もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
ー内装 ★★★★★★★★★☆
ー走り ★★★★★★★☆☆☆
ー使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
ー乗り味 ★★★★★★★★☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★☆☆
新型トヨタ・カローラ・ツーリング・スポーツ 英仕様、邦貨換算326万円~
はじめに
ヨーロッパのファミリーカー市場は円熟期に入ったといえるだろうか。プレミアムブランドの中心的な存在は、SUVが取って代わってしばらく経つ。優れた設計とデザインが施された中型サルーンは、ファミリーカーとしての選択肢として、復権することはできるのだろうか。自動車業界の未来を占うかのような、フォルクスワーゲン・アルテオンやキア・スティンガーという新しいスタイルのサルーンも登場しているが、市場の反応は悪くないようだ。
今回のロードテストは、そんなファミリーカーとしてのサルーンのポジションを再考することにもつながる、2代目プジョー508。ハンドリングには定評のあったヨーロッパの伝統的なブランドによる、中型の中価格帯のサルーンとなる。
かつてのプジョー405(写真)や406は、ダイナミクス性能やフランス流のデザインをまとい、ドイツ勢などの対抗馬として評価を得てきたし、一回り大きな504や505も、同価格帯の中では世界規模でサルーンとして一定の評価を得ていた。
反面ここ数年は、サルーンというカテゴリーよりも、SUVやクロスオーバー、商用車といったカテゴリーに注力してきた印象があるプジョー。そんな中で、今年のジュネーブ・モーターショーで発表されたのが新しい508となる。従来モデルの保守的ともいえた丸みを帯びたデザインから、大きな変化を遂げていることは明らかだった。
多くのライバルと同様にプジョーも、モダンデザインとしてカーブしたエッジを多用したデザインを採用し、508の仕上がりは目を引く美しいものになっている。しかも見慣れた3ボックスのスタイルから、ハッチバック・スタイルへと切り替えることで、現代的な佇まいを獲得している。
そんな今どきのサルーン、プジョー508の実際を詳しく見ていこう。
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
大幅に生まれ変わった新しいプジョー508。一回り大きかった先代モデルとの関連性は、もはや感じることはできない。テールライトの全幅いっぱいに伸びるデザインや、フロントバンパーに刻まれた縦に伸びるLEDライトは、2017年のジュネーブ・モーターショーで発表されたコンセプトカー、インスティンクト・シューティング・ブレーク・コンセプトを連想させる。この価格帯としてはかなりエッジの効いた処理だ。
2.5ボックスともいえるファストバックスタイルのボディに、サッシュレスドア、クロームメッキ仕上げのマフラーカッターと、ホイールアーチいっぱいに収まる大径のホイール。そこかしこにデザイン・ディレクターのジル・ヴィダルによるコダワリが見える。
もしアウディA5スポーツバックのスタイリングが好みなら、きっと508にも目が奪われるはず。複雑なCピラーからリアフェンダーにかけてのボディパネルは、かなり高度なプレス技術が必要になるだけでなく、スポーツカー的な雰囲気も漂わせている。
近年大型化が進むDセグメントにおいて、508は先代よりも全長で80mm、全高では51mmと、かなり小さくなっている。ライバルとなるフォード・モンデオやスコダ・スパーブより一回り小さい。全幅は30mm広がっているが、最小回転直径も小さく収まっている。
新しい508の車重はグレード平均で先代よりも70kgも軽量化。その理由は、巨額を投じて開発された、プジョー3008や5008も採用する、EMP2と呼ばれる新しいスチール・モノコックをベースにしていることが大きい。ボディ剛性も高められているから、優れたハンドリングにも貢献している。
今回のテスト車両は、PSAグループによる2.0ℓの4気筒ターボディーゼル・エンジンを搭載し、8速ATを介して前輪を駆動。最高出力は163psか176psを選べる。エントリーグレードとして、1.5ℓディーゼルもラインナップし、こちらはマニュアルのみ。最高出力は130psに留まるが、二酸化炭素排出量はわずか98g/kmとなる。
