積算1万3428km ポルシェ911と同等の疲労感
順調に走行距離を伸ばしている、長期テストのマセラティMC20。スーパーカー特有の乗りにくさはあるとはいえ、日々快調だ。
【画像】心を鷲掴みにする優美な容姿 MC20 最新の電動マセラティ 2004年のMC12も 全133枚
ただし、高速道路を走行中にタイヤの空気圧が低下。急遽、最寄りの整備工場へ持ち込むことになった。もっと酷い状態かと不安になったが、ホイールのバルブキャップがなくなっていただけで、エアの追加で大丈夫だったようだ。
慌てて駆け込んだ整備工場は、なかなか雑然とした雰囲気。アニメに出てきそうなカッコいい場所で、思わず写真を撮ってしまった。オプションに約9万ポンド(約1746万円)も費やされたマセラティが、ひときわ美しく感じられた。
この軽いハプニングは、英国の自動車試験施設、MIRAの帰り道で発生した。英国編集部があるロンドンからは往復4時間の移動だが、快適なMC20のおかげで、ポルシェ911と同等の疲労感で帰ってこれた。
カーボンファイバー製のタブシャシーは、走行中の共鳴音が小さくない。それでも、高速道路を巡航している時の車内は、同じくらいシリアスな911より静かだと思う。
MIRAで車重を計測 長期テスト車は1710kg
さて、MIRAへMC20を持ち込んだ理由は、もちろん、このクルマを計測するため。公道を走らせていると、車重へ意識が向かうことも多い。車重計の狙った位置へピタリと寄せても、ドーパミンが溢れてくるわけではないが、重さは興味深い数字だと思う。
0-100km/h加速も計測した。カタログ値を実際に達成するため、特別なハイオクガソリンが給油され、レーシーなタイヤを履いた広報用車両を手配する手間も、長期テスト車両なら不要だ。
ジャッロ・ジェニオというイエローに塗られた、長期テストのMC20の車重は、1710kgだった。60Lのガソリンタンクが満タンで、公道を走行可能な状態で。カタログ値では、1500kgがうたわれている。
小さくない差のように思えるが、理由は明確ではない。モノコック構造はカーボンファイバー製で、サブフレームはアルミニウム製。ツインターボのV6エンジンも220kgを切る。いずれも軽量化には配慮されている。ハイブリッド・システムも載っていない。
インテリアは、ラグジュアリーな雰囲気を漂わせるが、派手な装飾などはない。アナログメーターが似合う、クラシカルな味わいもある。もしかすると、シートが重いのかもしれない。カーボン製のタブシャシーは、肉厚すぎるのかもしれない。
エンツォフェラーリへ通じるDNA
その後、フラットなエリアで241km/hまで加速させた。筆者は、フェラーリ・エンツォフェラーリへ通じるDNAを感じている。同時期のマセラティMC12が、それと多くを共有していたことが影響しているかもしれない。
現在のミドシップのライバルと比べれば、パワートレインの構成はシンプル。スタイリングは端正な面構成で、優雅でありながら凛々しい。サウンドはイタリア車らしくエキゾチック。魅力的な部分で通じているように思う。
この2台の動力性能は、そこまで違ってもいない。2003年に、AUTOCARはエンツォフェラーリの加速性能を計測している。イタリア北部の、フィオラノ・サーキットで。恐らくその車両には、特別なガソリンが必要最低限だけ注がれていたはず。
最高出力660psで、車重1365kgが主張されたそのフェラーリは、0-100km/h加速を3.5秒で処理。0-161km/h加速は6.6秒。0-241km/h加速は13.1秒という結果だった。
対して、シリンダー数や排気量が半分のMC20は、0-100km/h加速3.1秒。エンツォフェラーリを、0-161km/hまでは上回った。0-241km/h加速は14.6秒で1.5秒遅れたが、車重の差を考えれば納得できる。
ハイグリップなミシュラン・タイヤを履いていれば、カタログ値の0-100km/h加速2.9秒も、達成できただろう。フェラーリ296 GTBは、0-241km/h加速を10.6秒でこなしてしまうが、これは電気の力を借りた別次元のモデルだ。
最近のHVスーパーカーの加速はリニアすぎる
筆者が素晴らしいと感じているのが、パワーデリバリー。時間が過ぎるほど、より強くそう感じている。最近のプラグイン・ハイブリッドのスーパーカーは、リニアに加速しすぎる。余りにも一糸乱れず、整い過ぎているように思う。
ネットゥーノ・ユニットも正確に反応するが、精緻なほどではない。フルスロットルを与えると、ブースト圧が高まり野性味が湧いてくる。タイヤの表面温度が高い状態では、激しくホイールスピンするほどではないけれど。
パワーバンドは、比較的高い回転域にある。ペダルのストロークは長め。これらの特徴が融合し、特有の味わいを生んでいる。マクラーレンのアプローチにも近いだろう。
296 GTBは圧倒されるほど速いが、一瞬にして恐怖を覚える領域へ迫る。しかし、MC20ならもう少し長く、興奮が高まっていくのを堪能できる。次はアウトバーンまで出かけて、濃密な加速体験に浸ってみたいと思う。
積算1万4389km 少し癖のあるブレーキの感触
マセラティのマークといえば、先が3本に別れたトライデント。ブレーキペダルにも刻印されているが、芸術的な鍛造品だ。往年のレーシングカー、マセラティ・ティーポ61に付いていても違和感はないだろう。
ブレーキの感触は、MC20の特徴の1つ。冷えた状態では淡泊で効きが弱め。充分に温まっても、強い制動力を得るには深く踏み込む必要がある。
最近の高性能モデルに組まれる、ブレンボ・ブレーキは敏感すぎるように思うが、このブレーキも直感的ではない。左足で踏む方が、扱いやすいとも感じている。
テストデータ
気に入っているトコロ
ルーフのカラー:筆者はツートーン・ルーフが好きではない。MC20は、ボディと同色でも美しい。
気に入らないトコロ
鳴きがちなブレーキ:スーパーカーは、往々にしてブレーキがキーキー鳴きがち。疲労の原因になる。
英国価格
モデル名:マセラティMC20(英国仕様)
新車価格:22万2025ポンド(約4307万円)
テスト車の価格:31万735ポンド(約6028万円)
テストの記録
燃費:5.6km/L
故障:なし
出費:なし
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