ブラジルの英雄の名を冠した、同国が誇る伝統的トラック“アウトドローモ・インテルナシオナル・アイルトン・セナ”で開幕を迎える2023年のSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”に向け、グリッドに並ぶ豪華絢爛な顔ぶれとチーム体制が確定。王者ルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)は、悲願でもあった愛息“ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロとチームメイトになり王座防衛に挑むほか、トニー・カナーンやリカルド・ゾンタ、マティアス・ロッシらTOYOTA GAZOO Racingブラジル陣営の2023年仕様カローラも公開されている。
高原に位置するブラジル随一の経済都市、ゴイアニアで3月30~4月2日に開幕を迎える創設45年目のチャンピオンシップに向け、シリーズ“5冠”の帝王カカ・ブエノの移籍や、2016年のチャンピオンであるフェリペ・フラーガの復帰など話題満載のSCB新年度は、新しいハンコックタイヤの導入や前例のないチームアライアンスなど、グリッドの約半数が新体制でのシーズンインとなり、都合7名のチャンピオン経験者が相対する。
ホンダに乗る18歳の有望株がオープニング制圧。トヨタも表彰台デビュー/TCRサウスアメリカ開幕戦
これで3年連続で母国の“ティントップ”シリーズにフル参戦するカナーンは、引き続き強豪フルタイム・スポーツのサテライトたるフルタイム・バッサーニから『テキサコ・レーシング』の看板を背負って挑む。
「このカローラは僕のキャリアで最も美しいモデルの1台だ。また新しいシーズンにテキサコのブランドを掲げられることを光栄に思う。今季のカラーリングも間違いなくグリッド上で最高のルックスだし、ストックでの良い結果を求めて1年を正しく開始したい。テキサコ・レーシングにとって歴史的な2023年を作ることに非常に意欲的さ」と意気込みを語ったカナーン。
そしてSCBキャリア通算3勝をマークする25歳のブルーノ・バプティスタの指南役として、今季もRCMモータースポーツから参戦する元F1ドライバーのゾンタも「F1に到達するまで経験したカテゴリーでは、つねにチャンピオンになることができた。それだけに今季のSCBでは非常に献身的で完璧な仕事が求められる」と意欲を見せる。
「いくつかの状況により、昨季は非常に重要なポイントを失うことになった。レースをリードしていた最中にピットでアクシデントに遭遇したりね。それがなければタイトル争いの輪に加わっていたんだから、チャンピオンシップを獲得するという考えは当然で、その可能性があることもわかっている」とSCB通算4勝と18回の表彰台を獲得している47歳のゾンタ。
「ストックカーの新しいサプライヤーであるハンコックのタイヤについては、分析が難しく充分なデータもないが、誰にとっても新しいタイヤさ。競争力のある素晴らしい結果でシーズンをスタートさせたいし、ポールポジションを勝利に変換する必要があるね」
■愛息との参戦に「夢のような気分」と父ルーベンス
そして3月26日には国内で大々的にチームの体制発表を中継したディフェンディングチャンピオンのバリチェロは、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)の一員として過ごしたジャンルカ・ペテコフに加え、新たに長男をチームメイトに迎えて2023年のタイトル防衛に挑む。
「今日は家族の歴史に残る日だ。ここでのこの発表会のために、彼(ドゥドゥ)は予定より約3時間も早く到着した。僕と同じように心配症なんだ(笑)。でも夢のような気分だ」と、すでにSCBを経験する愛息を伴ったバリチェロ。
「これまでもピットでは密接に話し合ってきたし、それが成長の一部である状況も発生するだろう。さらに難しいことを言えば、最終ラップに入ると精神的に状況が一変する場面もあるし、誰かがドアを閉めて勝利のために戦っていると理解するだろう。もちろん、チームメイトをチームメイトとして扱わなければならないが、コース内で争いが起きた場合、勝利への意欲に忠実で真実を教えなくてはならない」と宣言した54歳のチャンピオン。
一方の“ドゥドゥ”も父親のスピーチに賛同し「これが僕たちの職業であり、仕事だ。そして、僕たちはレースに勝つためにここにいる」と力強い言葉を続けた。
「もちろん僕らは忠誠心と敬意を持ってレースをしなければならないが、誰もが勝ちたいと思っている。彼(父ルーベンス)はチャンピオンであり、昨年は最高だったし、僕は彼から学ぶことだらけ。自分の進化のために彼のそばにいなければならないし、その機会を利用するだけ。きっと100%役に立つはずさ!」
そんなTGR陣営に対して、シボレー勢ではフェリペ・マッサ擁するルブラックス・ポディウム・ストックカー・チームも体制発表を終え、新たにチアゴ・メネゲル率いるTMGレーシングとのジョイント体制を敷き、チームの技術部門を強化した。
「チアゴとは長い付き合いで、この方向性を昨年から話していた。彼のチームは非常に優れた組織的構造を持っているし、シーズン中に2台の競争力のあるクルマを用意し、勝つチャンスを与えてくれることを願っている」と、僚友フリオ・カンポスを含め旧知の仲だというメネゲルの新代表就任に期待を寄せるマッサ。
そして昨季まで3年間在籍したクラウン・レーシングから、心機一転KTFスポーツへの移籍を決めたブエノは、従来とはブルーとオレンジの配色を反転させた鮮やかな0号車クルーズをドライブ。さらに1シーズンのポール獲得数と勝利数の記録保持者でもあるアッティラ・アブレウ(ポール・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)は、自身の51号車に新スポンサー“ペトロナス”を迎えて新シーズンに挑む。
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