欧州の場合、企業などにカンパニーカーとして納車するフリート販売の割合が高い、Dセグメントのサルーンだから、ガソリンモデルが占める割合は1~2割程度になるだろう。そんな、少数派と見込まれるガソリンエンジンは、1.6ℓの4気筒ターボで、最高出力は180psと224psの2段階が設定される。
ドライブトレインの内容はやや保守的に思えるが、プジョーによればEMP2プラットフォームは、マイルド・ハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドにも対応しているとのこと。プラグイン・ハイブリッドの場合、電動モーターがリアタイヤを駆動するシステムとなり、来年には登場予定だという。ハイブリッド・システムを搭載したとしても、車内空間や、潤沢とはいえないラゲッジスペースには、影響を及ばさないそうだ。
その他、シャシー周りは比較的コンベンショナル。フロントサスペンションはマクファーソンストラット式で、リアサスペンションはマルチリンク式となる。エコモードからスポーツまでのドライブモードの変更に対応するアダプティブ・ダンパーは、トップグレードのGTのみが標準装備。残りのグレードは、通常のパッシブダンパーとなる。タイヤは、われわれの試乗車には、19インチのホイールに、やや控えめな235/40というサイズが装着されていた。
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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内装 ★★★★★★★★★☆
508の均整の取れた、比較的コンパクトなエクステリアから受ける印象は、インテリアにも共通していることに気づく。全幅はこのセグメントとしてはかなり広く、英国の一般道ではやや窮屈に感じられることもあるだろう。しかし、落ち着いて車内を見渡すと、リアシートに3脚のチャイルドシートを並べることはもちろん、大人が3名腰掛けることも、適さないクルマだということがわかる。
大人にとっては、リアシートの頭上空間も膝周りの空間も、ほとんど余裕がなく、典型的な夫婦+子供ふたりの、4人家族向けのクルマだといえる。ラゲッジスペースも、同価格帯のクルマの最大値と比較すると10~20%は狭い。ちなみにその大きさは、一番狭い部分で幅が950mm、奥行きが1010mm、高さが310mm。しかし、このクラスのサルーンとしては、平均的な大きさではある。フロントシートも、至極快適というわけではない。座面を伸ばすと、太もも部分に気になる段差ができてしまう。
2016年に発売された3008など、近年のプジョー車を運転したことがあればわかると思うが、それらと同じレベルの素材的な豊かさや、特徴的な空間デザインが施されている。だた、やや光沢の強いプラスチックがセンターコンソール周りに目立つし、硬質な安っぽいプラスティック製のパネル類も、車内のあちこちで目につく。アウディやメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンなどと比べると、若干荒削りな高級感に感じられることは確か。
しかし、それらのドイツ・ブランドが備えないような、スタイリッシュで個性豊かなインテリアデザインが施され、素材の至らなさを補ってはいる。素材やディティール面での解決にはならないけれど。
508にも採用されているプジョー流のiコクピット。操作系のレイアウトは、高い位置のデジタル・インスツルメントパネルに、低い位置に据えられたステアリングホイールという組み合わせで、すべての人にフィットするわけではないと思う。しかし改善を受けており、他のプジョー車ほど困惑するものではなくなった。
ダッシュボードの中心、左手を自然に伸ばした先には「ピアノキー」と呼ばれるインフォテインメント・システムのショートカットボタンが並ぶ。モニターの位置を下げれば、アームレストに左腕を乗せたまま、タッチモニターで主要機能の操作もできたであろう場所なだけに、賛否は分かれそうだ。
テスト車両のGTグレードは、自然な質感が心地よいフルグレイン仕上げのフルレザー内装となるが、中級グレードではハーフレザー仕様となる。全体的に、個性的なインテリアは、ライバルたちと比較すると、このクルマのストロングポイントだとはいえるだろう。
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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走り ★★★★★★★☆☆☆
508のセンターコンソールに配されたセレクタースイッチで、スポーツモードを呼び出し、クルマの性格を変えてみる。変化量は大きくはないものの、スロットルレスポンスは向上し、ステアリングの重みも増す。
