■時代はいま、タイムレスな「定番」を求めている
ジープ「ラングラー」が好調である。2021年3月の月間販売台数は1123台と、はじめて1000台を突破。4代目ラングラーは2018年から日本市場に導入されており、とくに新規感あるモデルではないにも関わらず、販売台数を着実に伸ばしているのである。
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その理由を確かめるべく、「ラングラー・アンリミテッド・サハラ」とともに1週間を過ごしてみることにした。
日本では現在、ラングラー・アンリミテッドは3つのグレード展開をしている。車両価格順に手頃なものから「スポーツ」、「サハラ」、「ルビコン」というラインナップだ。
このうち、都市生活者の日常のパートナーとしてもっともオススメなのは、個人的にはサハラ。ルビコンではない理由は、究極の4×4システムである「ロックトラック4×4システム」を必要とするほどのオフロードを走らない人にとっては、ルビコンではオーバースペックという判断による。
では、サハラと同じ「セレクトラック フルタイム4×4システム」を搭載し、価格も手頃なスポーツでもよさそうなものだが、オーバーフェンダーとフリーダムトップ3ピースモジュラーハードトップがブラックであるため、街中ではハードすぎるイメージになってしまう。
一方、サハラではスポーツでブラックの部分がボディ同色となる。そのため外観が洗練された都会的な雰囲気になり、さらにスポーツではファブリックだったシートが、サハラだとレザーに。「泥」のイメージが強いラングラーにあって、都会的で洗練されたイメージがあるのがサハラなのだ。
ボディカラーは、ブラックC/C、ブライトホワイトC/C、グラナイトクリスタルメタリックC/C、スナッズベリーP/Cの4色。どれもよく似合うカラーだが、オンロードメインで使用(しかも都市部)することを考えると、ホワイトかスナッズベリーあたりがお洒落。ボディ同色のオーバーフェンダーが効果を発揮するカラーだ。
今回試乗したラングラー・アンリミテッドは、スナッズベリー。もっともお洒落上級者向けのボディカラーである。
●永遠のスタンダード
ラングラー・アンリミテッドがいま受け入れられている理由は、試乗するまでもなく幾つか挙げることができる。SUVブームが後押ししていることはもちろん、最大の理由は永遠のスタンダートといえるデザインにあるだろう。
フロントの丸目2灯にセブンスロットグリル。角張ったフォルムに台形のホイールアーチ。これぞジープというスタイルをまとったエクステリアは、もはやアイコンとして完成されたデザインだ。そういえば、ラングラー・アンリミテッドのデザイン的始祖であるウィリス「M-38A1ジープ」は、MoMAに永久収蔵されている数少ないクルマの1台であった。つまり、すでにウィリス時代にデザイン的には完成されていたということになる。
クルマだけでなくライフスタイル全般にこだわりのある人は、一過性の流行りのデザインのクルマや、エンブレムを外すとどこのブランドか分からないようなクルマにはおしなべて興味がない。
たとえば、メルセデス・ベンツ「Gクラス」やポルシェ「911」は、もはや外観のデザインそのものがアイデンティティとなった典型であろう。別のいい方をすれば、Gクラスや911のデザインは、「SUV」や「スポーツカー」を意味するものではなく、「Gクラス」であり「911」であるという記号にまで昇華されている。同じくラングラー・アンリミテッドのデザインは、紛れもなく「ジープ」を意味する記号だ。だからこそ時代を超えて根強い人気があるのだ。
■ラングラー、選ばれる理由は操縦する体験にあり
ラングラー・アンリミテッドは、ドアを開け、シートに乗り込む瞬間からすでに懐かしく、新鮮だ。これに近い感覚を現在新車で体験できるクルマは、Gクラスだろうか。
そっとドアを閉じるオートクローズに慣れた人にとっては、野蛮とも思えるくらいに力強くドアを閉じる。ドアキャッチの金属的な乾いた音が心地よく耳に届くと、気持ちが一気にドライブモードへと切り替わる。
シート調整は電動ではなく手動だが、それも一向に構わない。むしろ前後にシートをスライドさせたり、背もたれを一気に倒すことができるのは、アウトドアシーンで使うには便利なくらいだ。さらにいえば、悪路を走破するには軽量であることが有利に働く。そのための非電動化であると思えば、ラングラー・アンリミテッドの美徳であるとさえ思えるだろう。
●ナルシシズムとヒロイズム
インテリアのデザインは、ギア感の演出とジープの自己演出が少々過剰気味かもしれないが、現代の洗練されたSUVのコックピットに比べると、まだまだ野趣が溢れている。時計でいえばG-SHOCKのようなギア感たっぷりの演出だ。
