切り替えられるのも望ましい。アップル・カープレイへ対応しているのも便利だった。
シート後方の空間も合わせると、荷室容量は911より遥かに大きい。ダッシュボードにグローブボックスはなく、小物入れも不充分ではあるけれど。
車線維持支援機能は、車線を逸脱すると警報が鳴るものの、明確に白線をはみ出した場合のみ。ステアリングホイールへの介入もない。筆者は、この程度の監視で充分だと思う。デフォルトで、機能がオフなことも評価したい。
運転を輝かしく特別なものにする力
悲しいことに、2025年仕様に合わせて無償で引き出された20psを、しっかり体感することは叶わなかった。そもそも、3.0L V6ツインターボエンジンがもっとパワフルなら良いのに、と感じたことは1度もなかったが。
ただし、20万ポンド(約4080万円)のスーパーカーとして、物足りない部分もゼロではない。特にスタイリングは、アルトゥーラ以外のマクラーレンと良く似ている。インテリアは特別感が弱いだろう。ロゴも、イタリアン・ブランドのような趣きはないと思う。
それでも、アルトゥーラが最大の強みとするのは、ドライビング体験。運転という単純な行為を、輝かしく特別なものにする能力だ。加えて、至って一緒に暮らしやすい。
アルトゥーラの開発は難航したかもしれないが、日常的に乗れる素晴らしい高性能モデルとして、広く認知されるべき仕上がりなことは明らか。多くの人へ、この事実が知られて欲しいものだ。
セカンドオピニオン
アルトゥーラの長期テストが、望ましい印象で終了したことがうれしい。本来の実力は高く、商業的にも優れた成果を得るに値するモデルだと考えている。
アップデートを経て、さらにドラマチックさは増したようだ。電動化技術のメリットを、うまく活かしたスーパーカーだと思う。 マット・ソーンダース(Matt Saunders)
テストデータ
気に入っているトコロ
パワートレイン:ダウンサイジングし、ハイブリッド化するという選択は成功した。速いだけでなく、燃費も優れている。サウンドはいいし、静かにも走れる。
ハンドリング:マクラーレン唯一といえる操縦性は変わらない。シャシーの繊細さが素晴らしい。
運転席の居心地:人間工学に優れ、アップル・カープレイが標準装備。視界も広く、ずっと座っていたくなる。
気に入らないトコロ
乗降性:メタボ気味の中年男性の場合は、カッコ良く乗り降りするのが難しい。
周囲からの注目:公道を走っていると、好奇心で不必要に接近してくるドライバーがいる。危ないから控えるべきだ。
走行距離
テスト開始時積算距離:1580km
テスト終了時積算距離:9512km
価格
モデル名:マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様)
開始時の価格:18万9200ポンド(約3860万円)
現行の価格:19万460ポンド(約3885万円)
テスト車の価格:22万1400ポンド(約4516万円)
オプション装備
テクノロジー・パッケージ:6800ポンド(約138万7000円)
スポーツエグゾースト:4700ポンド(約95万9000円)
スーパー・ライトウエイト鍛造アルミホイール:4500ポンド(約91万8000円)
パフォーマンス・インテリア:4400ポンド(約89万8000円)
エンバーオレンジ・エリート塗装:4400ポンド(約89万8000円)
コンフォートシート:3300ポンド(約67万3000円)
ブラック・パッケージ:2000ポンド(約40万8000円)
グロスブラック・インテリアフィニッシュ:1100ポンド(約22万4000円)
ステルス・エグゾーストフィニッシュ:1000ポンド(約20万4000円)
プラティカリティ・パッケージ:0ポンド
燃費&航続距離
公称燃費:21.8km/L
タンク容量:66.0L
平均燃費:10.7km/L
最高燃費:11.4km/L
最低燃費:6.9km/L
航続可能距離:708km
主要諸元
全長:4539mm
全幅:1913mm
全高:1193mm
最高速度:329km/h
0-100km/h加速:3.0秒
車両重量:1498kg
パワートレイン:V型6気筒2993cc ツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:680ps(システム総合)
最大トルク:73.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)
トランク容量:160L
ホイールサイズ:19インチx9.0J(前)/20インチx11.0J(後)
タイヤ: 235/35 R19(前)/295/35 R20(後)
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:−ポンド(−円/1か月)
CO2排出量:104g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1093ポンド(約22万3000円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:(約22万3000円/ガソリン)
1マイル当りコスト:0.22ポンド(約44円/車両代、電気代は含まず)
不具合:クルーズコントロール用レバーの交換/フロアシールの交換
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