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【DST】BRZの実力はポルシェに迫るか【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

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【DST】BRZの実力はポルシェに迫るか【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

車の最新技術 [2022.08.22 UP]


【DST】BRZの実力はポルシェに迫るか【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
文●石井昌道 協力●Start Your Engines

スバル BRZの10周年記念特別仕様車発表 200台限定販売

 以前の当コラムでもお伝えした通り、DST(ダイナミック・セーフティ・テスト)のコ・テスターを務めている。DSTはモータージャーナリストの大先輩である清水和夫さんが20年以上にもわたって続けている独自の限界域での安全性能を確かめる緊急回避テストで、日本では他にほとんど例をみない貴重なデータだ。自分は、これに強い興味を持っていたのでテストカーの運搬を志願して押し掛け、8年ほど前からはテスト時に助手席に収まるコ・テスターとなった。役割は、テスターの清水さんにタイヤの銘柄や消耗度、GPSで測っている正確な速度を伝えるなど簡単なものではあるが、テストコースで走らせてみなければわからない性能を生で体験できるのは貴重な体験であるとともに、助手席で落ち着いて観察していると、自分で運転しているときよりもむしろ、インプレッションがわかりやすいこともあったりしてじつに興味深い。今回は、過去のテストからスバルBRZとポルシェ 718ケイマンGTS4.0の対決をピックアップし、自分なりの解釈をお伝えしたい。

 DSTは2台ずつの対決方式になっているが、必ずガチンコのライバル同士である必要もない。スペックや車格などが違っても、見ている人やテスターが興味を惹かれればいいのだ。


スバル BRZ
 2021年にデビューした2代目BRZを取り上げるにあたって選ばれた対決相手は、だいぶ格上の718ケイマンGTS4.0だった。共通点はRWDのスポーツカーであること、水平対向エンジン搭載車であることぐらい。車両価格はBRZが300~350万円程度であるのに対して718ケイマンGTS4.0は1152万円~(オプションを含めると1400万円台だった)と3~4倍といったところ。直接比較するのは酷かなとは思うものの、2代目BRZはかなり良くできているから、せっかくなら最高のベンチマークにぶつけてみようということで718ケイマンGTS4.0に白羽の矢が立った。ちなみにどちらもMT車だ。

 スペックは、BRZが最高出力235PSで車両重量1280kg(パワーウエイトレシオ5.5kg/PS)のFR、718ケイマンGTS4.0が400PSで1440kg(3.6kg/PS)のMR。テストでは発進加速の0-100km/hタイム、減速の100-0km/hの停止距離を測るが、どちらも重量バランスに優れるMRのほうが有利だ。

 0-100km/h加速はBRZが1回目7.64秒、2回目6.93秒、718ケイマンGTS4.0が1回目5.55秒、2回目5.41秒。

 100-0km/hの停止距離はBRZが1回目59.29m、2回目36.10m、718ケイマンGTS4.0が1回目37.51m、2回目32.90mだった。

 加速、減速ともに1回目よりも2回目のほうが成績が良くなるのはタイヤが暖まるからだが、重量配分に優れるMRのほうがタイヤが冷えている1回目から性能が出しやすく、FRのほうが上がり幅が広いことがわかる。加速のタイム差はパワーウエイトレシオと駆動方式を考えれば妥当なところだろう。減速に関しては車両重量の軽さというBRZに有利な点もあるが、さすがはブレーキ性能に定評があるポルシェ。安定して短く止まれている。とはいえ、BRZも2回目では718ケイマンGTS4.0に肉薄しているのは立派で、スポーツドライビングでも十分な性能と言える。

 高速道路並の速度域での緊急回避を想定したダブルレーンチェンジのテストは、100km/h程度で走行し、障害物等が出てきた想定で左にレーンチェンジして避け、再び元のレーンに戻るというもの。通過タイム、平均速度、横Gを測っている。あくまで公道での緊急回避テストなのでESCなど横滑り防止装置はONのままだ。

