アルファロメオ・ブランドのフラッグシップセダン「ジュリア」が2017年10月から発売が開始され、スポーツサルーンとしての乗り味をいつもの箱根でテストドライブできた。BMWイーターとも言われるジュリアは、「間違いのない」モデルなのか、早速レポートしよう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
■SKUNKワークスが造るアルファロメオ
ブリヂストン 高い氷上性能と摩耗ライフ性能、静粛性を実現した「ブリザック VRX2」を北海道で試乗
アルファロメオ・ファンにとって嬉しいのは、本格的な復活劇がこれから始まるという情報だ。アルファロメオは1910年に設立しているものの、必ずしも商業的に成功しているブランドだとは言えないと認めている。それは、欧州のローカル・マスマーケットに向けたモデル開発をしたことで、ハッチバックが中心で共有化も多く、ブランド力低下につながっていたとも話している。しかし、アルファロメオのブランドを見直し、真の意味でのグローバル・プレミアムモデルとなるにふさわしい歴史と伝統があり、そのため、2014年にフィアットクライスラーのグループになったことで、資金活用を活発化していこうとなった。
それは、クライスラーからのキャッシュ、50億ユーロをアルファロメオ単独で使うことができ、R&Dに3年間で使うという決定をしている。そして、販売という点では北米、中国にも販路が新たに開拓できたことも大きい。そのため、2020年までに40万台規模へと成長させる目標を立てている。ちなみに、アルファロメオが最も人気の高かった1980年代でも年間18万台だった。また、このプロジェクトの立ち上がった2014年では、6万8000台というのがグローバルでの販売台数で、約7倍の規模への拡大を目指すということなのだ。
そのために、アルファロメロ専門の開発スタッフが立ち上げられた。通称「SKUNK(スカンク)ワークス」と呼ばれるエンジニア集団が結成されたのだ。このSKUNKワークスにはフェラーリから2名のエンジニアが移籍し、200人規模でスタート。2017年現在は600人規模に拡大している。先日ニュースにもなったF-1への復帰もこうした背景があったということにつながる。
さて、このエンジニアリング集団の造るアルファロメオは、独自の後輪駆動ないし4WDのプラットフォームを持ち、SUVまでを含むEセグメントまでカバーするモデルを開発する。ちなみにこのオリジナルの新プラットフォームは「Giorgio(ジョルジョ)」と呼ばれている。詳細は不明だが、FCAグループのCEO肝いりのプロジェクトであり、CEOの名がSergio(セルジオ)・マルキオンネで、その名前が由来という説がある。
エンジンはガソリンとディーゼルを独自に開発し、FCAとは共有しないことも明言している。そしてそのエンジンはイタリアで製造することも付け加えている。さらにパーツ類の購買に関してもFCAの関与がなく、リソースはすべて採用が可能だということもあり、開発には大きく影響している。
これらのメカニズムを持つアルファロメオは、全部で8モデルをローンチするとしている。そのスタートがこのジュリアというわけだ。そして来年2018年には「stelvio(ステルビオ)」を発売することも発表した。2020年から22年にかけては6モデルを追加する。それはEセグメントのセダン、SUVを2モデル、スポーツモデルが2モデル、そしてコンパクトモデルが1モデルと全部で8モデル体制でアルファロメオ・ブランドを展開していくのだ。
いかがだろうか、アルファロメオの熱狂的なファンでなくでも、ワクワクとするようなストーリーになっているだろう。
■ジュリアは最高か
さて、こうした背景を持って登場したのがジュリアで、エントリーグレードから「クアドリフォリオ」の名称のトップグレードまでラインアップした。しかも、開発コンセプトは「ファースト・ザ・トップ」だ。つまり、最上級のクアドリフォリオから最初に造り、トップモデルをBMWのMやメルセデスのAMGのようにサブブランド化はしない、という体系をとるのだ。
こうした体系の中、ジュリア(FR)をエントリーグレードとし、スーパー(FR)、ヴェローチェ(4WD)、そしてクアドリフォリオ(FR)という4グレード体系とした。ジュリア、スーパー、ヴェローチェまでは2.0Lターボのガソリンモデルで、出力違いだ。そしてトップグレードのクアドリフォリオはV6 2.9Lの512psをパワートレーンに搭載している。これらの詳細は既報記事をご覧いただきたい。*参照ページ 【https://car.autoprove.net/2017/09/51880/】
