新規定車両“Next-Gen”導入2戦目の公式イベントとなった2022年のNASCARカップシリーズ第2戦フォンタナが、2年ぶりにオートクラブ・スピードウェイで開催された。しかし2月26日土曜のプラクティスから、新規定マシン初見参のトラックに苦心した各ドライバーたちは次々とスピンオフを喫する波乱の展開に。決勝でもカイル・ラーソンとチェイス・エリオットのヘンドリック・モータースポーツ勢が“遺恨の同士討ち”で雌雄を決し、現王者ラーソンがNext-Gen初勝利を飾るなど、今後のシーズンにも影響を与えそうな結末となった。
23歳のルーキー、オースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)の『デイトナ500』制覇で幕を開けた新時代は、この南カリフォルニアで新たなプラクティス/クオリファイのフォーマットを採用し、短いインターバルを挟んで全36台のマシンを2組に分割、予選を前に各15分間の練習走行が実施された。
話題満載の1週間をフォードのルーキー、シンドリックが0.036秒差で制す/NASCAR開幕戦デイトナ500
まずはデニー・ハムリン(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリ)が最速を記録した第1グループで、ケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)とロス・チャスティン(トラックハウス・レーシング・チーム/シボレー・カマロ)がスピンを喫して赤旗の起因となり、続く予選ではターン2でブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)が、ターン4では2020年王者エリオットとその僚友のウィリアム・バイロンJr.(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がスピンオフ。アリック・アルミローラ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)はターン4で“飛距離のある”ドリフトを披露するなど、多くのドライバーが“Next-Gen”とオートクラブ・スピードウェイのマッチングに悩まされた。
この結果、ミスを犯さなかった数少ないドライバーのひとりである開幕戦勝者シンドリックがポールポジションを獲得。一方で、日曜早朝にイグニッションスイッチの不具合が見つかったラーソンは13番手からのスタートを諦め、ケセロウスキーやジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)らを含む9台とともに、隊列後方からのスタートを強いられた。
その27日の決勝で序盤から主導権を握ったのが11番手発進のタイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)で、第1と第2の両ステージを制覇し、最初の130周中70周でリードラップを奪うなど、この日の最速マシンの座を誇示する。しかし、そのリードが90周に達しようかという残り49周の時点で、8号車カマロの左リヤタイヤが根を上げバーストを喫すると、同じく好調で16ラップのリードを記録していたバイロンJr.がまさかのヒット。このコーションにより、ラーソン以下、隊列後方発進組に勝利への道が開けることに。
■ラーソンは「故意に積極的なブロックをすることは決してない」と、意図的なアクションでないことを強調
残り44周のリスタートからは序盤にもスピンを喫していたケセロウスキーとバッバ・ウォレス(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)が絡み、シンドリックがあわやの場面でこれを回避する場面を経て、その後はロガーノとラーソンが激しいデュエルを展開。3番手に浮上したエリオットがこれを追走し、ワイドバンクの“上段”から隙を伺うも、ラインを塞がれコントロールを乱す一幕も。
序盤ステージ1でも“ハイライン”単独走行中にウォールにマシンを擦り付けるなど、ハンドリングに苦しんできたエリオットの9号車カマロが、体勢を立て直して挑んだ残り9周のターン2。インサイドにいたロガーノと“サイドドラフト”の勝負に集中していたラーソンが、ターンインに向けアウト側にマシンを振ると、ふたたびそこに姿を見せたエリオットと接触。今度はマシンコントロールを維持することができなかった9号車はスピンを喫し、ここで最後のイエローコーションとなる。
憤慨するチームメイトを横目に残り4周のリスタートを切ったラーソンは、インサイド・レーンを選択したダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシング・チーム/シボレー・カマロ)との首位攻防を繰り広げ、最上段トップレーンで速度を稼いで残り2周の首位奪還に成功。オースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)とエリック・ジョーンズ(ペティGMSモータースポーツ/シボレー・カマロ)を従え、王者ラーソンが苦い勝負を制しての“Next-Gen”初優勝を達成し、4位スアレスを含めシボレーがワン・ツー・スリー・フォー・フィニッシュを飾る結果となった。
「地元の州で勝つのはいつだって最高の気分だ。昨日までは満足行くハンドリングにできなかったが、クルーの頑張りで大幅な向上が見られたよ。今日は最速の1台ではなかったけれど、彼らが不幸に見舞われ“頭を抱えてくれた”おかげで、クレイジーなロングレースに勝つことができたね」と、まずは勝利の喜びを語ったラーソン。
その一方で、チームメイトとの不運なアクシデントに関して「僕はチームメイトに出くわしたとき、故意に積極的なブロックをすることは決してない」と、改めて意図的なアクションでないことを強調した。
「ジョーイ(・ロガーノ)はボトムでいい仕事をしていて、僕はそちらの勝負に集中していた。僕自身、アウト側のミラーを意識できていなかったし、スポッターが『(エリオットが)ワイドに来ている』と教えてくれることもできたはず。情報があれば、僕らはお互いに混乱を避けられたはずだ」と続けたラーソン。
「彼らが動揺していることは知っているし、僕らは話し合うつもりだ。うまくいけば、前向きに(次週第3戦の)ラスベガスに行く準備ができるはずさ」
一方、NASCARエクスフィニティ・シリーズの第2戦は、ここオートクラブ・スピードウェイの優勝経験者である地元出身のコール・カスター(SSグリーン・ライト・レーシング/フォード・マスタング)が、3時間以上に及んだ長期戦を制している。
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