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都内のタクシーが変わる? 相乗りタクシー「GO SHUTTLE」が運賃50~60%オフを実現、ただし乗客トラブル&マナーなど課題山積か

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都内のタクシーが変わる? 相乗りタクシー「GO SHUTTLE」が運賃50~60%オフを実現、ただし乗客トラブル&マナーなど課題山積か

バス代替となる柔軟なモビリティ

 2024年12月11日、GO株式会社(東京都港区)が「GO SHUTTLE(ゴーシャトル)」の運行を開始した。このサービスは、いわゆる相乗りタクシーで、現在は湾岸エリアから東京駅・有楽町駅・新橋駅方面への運行が始まっている。

【画像】「えぇぇぇぇ!」これがタクシーの「カスハラ客」です! 画像で見る(7枚)

 湾岸エリアは江東区の

・豊洲
・新豊洲
・有明
・東雲

のほか、中央区の晴海、勝どき、月島周辺で、今後はエリアを順次拡大する計画だ。

 路線バスが縮小傾向にある都内の主要エリアで、この新しいサービスが成功すれば、バス以上に柔軟で利便性の高いモビリティとしての可能性を秘めている。

 今回はそんな「GO SHUTTLE」のサービスに注目し、その可能性とともに、抱える課題について考えてみたい。

50%オフで快適な移動空間

「GO SHUTTLE」は事前予約制で、複数の乗客が同じ車両を相乗りし、指定された乗車地と降車地に基づいて運賃が固定料金で決まる。予約時点で料金が確定するため、相乗り人数による運賃の変動はなく、安心して利用できる。通常のタクシーでは、道路渋滞による運賃の増加や追加手数料が発生することがあるが、「GO SHUTTLE」ではそのような心配がない。

 運賃は、通常のタクシーの事前確定運賃の

「50%~60%」

で、最大5人まで乗車可能な車両が使われる。アプリで予約情報を集め、同じ方向に向かう乗客同士を相乗りさせることで、運行距離の短縮と効率的な運行が実現する。路線バスとは異なり、

「乗り継ぎなし」

で目的地に直接向かうことができ、予約すれば確実に座席を確保できるので、快適に移動できる。さらに、鉄道駅やバス停からアクセスが悪い場所にも、乗り継ぎなしで行けるのが大きな魅力だ。

 現在、サービスの提供エリアは湾岸エリアに限られているが、今後はエリアを拡大する予定だ。ただし、運行時間には制限があり、平日は朝7時~22時まで、土日祝日は朝7時~14時までとなっている。

 また、曜日や時間帯によって、乗降可能なスポットや運行時刻が変動する点に注意が必要だ。さらに、アプリで予約できる人数はひとりのみで、複数人の予約を行う場合には手間がかかる点が課題となっている。

相乗りタクシーの新展開

 筆者(北條慶太、交通経済ライター)は「GO SHUTTLE」に関して、

・相乗りタクシーに対する事業者の期待
・タクシー事業者の効率化向上
・地方都市への展開と新たなビジネスモデルの可能性

の三つの観点から新たなビジネスの可能性を感じている。それぞれを順を追って詳しく説明する。

●相乗りタクシーに対する事業者の期待
 都内を中心に、筆者は多くの都市部のタクシー事業者に取材を行ってきた。そのなかで、500円から1000円で利用できる相乗りタクシーを導入しようとする事業者が意外に多いことがわかった。従来のタクシービジネスに限界を感じ、相乗りタクシーに新たな可能性を見出す事業者が増えていた。

 しかし、運輸局との相談では、路線バス事業への影響を懸念する声が多く、前向きな回答が得られないこともあった。しかし、AIを活用したオンデマンドタクシーの普及と、2024年問題にともなう路線バスの縮小傾向が鮮明になった今、相乗りタクシーは移動権を確保する重要な手段として無視できない存在になりつつある。

●タクシー事業者の効率化向上
 全国ハイヤー・タクシー連合会の調べによれば、2023年8月末時点で、法人タクシーのドライバー数は23万2912人で、充足率は79.9%となっている。さらに、厚生労働省のデータによると、ドライバーの平均年齢は2022年末時点で58.3歳と、高齢化が進んでいる。

 コロナ禍の影響やモータリゼーションの普及による賃金低下が重なり、ドライバー不足が深刻化している。こうした状況下で、相乗りタクシーは営業効率の向上に寄与し、ドライバーの不足にも対応する可能性を秘めている。

 さらに、混雑した路線バスが苦手で、かつ従来のタクシーは運賃が高いと感じるユーザー層からも、相乗りタクシーの需要が高まっている。今後、タクシードライバーひとりあたりの運べる乗客数が増えれば、供給力が強化され、さらなる効率化が期待できる。

●地方都市への展開と新たなビジネスモデルの可能性
 モータリゼーションの進展により、地方都市では公共路線バスの衰退が顕著になっている。2024年問題を受け、廃業を余儀なくされる事業者も増えてきている。一方で、アイシンの「チョイソコ」のような相乗り予約式サービスは全国に広がりつつある。

 このような状況のなかで、「GO SHUTTLE」のような相乗りタクシーがその有用性を証明すれば、地域密着型のタクシー事業者が相乗りサービスを展開する契機となるだろう。また、都心部以外のエリアへの展開が進み、地域に根ざした移動手段の確保が可能になると考えられる。さらに、ライドシェアの活用や車両台数の拡大など、新たなビジネスモデルの構築が期待される。

 しかし、相乗りコースをAIで割り出す必要があるため、デジタルトランスフォーメーション(DX)に強いスタートアップ企業の参入が求められる。柔軟に活動できる新興勢力の参入こそが、普及拡大のカギとなるだろう。

相乗りタクシーの課題と対策

 ただ、相乗りタクシーには、いくつかのトラブルが考えられる。これまで指摘されてきたリスクとしては、

・乗客同士のトラブル
・アプリ予約時のトラブル(例えば、予約が完了していないのに完了したと勘違いして待機し、結局乗れなかったケース)
・アプリ操作に不安のある高齢者による誤操作

などがある。

 また、現在は乗降ポイントが限られており、運行時間帯にも制約があるため、深夜帯の利用ができない不便さが利便性に影響を及ぼす可能性がある。しかし、

「通常のタクシーと同じ時間帯やエリア」

で相乗りを行うのは現実的ではないため、時間帯やエリアの拡大を段階的に進めていく必要がある。さらに、相乗りタクシーの快適さを維持するためには、車内での

・スマートフォン通話禁止
・飲食マナーの徹底

など、運行ルールを確立し、守らせることが重要だ。こうした懸念や課題に対応していくことが求められる。

成功のカギは地方展開と運行改善

「GO SHUTTLE」のような相乗りタクシーは、タクシー事業者の人手不足を解消するための有効な業務改善策だ。ひとりのドライバーが運べる乗客数を増加させることで、効率性と持続可能性を高めることができる。この仕組みは、

「タクシー業界全体の競争力」

を向上させ、事業者同士の切磋琢磨を促し、業界全体の成長を後押しするだろう。

 特に、ユーザーにとっては

「移動手段の選択肢」

が広がることが大きなメリットとなる。この効果を継続的に評価し、改善を重ねていくことが重要だ。

 今後は、大都市だけでなく、

・地方都市への展開
・柔軟な運行方法の改善

が成功のカギを握っている。相乗りタクシーが成長し、その評価が成果として還元されることを期待したい。

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みんなのコメント

2件
  • 神田橋の若隠居
    都内とは言えあまり民度の高い地域じゃないからな
  • バイヤー
    フィリピンやタイのタクシーみたいに
    トラックベースで良いと思うけどね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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