技術協力を象徴する写真の内容
イギリスの高級スポーツカーメーカーであるマクラーレン・オートモーティブは2022年12月12日、軍用機メーカーであるロッキード・マーチンの先進開発部門「スカンクワークス」と技術協力を行うと発表しました。
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この発表に合わせて、両社はカリフォルニア州パームデールにあるロッキード・マーチン建屋前で撮影した記念写真も公開。そこにはスカンクワークスが開発したステルス戦闘機F-117「ナイトホーク」と、映画『トップガン マーヴェリック』に登場した架空機「ダークスター」、そしてマクラーレンが製造するスーパー・ハイブリットカー「マクラーレン アルトゥーラ」の3者が並ぶ、まさしく軍用機メーカーと自動車メーカーによる異色のコラボを象徴するものでした。
今回の技術協力プロジェクトは、スカンクワークスの航空機向けに開発された新しい設計システムを、マクラーレンのスーパーカー設計にも活かすのが目的とのこと。スカンクワークスの新しい設計システムは「高速度域のシステムのパラメータを、従来の設定方法よりも正確かつ迅速に設定できる」そうで、航空力学の設計ノウハウがスーパーカー開発でも応用できることを示唆しているといえるでしょう。
今後はマクラーレンのエンジニアが、スカンクワークスの担当者と協力して同社の最先端技術を自動車デザインの世界で商業的に活用する方法を模索していくそうです。
マクラーレン・オートモーティブの最高技術責任者であるダレン・ゴダード氏は今回の技術協力に関して、「我が社(マクラーレン)は常に限界を押し広げ、究極のスーパーカーを作るために既存の基準を打ち砕くような革新的なソリューションを模索してきたパイオニア的な企業です。今回のプロジェクトは長期的に顧客へ利益をもたらす、長く深いコラボレーションの始まりになることを願っています」と述べています。
極秘組織が民間企業とコラボする時代に
発表内容を見る限りでは、両者のコラボレーションはエンジニアリング分野での協力が主体であり、戦闘機をモチーフにしたスーパーカーの誕生というような、わかりやすい成果物は見られないようです。ゴダード氏も前出のコメントで「長期的に顧客へ利益をもたらす」や「長く深いコラボレーション」と言っているように、今回の技術協力は一時的なキャンペーンというわけではなさそうです。
もともと、スカンクワークスは冷戦期に極秘の軍用機開発を行うために立ち上げられた研究開発部門です。ゆえに、存在自体は極秘とされ、戦略偵察機であるU-2や世界最速の実用航空機SR-71「ブラックバード」などを開発し、試験場はUFO(未確認飛行物体)などで有名なエリア51を利用していました。
しかし、そういった実績から現在では航空業界でもっとも有名な開発組織といえるほどにまで“ブランド化”しており、映画『トップガン マーヴェリック』では架空機の製作協力を行っています。
今回、スーパーカーメーカーと技術協力を実施したことは、スカンクワークスの技術レベルが高いことを証明するものだといえますが、冷戦期には前述したように極秘とされ、ときにはKGBの調査対象にまでなった組織が、こうして堂々と活躍できるようになったことには、歴史の変化を感じずにはいられません。
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