もくじ
どんなクルマ?
ー 最後のグランツーリスモ
ー 数々のオプション 大量のカーボン
どんな感じ?
ー 所有欲をくすぐるモデル
ー 素晴らしいGTカー それでも残る不満
「買い」か?
ー ロマンスで選ぶクルマ
スペック
ー マセラティ・グランツーリスモMCのスペック
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どんなクルマ?
最後のグランツーリスモ
モデル末期を迎えたマセラティが誇るベストセラー、グランツーリスモ2018年モデルの「ライトウェイト」なMCを、最後に英国での路上テストに連れ出して惜別の辞を送ろうと思う。
モデナではこのモデルのオーダー受付を終えているのだから、まさにこれが最後だ。グランツーリスモの生産はすでに終了しており、このクルマが欲しければ、ディーラー在庫から探し出す必要がある。では、その必要があるかどうかさっそく見てみよう。
まずはこのクルマについて少し説明しておこう。11年前、このマセラティの4シータークーペは、他でもないフェラーリが設計を担当した405psを発する4.2ℓV8エンジンを積んで登場した。もし、そのルックスとサウンドだけで評価するなら、このクルマはすべてのグループテストに勝利することでその栄光を確たるものとしただろうが、実際にはそうならなかった。それでも、このグランツーリスモはわれわれのお気に入りだった。
その後、439psの4.7ℓエンジンに、オートマティックギアボックスに替えて採用されたロボタイズド・マニュアルギアボックスを組み合わせ、固められたサスペンションと太くなったアンチロールバーを備えたグランツーリスモSが発売されている。
予想通りボディコントロールは改善されていたが、依然としてステアリングの重みは一定でなく、いまではその乗り心地も落ち着きに欠けるものだと言わざるを得ない。それでも当時、われわれはBMW M6よりもこのクルマを高く評価していた(バングルデザインにV10エンジンを積んだ力強さが自慢のM6の価値はそのうち驚くほど上昇するだろう)。
2012年には、ポルシェGT3のようにハードコアで驚くべきサウンドを発するフラッグシップモデルたるMCストラダーレからいくつかのスタイリング上のヒントを得て、グランツーリスモSにもフェイスリフトがほどこされ、その深遠な魅力がさらに増すとともに、パワーアップも果たしている。
数々のオプション 大量のカーボン
そして、昨年には2度目のフェイスリフトによって、モデルがスポーツと今回テストに連れ出したMCだけに絞られ、両者とも4.7ℓへと拡大された排気量から460psを発揮し、ZF製6速オートマティックを介してリアだけを駆動している。
今回のテスト車両には数々のオプションが搭載され、価格がベースモデルの10万7865ポンド(1572万円)から12万6989ポンド(1850万円)へと上昇している。
主なオプションとしては、960ポンド(14万円)のアルカンターラ製ヘッドライニング、標準装備だと思うかも知れないが実際には420ポンド(6万1000円)のオプションとなるMC アルミニウムペダル、多くのカーボンを使用している1740ポンド(25万4000円)のスポーツライン・インテリアと、960ポンド(14万円)のカーボンカバー付ステアリングホイールといったものが含まれている。
実際、カーボンの使用はこれだけに留まらない。272377のシャシー番号をもつテスト車両には、合計で6000ポンド(87万4000円)以上にも達する3つのカーボンインテリアパックと、エクステリアにはトランクリッドのスポイラーに代表される2280ポンド(33万2000円)のオプションが装着されていた。そのすべてが2000年代前半を思い起こさせる、イタリア風に煌びやかでカーボン繊維のハッキリとしたものであり、テスターの目には好ましく映ったが、多くは違う意見を持つかも知れない。
どんな感じ?
