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5年目の改良で106kWh/531kmに アウディQ8 55 eトロンへ試乗 居心地も走りも快適

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5年目の改良で106kWh/531kmに アウディQ8 55 eトロンへ試乗 居心地も走りも快適

アウディのBEVは偶数のモデル名に

Q8 eトロンと聞いて、アウディの新モデルかと勘違いする読者もいらっしゃるだろう。だがこれは、内燃エンジンで走る大型SUV、アウディQ8に追加されたバッテリーEV(BEV)版ではない。

【画像】5年目の改良で106kWh/531kmに アウディQ8 55 eトロン 競合のBEV SUVと比較 全136枚

同社初の量産BEVとして2018年に発売された、eトロンの名前が改められたもの。5年前、150kWという急速充電能力へ注目が集まったが、航続距離はそこまででもなかった。増えるライバルへ伍するべく、競争力を高めるアップデートが施されている。

新しいモデル名を得たことで、アウディのBEVラインナップが整理されることになる。既に販売中の小型SUV、Q4 eトロンと、間もなく登場する予定のQ6 eトロンとの関係性がはっきりする。

ちなみにアウディは今後、BEVのモデル名には偶数を、内燃エンジンには奇数を与えると発表している。つまり、SUVのQ8はBEVとして定着することになる。従来のQ8は、Q7 スポーツバックやQ9などを名乗ることになるのだろう。

今回のアップデートでは新しいアルミホイールを得たり、前後のバンパーやフロントグリルのデザインへ手が加えられるなど、一般的な見た目のリフレッシュも図られている。だが、最大のトピックはボディの内側、パワートレインにある。

バッテリーは89kWhから106kWhへ増量

駆動用バッテリーは、eトロンが発売されて以降の技術進歩で、高いエネルギー密度を実現している。そのため、エントリーグレードの50で実容量が71kWhから89kWhへ、55では89kWhから106kWhへ、2割ほど増えている。

加えて駆動用モーターを改良し、空力特性を磨いたことで、エネルギー効率を改善したとアウディは主張する。ちなみに、高性能なSQ8 eトロンも同様に106kWhの駆動用バッテリーを得ている。

とはいえQ8 eトロン 55で4.1km/kWhという電費は、競合モデルと比べて高いとはいえないだろう。穏やかな気候の日に試乗した今回は、平均で3.4km/kWhという数字がメーター用モニターに表示されていた。

この効率で航続距離を計算すると、約358kmになる。カタログ値では、531kmがうたわれるのだが。

急速充電能力も従来から向上し、最大で170kWまで対応するようになった。間違いなく有効とはいえ、ジェネシス・エレクトリファイドGV70の場合、最大240kWを実現している。その差が小さいとはいえないだろう。

ほかにも、ステアリングレシオがクイックになり、エアサスペンションにチューニングが施されてもいる。スタビリティとトラクションの電子制御も、より有能になったという。

ハンサムで上品 均整の取れたプロポーション

Q8 55 eトロンを目の当たりにすると、ハンサムで、適度に上品で、均整の取れたプロポーションが好ましい。もっとも、これは従来から変わらない。

インテリアに大きな変更は受けていない。製造品質は高く、内装素材は上質で、居心地が良い。ダッシュボードの中央には、2段に重なったタッチモニターが据えられる。実際に押せるスイッチ類の方が使い勝手では優れると思うが、エアコンも操作しやすい。

試乗車に据えられていたスポーツシートは、座り心地も快適。小物入れや荷室など、実用性も高いままだ。

発進させてみても、快適な印象は続く。0-100km/h加速は5.6秒と不足なく速いものの、テスラのラピッド仕様のように、過激なアクセルレスポンスへ気を使う必要はない。

ステアリングホイールの裏にはパドルが備わり、回生ブレーキの強さをドライバーが選べる。アダプティブ・モードにすれば、状況に応じてQ8 eトロンへ強さを自動的に調整させることも可能だ。

試乗車には、カメラ映像を用いたバーチャル・ミラーが装備されていた。小ぶりなぶん、航続距離を8kmほど伸ばせるという。高速域での風切り音も低減できるそうだが、アウトバーンの領域でないと効果は感じにくいようだ。

外界との遮音性は高く、走行中の車内は静か。大径なアルミホイールを履いているにも関わらず、ワダチに進路が取られたり、くぼみで強い衝撃が伝わることもない。

しかしアフリカの西、ランサローテ島の滑らかな路面でも、落ち着きが若干乏しい印象ではあった。エアサスを備える高級なSUVとしては、だが。

アップデートで足回りはスポーティに

アウディの技術者は、メルセデス・ベンツやレンジローバーとは異なり、路面の変化を感じ取れるのは意図的な設定だと説明していた。舗装の管理が良いドイツなら、大きな問題にはならないだろう。だが英国や日本の場合は、揺れが気になるかもしれない。

今回のアップデートでは、足回りはスポーティな方向へ振られたようだが、Q8 55 eトロンはスポーティなSUVとはいえない。ボディは大きく重すぎる。

グリップ力は高く姿勢制御は引き締まり、ステアリングの重み付けは好ましい。僅かにリアタイヤ側が主導の操縦性も味わえる。それでも、カーブを攻め込みたいとは思いにくい。

Q8 eトロンの英国価格は、50で6万7800ポンド(約1091万円)から。SQ8 eトロンでは9万7500ポンド(約1569万円)からに設定された。クーペ風のスポーツバックの場合、2500ポンド(約40万円)が上乗せになる。

直接的なライバル、BMW iXと比較すると、xドライブ40が動力性能では55と互角。この場合、BMWの方が価格は若干安く、車内空間では有利だが、航続距離は短い。それぞれの長所はあるものの、このクラスの最高水準には達していないといえる。

メルセデス・ベンツEQEやジャガーIペイスなども、比較対象になるだろう。エレクトリファイドGV70は、ボディサイズは小さいが、より速く、エネルギー効率も高い。比べれば航続距離が短いとはいえ、英国価格は1万ポンド(約161万円)もお手頃だ。

アウディQ8 55 eトロン・スポーツ(英国仕様)のスペック

英国価格:8万300ポンド(約1292万円)
全長:4915mm
全幅:1937mm
全高:1633mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:531km
電費:4.1km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2510kg
パワートレイン:ツイン非同期モーター
駆動用バッテリー:106kWh
最高出力:407ps(システム総合)
最大トルク:67.6kg-m(システム総合)
ギアボックス:−

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みんなのコメント

8件
  • カッコいいねぇ〜。
    SUVでもスッキリしてるのは
    ボルボとアウディぐらいかな?
    まだ内燃機関が残ってるからEVは選ばないけど
    乗るとしたらアウディかポルシェを選びたい。
    国産だとアリアが良かったなぁ。
  • 一時期は2強に近付いた感もあったが、ディーゼル問題で失速したね。2005年あたりからデザインも良くなって販売も増えたが、その前くらいに戻った感じ。
     日本ではレクサスもできたので、ドイツ2強・レクサスを差し置いてアウディを選ぶ人はやはり少数派になった。R8が出たあたりの勢いは凄かったけどね…。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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