 BRZは、通過タイム1回目3.40秒、2回目3.30秒、平均速度1回目75.50km/h、2回目77.92km/h。

 718ケイマンGTS4.0は、通過タイム1回目3.09秒、2回目3.10秒、平均速度1回目81.60秒、2回目81.38秒。

 タイムや速度の差は駆動方式やタイヤおよびシャシー性能という基本性能による部分と横滑り防止装置の制御具合によってかわってくる。BRZはそれなりに素早い身のこなしをみせつつ、クルマを常に安定させる制御を行っていたのに対して、718ケイマンGTS4.0はステアリング操作に対する効きの良さと正確性を重視し、元のレーンに戻るときには少しテールを振りだしてカウンターステアがあたるといったところだった。

 全体的な傾向として、欧州車は日本車よりもステアリングの正確性などを重視することが多く、スバルとポルシェでもそれは確認できた。欧州車のほうがドライバーがコントロールする自由度が高く、日本車のほうが安心感を大切にしているとも言えるので、どちらがいいか悪いかを一概には言えないのだが、横滑り防止装置がONであれば多少はテールを振りだしても問題はないだろう。

 ウエットの旋回ブレーキテストは、100km/hで走ってきてフルブレーキし、パイロンで造った40Rのコーナーに沿って止めるテスト。タイヤとシャシーの性能、それにABSの制御によって成績がかわってくる。なお、2回のテストをするが1回目はステアリング操作とブレーキ操作が同時、2回目はステアリング操作がわずかに先行してブレーキ操作するものでABSの制御的にはちょっと難しくなる。このテストでは停止までの距離、それに停止時に前後のタイヤが40Rのコーナーからどれぐらい離れているかの距離も計測している。

 BRZのタイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4でサイズは前後ともに214/40R18。テスト車の残溝は左前7.15mm、右前7.25mm、左後6.80mm、右後6.96mmでど新品ではないものの8~9割程度は残っている良好な状態。

 718ケイマンGTS4.0のタイヤはピレリP ZEROで前が235/35ZR20、後が265/35ZR20。残溝は左前5.78mm、右前5.28mm、左後6.94mm、右後6.5mmとこちらもそれほど減っていない良好な状態。ちなみに残溝は一般的に新品で8mm程度だが、スポーツタイヤのなかには最初から浅めの溝のものもあって718ケイマンGTS4.0はそのタイプだ。


ポルシェ ケイマン GTS4.0
 結果はBRZが1回目の停止距離が47.0m、パイロンからの距離は前0.8m、後1.0m、2回目が43.0m、前0.5m、後0.9m。

718ケイマンGTS4.0は1回目の停止距離が38.0m、パイロンからの距離は前0.0m、後0.0m、2回目が34.0m、前1.1m、後0.9mだった。

 最初にBRZのほうからテストを行ったのだが、ウエットのなかでもしっかりとブレーキおよびステアリングが効いていて、ほぼ完璧と思われた。過去のテストデータと照らし合わせてもトップレベルなのは間違いない。ところが718ケイマンGTS4.0はさらにその上をいった。

 停止距離に関しては、ウエット旋回ブレーキではFRだとどうしてもリアの荷重が減るのでブレーキ圧をあまり高くできないので、MRに比べると少し伸びるのは致し方ないところ。驚くのは両車ともにパイロンからの距離が極めて短いことだ。1.0m程度は誤差の範囲といってよく、ほとんどオン・ザ・レールでいけている。このテストではブレーキ開始時点からアンダーステアが発生してパイロンからどんどんと遠ざかっていくクルマが多いのだが、両車ともにステアリングが正確に効いているのでテスターは少し切り込みを戻しているぐらいなのだ。

 総合的な評価としては、718ケイマンGTS4.0はさすがの横綱相撲であらゆる面でほぼ完璧といったところだったが、BRZの健闘も凄まじく、スペックなどを考慮すればこちらも完璧に近い。こんなモデルが300~350万円程度で買えるなんて、幸せすぎるといったところなのだ。なお、このテストの模様はStart Your EnginesのYouTubeで観ることができるので、是非ともご視聴ください。よければチェンネル登録も!

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みんなのコメント

9件
  • 単位などの誤字がひどいです。
    新人ライターじゃないんだから。
  • 迫ってません。
    スポーツカーと突出したものを何も持っていないフツーのクーペを比較する意味が分からない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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