所有欲をくすぐるモデル
MCは非常に所有欲をくすぐるモデルだ。その7500rpmまで回るウェットサンプのV8エンジンは、依然として量産モデルのなかではもっとも魅力的なスタートアップを見せ、そのサウンドはハスキーでありながら、ブリッピングには素晴らしいスムースさで応えてくれる。さらにどう猛な優美さとでも表現すべきそのボディワークを見れば、何故フェラーリはピニンファリーナとの関係を終えてしまったのかと思うだろう。
だが、そのエンジンとボディスタイルも批判と無縁な訳ではない。いかに自然吸気とはいえ、ターボ過給エンジンと比べ中速トルクが決定的に不足しており、2地点間を移動するクルマとしては、グランツーリスモはそのルックスやサウンドほどの速さを見せてはくれないのだ。
さらに、リアランプは第4世代のフォード・モンデオのようであり、20インチのリアホイールも、巨大なホイールアーチのなかではやや存在感を失っていると言わざるを得ない。特に、ホイールアーチについては、このクルマのプラットフォームがクワトロポルテに使用されているもののショートバージョンだと知れば、なおさら不満を感じるだろう。
キャビンでは、反応と操作性に優れた新しいインフォテインメントシステムが目を引くが、インテリアの他の部分がすでに時代遅れになりつつあり、すべてが調和しているとは言い難い。さらに、最高速度299km/h、0-100km/h加速4.8秒を誇るクルマとしては、ステアリングとシートの調整幅も不十分だ。
素晴らしいGTカー それでも残る不満
小さな不満を除けば、GTカーの真骨頂が長距離移動と、目的地までいかにパッセンジャーを楽しませるかにあるのだとすれば、グランツーリスモは依然としてその要求に十分応えている。どんな速度でも快適性を失わず、Bピラー周辺から聞こえてくるわずかなウインドノイズを除けば、キャビンは十分に静かだといえる。まるで教会のなかにいるかのようなメルセデスのS500クーペにいつも乗っているのでなければ、それも気にならない程度であり、両者とも数百マイルの旅など何事もなかったかのように感じさせてくれるだろう。
それでも、気筒休止やコースティング機能、その他最新の燃費向上技術など搭載されていないにもかかわらず、最高で9.9km/ℓに達する長距離燃費は注目に値する。86ℓのタンク容量があれば、805km以上の航続距離を期待することができ、今回のテストではさまざまな条件で走り回って8.1km/ℓの燃費を記録している。
滑らかなA級路はまさにこのクルマのためにあるようなものだが、路面状況が荒れてくると、1900kg近い重量と、長さのあるホイールベースをもつこのクルマは途端に対応に苦しむようになる。
ノーズからのニュートラルなバランスとともに、MCは適切なグリップとトラクションを発揮するものの、そのコントロール性は特筆するレベルにはなく、固められたダンパーセッティングにもかかわらず、ドライバーが要求水準を上げると、そのボディはフロントアクスルの動きについていくことができなくなる。
そのため、コーナーへの進入には注意が必要であり、フロントタイヤが伝えてくるフィールにもダイレクトさがまったく欠けていると言わざるを得ない。マセラティが登場間近のアルフィエーリを真のドライバーズカーにしたいのであれば、ステアリングラック(現状は油圧式だ)のレシオに手を入れるとともに、ブレーキも強化する必要があるだろう。
英国の路上にもMCは十分上手く対応してみせ、基本的な乗り心地は素晴らしかったが、ポットホールや荒れた路面ではその影響を強く受ける傾向があった。とりわけ、フロントの鋭い衝撃をそのままボディへと伝え、リアにも落ち着きが不足しているように感じられた。
「買い」か?
ロマンスで選ぶクルマ
モデル末期のこのタイミングで新車のグランツーリスモを購入するということは、クルマに求める優先順位を明らかにすることになる。もし、単に速いクルマが欲しいのであれば、より素晴らしい多くのライバルが存在するし、ドライビングにおけるクルマとの繋がりを感じたいのであったとしても、グランツーリスモは他のライバルたちのレベルには達していない。
だが、このクルマにはロマンスがある。最初のコーナーでフォード・フォーカスRSに置き去りにされたとしても、そのルックスとサウンドの素晴らしさは変わらない。実際のところ、このクルマのルックスとサウンドが素晴らしく思えない状況を思い浮かべるのは難しい。
特にロッソ・トリオンファーレに塗られたこのクルマは時代を超越したものを感じさせ、すべてが最新である必要のないひとびとにとっては非常に魅力的な選択肢となるだろう。そうしたひとびとの検討を祈りたい。
しかし、残念ながらこれはわれわれの姉妹紙であるClassic & Sports Carではない。グランツーリスモのような広いリアシートが必要であれば、われわれにはベントレー・コンチネンタルGTが選択肢となるだろうし、そうでなければ、アストン マーティン・ヴァンテージかV8を積んだDB11を選ぶだろう。
では、趣のある素晴らしいエンジンが必要だとしたら? さらにハードコアなモデルがわれわれのチョイスだ。
マセラティ・グランツーリスモMCのスペック
■価格 10万7865ポンド(1572万円)
■全長×全幅×全高 4910×1915×1380mm
■最高速度 299km/h
0-100km/h加速 4.8秒
■燃費 7.0km/ℓ(複合サイクル)
■CO2排出量 331g/km
■乾燥重量 1873kg
■パワートレイン 4691cc V8
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 460ps/7000rpm
■最大トルク 53.1kg-m/4750rpm
■ギアボックス 6速オートマティック
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