2025年1月10日から開催された「東京オートサロン2025」(千葉県・幕張メッセ)で、スズキは、新しい「ワゴンR」をベースとした「ヨーロピアン・アンティーク」に迫る。
かなり凝った作り
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東京オートサロン2025のなかで、最もキュートだったかもしれないのが、スズキが出展したコンセプトモデル、ワゴンRスマイル ヨーロピアン・アンティークだ。
「スマイルを解釈して出てきたキーワードが“キュート”で、キュートにはなにが合うだろうか……と、考えたのがアンティークでした」と、スズキの担当デザイナーが開発の出発点を語る。
ワゴンRスマイル ヨーロピアン・アンティークは、凝った仕上げだ。ひとつは塗装。車体側はバラのような色で輝く。ベースコートはベージュで、その上にピンク、さらにトップコートにはクリアを載せている。
そのため、光の当たり方で色が変わるように見える。上からの光が当たるとボディのショルダー部分が強いバラ色に見える。加えてキャビン部分は白にパールを混ぜた塗装なので、やはり光線の当たり方で色が変わって見える。
ピンクはキーカラーだったようで、ヘッドランプのカバー(これが強烈な印象をもたらしている)、グリルのアクセントライン、バンパーのバンプストップ、キャビンとボディの境界のライン、など要所要所に少しずつ彩度の使うピンク色が用いられている。
ボディでは、ハッチゲート、ルーフ、ボディ側面下部に、レースを思わせるパターンが貼られている。こういう細やかさが大事なのだろう。
印象的だったのは、タイヤだ。ダンロップがこのクルマのために手がけたという、サイドウォールがピンク色に塗られた特別仕様。
室内では、ボタニカルなパターンがエンボス加工されたスウェード調のシート表皮が、独特の雰囲気を作っている。シートの上にはクッションが配されていて、まさにヨーロピアンな部屋のよう。
アンティークとはなにか……ということを掘り下げていくと、収集がつかなくなるんじゃないかって思ったけれど、担当デザイナーによると「すんなりまとまった」という。そこは面白い。
「年齢や性別にかかわらず、広い層に乗っていただきたい」というのがスズキの担当者の思い。徹底的ともいえるぐらい凝ったデザインなので、なるほど、説得力を感じさせる。
タイヤ以外、このままの状態でも販売できるぐらい現実性のある提案という。タイヤついては塗装が割れない技術はまだ開発されていないそうだ。
文と編集・稲垣邦康(GQ)
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