2019年12月1日に行われた第21戦最終戦アブダビGPで、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンはルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)に次ぐ2位となった。期待された連勝こそならなかったが、ホンダ勢の4台中3台が入賞するなど、パワーユニットのパフォーマンスは上々だった。ここではホンダ勢の戦いぶりとともに、4人のドライバーのコメントをレポートする。(タイトル写真はダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)。予選14位、13番グリッドスタート、決勝9位。)
フェルスタッペンが2位、ホンダ勢4台中3台がポイントを獲得
ブラジルGPでの圧倒的な勝利から一転、アブダビGPのメルセデスAMGには好調のレッドブル・ホンダでも敵わなかった。絶対的なパワーだけでは勝てないし、マシンセッティングを含めて、ドライバビリティをいかに上げていくが重要なポイントとなるようだ。それでもレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは3位以下を大きく引き離して2位表彰台を獲得、シーズン終盤の好調を保ったままシーズンオフを迎えることになった。
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2番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは、1周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)にかわされて3番手にポジションを落とすものの、タイヤ交換を25周目まで遅らせてミディアムからハードへタイヤを交換すると、ターン8でルクレールを豪快にオーバーテイク。そのまま2位の座を守り切ってゴールした。最初のスティントを長くとる作戦を見事に遂行、早めにタイヤ交換をしていたルクレールを見事に捉えた。これでフェルスタッペンは、シーズン終盤の3戦を勝利と表彰台で締めくくったことになる。
チームメイトのアレクサンダー・アルボンは、レースの大半でセバスチャン・ヴェッテル(フェラーリ)とバトルを展開。序盤でハードタイヤに履き替える1ストップ戦略を採ったアルボンだったが、2ストップ戦略で攻めたヴェッテルにわずかに及ばず、6位でゴールしている。アルボンはレッドブル移籍後8度目のトップ6フィニッシュ。ドライバーズランキング8位でシーズンを終えた。
一方、トロロッソ・ホンダのダニール・クビアトは、13番グリッドからハードタイヤでスタートすると、41周目までタイヤ交換を遅らせてポイント圏内へ浮上。タイヤ交換後も、ニコ・ヒュルケンベルグをオーバーテイクするなど好走を見せて9位に入賞し、ドライバーズランキングでもヒュルケンベルグを逆転した。
惜しかったのはピエール・ガスリー。スタート直後の混乱の中でフロントウイングを破損し、交換のためにピットストップを強いられたことで最後尾まで後退。そこからフィニッシュまで走り切るチャッレンジングな戦略をとったが、このレースではセーフティカーの出動や大きなイエローコーションはなく、18位でフィニッシュとなった。
F1第21戦最終戦アブダビGP決勝 結果
優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)55周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+16.772s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +43.435s
4位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+44.379s
5位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+64.357s
6位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+69.205s
7位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+1周
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+1周
9位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)+1周
10位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+1周
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18位 10 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ)+2周
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、最終戦アブダビGPを終えて「フェルスタッペン選手が2位表彰台を獲得、そしてホンダのパワーユニットを搭載するマシン3台が入賞を果たすことができ、いい形でシーズンを締めくくることができました。フェルスタッペン選手はタイヤをマネージメントしながら素晴らしいドライビングを見せてルクレール選手をオーバーテイクし、ドライバーズランキング3位を確定させるなど、今日もいい走りを見せてくれました。アルボン選手も6位入賞と、いい形でルーキーイヤーを終えてくれました。トロロッソ・ホンダについては、クビアト選手が非常に上手くタイヤをマネージメントし、41周目までピットインを伸ばしたことが奏功し、9位入賞を果たしました。チームの戦略とともにいいレースをしてくれたと思います。ガスリー選手についてはスタート直後の接触の影響により残念ながらポイント圏外に終わる形になりましたが。今年は2015年の復帰以来、初めて2チームにパワーユニットを供給しました。2つのチームといいコミュニケーションをとりながら、レッドブルとは3勝を挙げ、トロロッソとも2度の表彰台を獲得するなど、確実に前進を果たせた1年になりました。4人のドライバーと両チームはもちろん、懸命に開発をプッシュしてくれたHRD Sakuraとミルトンキーンズのファクトリーのメンバー、そしてサプライヤーの方々の努力に対して、改めて感謝の言葉を送ります。今年はとてもいいシーズンを送ることができました。しかし、まだまだ我々が目指している場所には到達していません。来年もさらなる高みを目指し、戦いを続けていきます」と振り返っている。また、最終戦を終えてホンダ勢4人のドライバーは次のように語った。
マックス・フェルスタッペン