さっそく本来のステージではない都会のアスファルトへラングラー・アンリミテッドをリリースする。オンロードを主戦場としてセッティングされているSUVとは、まったく違う独特のドライビング作法が要求される。それが「自分でクルマを運転している」という、至極当たり前な感覚を呼び覚ましてくれる。
1995ccの直列4気筒ターボエンジンは、最高出力272ps/5250rpm、最大トルク400Nm/3000rpmで2235kgのボディを過不足なく引っ張る。スペック的には十分だ。
ただし高速道路を走らせていて、直進安定性などのマナーは、昨今のオンロード主眼のSUVには劣ってしまう。ラングラーはあくまでも悪路を走破することに焦点を合わせてあるので、これは致し方ない。しかし、そのことが逆にアスファルトの道路を自らの手でドライブしていることを思い出させてくれる。
スーパーカーでこの感覚に近い現行モデルを1台挙げるとしたら、ランボルギーニ「アヴェンタドール」とでもいおうか。普段使いできるスーパーカーを目指した「ウラカン」では決してない。ただし、アヴェンタドールでも「LP700-4」が車名につく最初期モデルである。
アヴェンタドールはスーパーカーという存在をわかりやすく具現化した1台だ。スーパーカーは動力性能(最高速度や最高出力など)が高いことはもちろん、「ハレ」の存在でなければならない。見た目もそうだが、運転すること自体が非日常である必要がある。
スーパーカーに限らず、デイリーで使えるということは、汎用性があるということだ。そしてそれは、大衆化であり、ひとつに秀でた特化した能力がないということでもある。つまり、運転しやすく日常で使えるスーパーカーという言い回しは、実は矛盾を孕んだ表現でもある。
話を戻すと、初期のアヴェンタドールは、クラッチの繋がりや固いサスペンションなど、なかなか運転していて疲れるクルマであった。それはバレルンガのサーキットで「コルサ」モードで全開走行したあと、気分が悪くなったほどだったから間違いない。当時のランボルギーニにしては洗練されていたものの、スーパーカーとしての野性味はまったくスポイルされていなかった。
もちろん、いろんな意味で使いやすいものではない。GTカーになろうはずもない。しかし、それでいいのだ。スーパーカーは衒示的欲求を満たすことが最大の目的であり、そんなクルマを自らドライブしているということに意義があるのだから。そこには、少なからずナルシシズムとヒロイズムが混在している。
ラングラー・アンリミテッドのドライバーズシートに座って、普段より少し高いアイポイントから周囲を見渡したとき、「こいつならどこにでも乗っていける」という全能感に包まれる。センターコンソールには、トランスミッションとセレクトラック4×4のレバーが2本突き出している。男性なら幼い頃に憧れたであろう、戦闘ロボットのコックピットに座ったような高揚感。
これに近い高揚感は、アヴェンタドールLP700-4に乗り込んだときも味わえる。赤い蓋を親指でパチンと開いてスイッチオンしてエンジンを始動させる所作など、まるで戦闘機だ(乗ったことはないが)。初期アヴェンタドールのメーターパネルの演出もさらに輪をかけて気分を高めてくれるものだった。
さて、ここで両車をロボットアニメにたとえてみたいと思う。アヴェンタドールが『超時空要塞マクロス』の「VF-1 バルキリー」のパイロット気分に浸れるとしたら、ラングラー・アンリミテッドは、『太陽の牙ダグラム』のコンバットアーマー「ダグラム」を操縦しているような気分になれるとでもいおうか。フラットなフロントウインドウなど、まさにそんな感じだ。
かつては、クルマを運転──否、ここでは操縦と表現してもよい──すること自体が、心躍る体験だった。自動操縦はいうまでもなく、リビングの延長線上を目指すクルマばかりが増えるなか、クルマを操縦することの歓びをダイレクトに伝えてくれるクルマは少なくなった。ミニバン代わりのSUVとなるとほぼ皆無といってよい。
ラングラー・アンリミテッドがいま選ばれる理由は、操縦するという行為でクルマと対話することを望む人が増えたからではないだろうか。クルマの自動運転技術が進めば進むほど、クルマを操縦することそのものの価値は上がってくる、もしくは見直されるに違いない。クルマを操縦・運転することが、すでにかけがえのないユーザーエクスペリエンスとなりつつあるのだ。
たとえ、都会のアスファルトの上でラングラー・アンリミテッドを走らせたとしても、それを操縦するドライバーの視線のはるか先には、ルビコン・トレイルが見えているに違いない。それくらい、ドライバーズシートに座った瞬間からスイッチが切り替わるラングラー・アンリミテッドは、まさしくスーパーカーのコックピットに着座したときと同じなのである。
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