嬉しい誤算は刺激的に電動化を活用したハイブリッド
マセラティの車名といえば、ミストラル以降、ギブリ、レヴァンテなど風にちなんだものとされるのが伝統だ。ブランド初のミディアム・プレミアムSUVとして登場したグレカーレも、もちろんその例に漏れない。由来は地中海の北東風である。
外観デザインのトピックは、先に登場したミッドシップスーパースポーツのMC20に続いて縦型ヘッドライトを採用したこと。ミディアムと言いつつ全長は約4850mmもあるが、スポーティなフォルムのおかげで引き締まった印象が強い。
これがマセラティ!? と驚かされるのがインテリアで、ダッシュボード中央にワイド画面のタッチスクリーンが搭載されるなど、先進的な仕立てとされている。お約束の時計も、実は多機能なデジタル化がされているのだ。 ミラノ近郊で試乗したのは、2つのグレード。MC20譲りのプレチャンバー燃焼を採用したV型6気筒3Lツインターボエンジンを搭載するトロフェオと、直列4気筒2Lターボエンジンと電気モーター、そして、eブースターと呼ばれる電気式スーパーチャージャーを組み合わせたマイルドハイブリッドのGTである。
トロフェオは、やはりエンジンの印象が強い車だ。最高出力530psの速さも鮮烈なのだが、特に中~高回転域のピックアップの良さ、ダイレクトなレスポンスには感心させられっぱなしだった。 嬉しい誤算は、その後に乗った最高出力300psのGTもまるで物足りなさなど感じさせなかったことである。eブースターのおかげで、ターボの過給圧が高まりきる前の低回転域からアクセル操作に対する反応は鋭いし、加速性能だって十分。電動化を、車をより刺激的にする方向に使っているのが、このテクノロジーの痛快なところである。しかも、回せば4気筒エンジンとは思えない、まさにマセラティらしいスポーツサウンドに浸ることもできるのだ。
そしてフットワーク。ボディは重々しさはないのに剛性感たっぷりで、おかげでサスペンションの動きはスムーズ。意のままの応答性を示すステアリングも相まって、交差点を抜けるだけでも小気味よい気分にさせてくれるのである。 グレカーレの日本でのオーダー受け付けはすでに始まっており、デリバリー開始は2023年の初春を予定しているという。
さらに、そう遠くない将来にはBEV版のグレカーレ フォルゴーレの投入もすでに予告されている。BEVでもブランドのアイデンティティであるサウンドは妥協しないということだから、こちらの登場も楽しみにしたいところだ。 ▲ラゲージ容量は、トロフェオ(写真)が570L、ハイブリッドのGTとモデナが535Lとなる文/島下泰久、写真/マセラティ
ライバル、ポルシェ マカンの中古車市場は?
スポーツカーブランドのポルシェが送り出す、走りにこだわったミドルクラスSUVがマカン。ベーシックモデルからハイパフォーマンスのターボ、GTSまでをラインナップする。なお、現行型のトップグレードは2.9L V6ターボを搭載するGTSとなっている。
2014年から販売されている人気モデルだけに、プレミアムSUVながら中古車は300台近くが流通しており、2014~2015年の初期モデルなら価格も300万円台から流通している。MC後の現行型も数台ながら流通しているので、納車待ちの長い新車の代わりに、中古車を探してみるのもよいのではないだろうか。 ポルシェ マカンの中古車を探す▼検索条件ポルシェ マカン × 全国文/編集部、写真/ポルシェジャパン
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