さて、試乗したのは人気の中心となるであろうグレードのスーパーに試乗した。出力は200psの4気筒ターボで、マルチエア・エンジンを搭載している。
デザインはアルファロメオのもうひとつの生命線とも言えるもので、先のSKUNKワークスが担当している。イタリア・モデナにあり、これまでのMitoやジュリエッタ、4Cなどコンペティツィオーネのコンセプトモデルからのデザインを引き継いでいる。
フロントのオーバーハングは極限まで切り詰められ、スポーツサルーンに相応しいシルエットを持っている。正面からのルックスはアルファロメオらしい顔つきで、個性的だ。インテリアは、ドライバーズカーであることが一目瞭然のレイアウト。ドライバーオリエンテッドなレイアウトは全体にドライバー側へ傾斜され、操作性、視認性が高い。
メーターは2眼式のスタンダードで中央にデジタルでさまざまなデータが表示されるようになっている。またシートは全車レザー仕様で、試乗車は明るいアイボリー系の内装でまとめられていた。
アルファロメオ独特のドライブモードである「d・n・a」はトランスミッションがZF製の8速ATを採用しているため、ダイナミック、ノーマル、アドバンスド・エフィシェンシーになった。ポイントはaモードで、以前はオールウエザーだったが、今回から高速域ではクラッチが切り離されエンジンがアイドリング状態となり、滑空するモードが加わった。
もちろん、dを選択すればシフトタイミングが切り替わり、よりアグレッシブな走行が楽しめるのは言うまでもない。メーターやナビ表示が変わり、アクセルレスポンスは格段に軽やかに、そして力強さが増す。
ステアリングまわりでは、パドルシフトがコラム固定式で、フランスやイタリアのラテン系のクルマにはこのタイプが多いが、ジュリアのパドルレバーはステアリング本体との距離が近いため、常に手に触れている設定だ。いつでもスポーツモードという演出なのかもしれない。
そしてエンジンスタートボタンがステアリングのホーンボタンの横にある。クアドリフォリオだと、このボタンが赤になり、この位置に設置するところもアルファロメオらしいセンスだ。
スタートボタンを押しエンジンをかけ走り出す。ピレリPzeroを装着し、タイヤサイズはフロント225/45-18、リヤ255/40-18という扁平だが乗り心地がいい。ステアリングの応答は俊敏で、BMW3シリーズよりもよく動く。少しの操舵でも動く設定をしているのが印象に残る。
だが、ハンドリングは素直な弱アンダーでFRらしい走りを楽しめる。ハイスピードでアンジュレーションのある路面でもサスペンションが気持ちよくいなす。50:50の前後荷重配分の設計思想とオリジナルのアルファ・リンクというサスペンションを持っているが、微低速時のダンパーの動きもよく、ハイスピードでもしなやかに収束する。そして操舵方向へ自然と向きを変え、外乱の影響もなく操舵方向へと回頭するのは安心感が高い。
欲を言えばdモードのときは、もっと官能的なエンジン音を聞きたいと思う。フェラーリのエンジニア、イタリア、アルファロメオという単語を並べるだけで、「官能」の文字が脳内をよぎる。ドイツ車とはひと味も、ふた味も違うところをこれでもか!というほどに感じてみたい。もっともクアドリフォリオがその役目を担っているのかもしれないが。
じつはこのエンジンはマルチエア技術を使った新開発のダウンサイジングターボで、5500rpm付近からレッドゾーンになる。そのため、高回転の官能的なサウンドは、そもそも期待できないコンセプトなのだが、期待値は大きい。
■まとめ
再スタートを切ったと言ってもいいアルファロメオだが、そのスタートダッシュを担う「ジュリア」は間違いのない、満足度の高いモデルだった。プレミアム・セグメントに突入し、イタリア車として、新しいベンチマークになったと言っても過言ではないだろう。
国内ではジャーマンスリーが強く、それをジャガーが追いかける展開。アルファロメオは現在44拠点の販売店があり、フィアットとの併売店となっているが、順次アルファロメオの専売ディーラーへとシフトし、さらに2018年には全国60拠点にまで増やす計画が進行中だ。
そして、ドイツ車からの乗り換えもあるが、それより、イタリアならではのプレミアムモデルを楽しみ、ドライビングエモーションを感じられるモデルを待ち望んだユーザーを刺激するのは間違いない。そして、この先もアルファロメオからはモデル投入が続き、来年(2018年)にはSUVモデルもデビューする。そしてEセグメントのセダンとして、本当の意味でのフラッグシップモデルのデビューも控えている。マセラティ・ギブリを脅かすようなプレステージモデルであることも期待したい。
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