ジャック・ドゥーハンが2025年F1シートを失う可能性があり、最近アルピーヌがカタールで行ったプライベートテストの目的は、彼のパフォーマンスを改めて評価することであるとの憶測が持ち上がっているが、このテストにはそれほど深い事情はなかったようだ。
アルピーヌのエグゼクティブアドバイザーであるフラビオ・ブリアトーレが、フランコ・コラピントのマネジメント陣営に対して、ウイリアムズから離脱する可能性について尋ねたといわれることから、アルピーヌがすでに来季契約を発表済みのドゥーハンを降ろす可能性があるのではないかという疑念が生じた。
アルピーヌ、2026年よりメルセデスのパワーユニットとギヤボックスを使用へ。複数年契約を締結
そんななか、最近アルピーヌがロサイル・インターナショナル・サーキットで2年落ちのF1マシンA522を使ってプライベートテストを行い、ドゥーハンとともにレギュラードライバーのピエール・ガスリーが参加したことが、さらなる憶測を呼んだ。しかし、このテストのラインアップには、少し前に起きたチーム内のある出来事が関係しているとの見方がある。
ドゥーハンは、来年のF1デビューに備えて、2022年型のマシンで何度もテストを行っており、カタールのロサイルでの2日間のテストは、年初から計画されたものだった。このテストにFIA F2ドライバーのビクトール・マルタンスとクッシュ・マイニが招かれたのも、以前から決まっていたことだ。彼らのうちひとり、おそらくはマルタンスが、2025年にドゥーハンに代わってアルピーヌのリザーブ&テストドライバーになるものと考えられる。
今回のテストで唯一、計画外の出来事は、ガスリーが参加したことだ。アルピーヌがガスリーを起用したのは、ドゥーハンと比較するためというより、ガスリーの行動を罰する目的が大きかったと思われる。
ガスリーは、チームミーティングや行事にかなり遅れて到着する傾向があり、メキシコシティGPの週末に、ブリアトーレの怒りを買った。チーム関係者によると、メキシコシティでは常にひどい渋滞が発生しているにもかかわらず、ガスリーは金曜日の朝にホテルを出るのが遅かったため、サーキット到着が、予定より大幅に遅れてしまったという。
激怒したブリアトーレは、ガスリーを欠場させると脅したが、オリバー・オークス代表に、それは得策ではないと説得された。ブリアトーレは、ガスリーを予定どおりグランプリに出場させることにしたものの、レースチームメンバー全員の前で、ガスリーを叱責し、多額の罰金を科した。翌日は、ガスリーだけでなく、エステバン・オコンやドゥーハンも、予定よりかなり早くサーキットに到着したという。
ガスリーをカタールでのテストに送り、半日走らせたのは、彼への罰の意味合いが大きかったとみられる。本来ならガスリーは、自宅に戻ってインテルラゴスでの表彰台を祝い、シーズン最後の過酷なトリプルヘッダーに向けてエネルギーを蓄えたかっただろう。
アルピーヌは、ドゥーハンに関し、アブダビGPのFP1に出場させ、ヤス・マリーナでのテストではルーキー枠で走らせる計画だ。アブダビテストでのもう1台のマシンにはガスリーが乗り、2025年ペアが揃う予定となっている。
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