「シーズンを表彰台という結果で締めくくれて、ドライバーズランキングでも手強いフェラーリ勢より上位で終われたので、うれしいです。このコースでは、ルイス(ハミルトン)とメルセデスが少し速すぎましたね。僕らもチームがいい戦略と素晴らしいピット作業を展開し、マシンもよく機能していたので、2位はいい結果だと思います。ペースはよく、全体的にライバルたちより速く走れたことは、いい感覚です。今シーズンを振り返ると、ハイライトはオーストリアGPです。ホンダの復帰後初勝利を飾れたことはとても印象的でしたし、チームにとってはホームGP、そしてオランダから来た多くのファンの前で優勝することができて、最高の気分でした。今年はいいシーズンで、チームは決して歩みを止めませんでした。そして、ホンダも進化を示してくれて、僕らは1年目から満足できる結果を残しました。僕らはチームとしてさらに前進し、来年はタイトル争いをしたいと思います。上位勢との差を埋めるために全力でプッシュしていく必要がありますが、ここ数戦の結果はいい兆しになっています。今日は素晴らしい締めくくりとなりましたが、先へ目を向けて、2020年にはさらなる競争力を手にしたいです」
アレクサンダー・アルボン
「決勝レースは望んでいたような結果にはなりませんでした。その原因はこれから解明する必要があると思います。ヴェッテル選手(フェラーリ)を追い抜くために早めにピットインしたのですが上手くいかず、DRSを使用できず、他のマシンによるトラフィックに引っかかってしまいました。それが原因で必要以上に長いスティントになってしまい、タイヤが最後まで持たず、同時にヴェッテル選手が思っていたよりも早くポジションを大きく上げてしまいました。レースでは起こってしまうことなので仕方がありません。今シーズンを振り返ると、僕にとってとてもいいシーズンになりました。今年はルーキーイヤーだったので、もちろん改善していかなければならないことはまだ多くあると感じています。レースは上手くいったことも多かったのですが、レースペースについては経験を積むことで改善していきたいと思っています。オフシーズンは来年の心配をせず、自分のするべき仕事に集中して過ごせるので安心しています。このチームでレースができることを光栄に思っています。2020年シーズンが今から待ち遠しくて仕方がありません」
ピエール・ガスリー
「もっとバトルができることを期待していました。ダニール(クビアト)が見せてくれたように、僕たちのレースペースはとてもよかったので、最終戦はもっとエキサイティングな展開で締めくくることができたはずでした。残念ながら、最初の周で後ろから衝突された勢いで前のマシンにぶつかり、フロントウイングにダメージを負ってしまったことで、僕にとってはそこでレース終了というような展開になってしまいました。フロントウイングを交換するためにピットストップを行い、コースに復帰しましたが、他のマシンよりも1周遅れとなりました。周回遅れで誰と争うこともできず、ただセーフティカーを願うだけで、とてもフラストレーションのたまる時間でした。シーズン締めくくりのレースは、もっといい展開を期待していただけにとても残念です」
ダニール・クビアト
「今シーズンを締めくくる、いいレースになりました。ハードタイヤでの最初のスティントは、僕のキャリアのなかでも一番いい走りだったのではないでしょうか。最大限にプッシュして走行することができました。どの周回でもライバルより速く、マシンの手応えも素晴らしかったです。すべてが僕たちのプラン通りにいきました。チームが立てた作戦は素晴らしく、レースに向けてのセットアップもできていたのではないでしょうか。予選で少しロスした部分はあったかもしれませんが、決勝ではすべてをうまくまとめることができました。ここ最近は、どこかやり残したような感覚があったレースが続いていたので、シーズンの最後はいいレースで終えたいと思っていました。今日のようなレースで今シーズンを締めくくることができて、本当に満足しています」
ピレリタイヤはアブダビGPのレース結果を受けて「ハミルトンが1ストップ戦略(ミディアム→ハード)でシーズン最後のレースを制しました。 2位のフェルスタッペンもほぼ同じ戦略でしたが、3位のルクレールはミディアム→ハードに最後のソフトを追加するという異なる戦略を採用し、接戦となったレース終盤においてソフトタイヤのスピードアドバンテージを活かしました。また、最後尾からミディアムタイヤでスタートしてもう少しで表彰台というところまで追い上げたボッタスの走りも見事でした。トップ10で異なる5つのピットストップ戦略が見られたのは興味深いところです。タイヤの観点では、我々のタイヤレンジ中で最も軟らかい組み合わせのパフォーマンスに満足しています。レースラップレコードが周回を重ねたハードタイヤによって更新されました」とレポートしている。
このアブダビGPで、F1世界選手権の2019年シーズンは終了。2020年シーズンは3月13日オーストラリア・メルボルン アルバートパークサーキットで開幕、決勝は3月15日行われる。
2019 F1ドライバーズ選手権最終結果
1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)413
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)326
3位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)278
4位 C.ルクレール(フェラーリ)264
5位 S.ヴェッテル(フェラーリ)240
6位 C.サインツ (マクラーレン・ルノー)96
7位 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ)95
8位 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)92
9位 D.リカルド(ルノー)54
10位 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)52
11位 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)49
12位 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ)43
13位 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)37
14位 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)37
15位 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス)21
16位 K.マグヌッセン(ハース・フェラーリ)20
17位 A.ジョビナッツィ(アルファロメオ・フェラーリ)14
18位 R.グロージャン(ハース・フェラーリ)8
19位 R.クビサ (ウイリアムズ・メルセデス)1
20位 G.ラッセル (ウイリアムズ・メルセデス)0
2019 F1コンストラクターズ選手権最終結果
1位 メルセデスAMG 739
2位 フェラーリ 504
3位 レッドブル・ホンダ 417
4位 マクラーレン・ルノー 145
5位 ルノー 91
6位トロロッソ・ホンダ 85
7位レーシングポイント・メルセデス 73
8位アルファロメオ・フェラーリ 57
9位ハース・フェラーリ 28
10位ウイリアムズ・メルセデス 1
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