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【BMW XM】ハイエンドSUVに込められたBMWの最先端技術【石井昌道】

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【BMW XM】ハイエンドSUVに込められたBMWの最先端技術【石井昌道】

新車試乗レポート [2023.07.24 UP]


【BMW XM】ハイエンドSUVに込められたBMWの最先端技術【石井昌道】
文●石井昌道 写真●BMW

BMW「X6」クリーンディーゼルエンジン搭載モデル追加 最高出力298PS

 HEV(ハイブリッドカー)よりも容量の大きなバッテリーを持つPHEV(プラグインハイブリッド)は、本来は50~100km程度は電気のみEV走行でCO2排出量を削減し、エンジンを用いたハイブリッド走行ではロングドライブを実現。CO2排出量削減効果に限界のあるエンジン車やHEVと、いまだ航続距離に課題のあるBEVのいいとこ取りをする環境対応車といったところだが、パフォーマンスアップのためのパワーユニットとしても興味深い。

 モーターは低回転域からエンジンではあり得ない大トルクを発生させられる。それを最大限にいかすには大きなモーターを使うことで、PHEVの大容量バッテリーとの組み合わせが適している。

 ハイパフォーマンスなBEV(電気自動車)も登場しているが、高回転・高速域ではパワーを発揮するのが得意なエンジンがあるほうが有利だ。


BMW XM
 そんな特性を存分に引き出そうという意志をもって登場したのがBMW XMだ。

 1978年のBMW M1以来のM専用車であり、2000万円超でも飛ぶように売れているハイエンドSUV市場に殴り込みをかけるモデルでもある。

 もともとはX7のさらに上のモデルとして計画されていたが、X8やX9とするのではなく、M専用車としてさらに突き抜けた。また、BMWのラグジュアリークラスである7シリーズ、X7などとともにGKL(グランクラッセ=最上級クラス)の一員でもある。つまり、MハイパフォーマンスのスポーティネスとGKLのラグジュアリーが融合したモデルでもあるのだ。ワングレード、ワンプライスで日本での価格は2130万円となっている。


BMW XM
 注目のパワートレーンはMハイパフォーマンスではお馴染みのS68型で、排気干渉を低減してターボラグを解消するクロスバンク型エキゾーストマニホールドを採用したV型8気筒ツインターボ。

 エンジン単体で最高出力489PS/6000rpm、最大トルク6500Nm/1600−5000rpm、8ATに内蔵されたモーターは最高出力197PS/6000rpm、最大トルク280Nm/100-5000rpmで、システム総合としては最高出力653PS、最大トルク800Nmにおよぶ。

 バッテリー容量は29.5kWhで満充電であればWLTCモードで107kmのEV走行が可能。ハイブリッド燃費は8.5km/Lとなっている。さすがに車両重量は重く2170kgもあるが、ハイパワーを誇るため0-100km/h加速は4.3秒とハイパフォーマンスだ。

 スタイリングは大胆だ。7シリーズやXMと同じく最新のGKLフロントマスクで上下分割式のスプリットヘッドライトで大型のキドニーグリルはクロームで縁取られ、夜間はLEDで発光するアイコニックグローでさらに存在を主張する。フォルムは直線的でエレガントというよりは、SUVらしい逞しいもので、サイドウインドーを取り囲むナイト・ゴールドのアクセント・バンドが目をひく。リアウインドー左右には、M1由来のBMWロゴが刻まれる。


BMW XM
 インテリアはスポーティというよりもラグジュアリーのほうが際だっている。

 ダッシュボードやドアトリムに用いられるレザーはヴィンテージ調でエレガント。フロントシートに腰掛けると、なるほどMハイパフォーマンスだという身体がホールドされるスポーティなシートであり、カーブド・ディスプレイを始めとするドライバーオリエンテッドな空間が広がっているが、リアシートは一転してラグジュアリーだ。

 Mラウンジと呼ばれる空間となっていて、ダイヤモンド形状のヘッドレストや独特のステッチが施されてた極めて高い品質を感じさせるシートで、座り心地は高級ソファのようにシットリと柔らかい。見上げれば立体的なプリズム構造デザインと間接照明が組み合わされたイルミネーテッド・ルーフ・ライニングによって幻想的な雰囲気。フロントはスポーティ、リアはラグジュアリーという二面性を持っているのだ。


BMW XM
 シャシーにも様々な最新テクノロジーが使われている。

 アダプティブMサスペンション・プロフェッショナルと呼ばれるもので、電子制御のダンパーおよびスタビライザー、インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御ステアリング・システム)、Mスポーツディファレンシャルなどが採用される。X7のようにエアサスペンションを採用せず金属スプリングとしたのは、より高い領域でのスポーツ走行に対応するためだ。それゆえ、やや硬い乗り心地ではあるものの、動的質感が高いために不快に感じる場面は最小限であり、リアシートならばシート自体のクッション性がいいので快適だ。

 いかにもMハイパフォーマンスという乗り味なのに、EV走行で音もなく加速しつつ、いざエンジンがかかればV8の力強いサウンドが味わえる。また、BMWアイコニックサウンドはモーター走行中でもエンジンのようなサウンドとなるのも面白い。


BMW XM
 XMはM専用車ゆえの、ハイパフォーマンスなSUVというだけではなく、ラグジュアリーとの融合、PHEVの特性などによって、様々に二面性を見せるのがユニークだ。ハイエンドSUV市場で類い希な存在感を示すことになりそうだ。

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