カーステレオから聞こえてくる、人工的に増幅されたエンジン音は、実態に欠けるもの。エンジンそのものからの音も直接聞こえてくるから、不自然さがある。聞いていて心地よいものなら、サウンドの変化は歓迎だ。しかし、いかにもディーゼル的なブルーHDiが搭載するエンジン音のボリュームが大きくなるのは、特に歓迎できるものではない。しかも、本物のエンジン音よりも大きな音で、人工的なエンジン音を鳴らすというアイデアは、失敗なのではないだろうか。
4速でレッドゾーンまでエンジンを回した時の車内の音量は、74dBだった。以前うるさいと指摘したボルボV60 D4のエンジンノイズは、73dBで、実はそれよりも騒がしい。それでも、直線加速性能は、このクラスとしては許容できる範囲に留まる。われわれが計測した0-96km/hに要する時間は8.8秒。派手に路面を蹴りながら進んだものの、プジョーのカタログ値、0-100km/hの8.3秒には届いていない。
2015年にテストした、189psを発生するアウディA4 TDIの記録は8.4秒。2012年のBMW 320dは、7.6秒となっている。最大トルクではアウディが40.7kg-m、BMWが38.64kg-mと近似しているが、現実世界で用いる機会が多い48km/hから112km/hへの加速時間では、さらに差が生じる。A4は7.2秒、320dは7.4秒でこなした一方で、508HDiが要した時間は8.5秒と、見逃せない時間差となる。エンジンの柔軟性が問われる、48km/h~112km/h加速を4速固定でこなした場合、508HDiは9.7秒だったが、A4はより速い8.2秒、320dは遅い10.8秒となっている。
加速自体は全体的にスムーズだったが、4000rpmを越えた辺りでエンジンは息が苦しくなる素振りを見せる。テスターのひとりは、8速ATの変速が、この息継ぎする回転数を越えた辺りで行われる傾向を指摘している。このことも、0-100km/h加速でメーカー公称値に及ばなかった理由のひとつだろう。
ただし、一般道ではトランスミッションの変速は全般的にスムーズで気になる部分もない。唯一、ミルブックのテストコースを低速で走行中、急に路面の傾斜が変化する箇所で、シフトアップで戸惑う場面があった。反面サーキットでは、スムーズで滑らかな走りを見せている。
テストコース
ミルブルック自動車性能試験場の丘陵コースの一部が、舗装工事中だったため、508の実力を完全に試すことは叶わなかった。通常の走行スピードなら、ATは全般的にスムーズで適切なシフトチョイスをしてくれる。しかし、変化に富む急勾配が続く区間では、8速ATの優柔不断な側面が露わになる。
この丘陵コースのようなワインディングを攻めて走るペースには、トランスミッションが着いていけない様子。加速しながらコーナリングする際や、急勾配を一気に駆け上がる場合などでは、シフトチェンジがまどろっこしく、思い通りのペースで走らせることができなかった。
マニュアルモードを選択すれば、ATのレシオも支配下におけるものの、そのためにはドライブモードをスポーツにしておく必要がある。そうすると、自ずとサスペンションが締まり、ステアリングホイールの重みも増してしまうのが悩ましい。
T1セクションの勾配が変化しながらのコーナーでは、ステアリングホイールにタイヤからのキックバックが伝わってきた。T2セクションのヘアピンカーブでは、アンダーステアが顔を出すが、スロットルを戻すことで、充分修正は可能。T5の高速コーナーではスタビリティコントロールが介入してくる。ATもギクシャクしがちで、次のセクションまでその傾向が続いてしまった。
発進加速
プジョー508 ブルーHDi 180S&S GT
テストトラック条件:乾燥/気温17℃
0-402m発進加速:16.7秒(到達速度:137.4km/h)
0-1000m発進加速:30.1秒(到達速度:180.5km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:9.5秒
フォルクスワーゲン・パサート2.0 TDI 190 DSG(2015)
テストトラック条件:湿潤/気温3℃
0-402m発進加速:16.8秒(到達速度:138.2km/h)
0-1000m発進加速:30.3秒(到達速度:177.0km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:12.4秒
制動距離
プジョー508 ブルーHDi 180S&S GT
テスト条件:乾燥/気温17℃
97-0km/h制動時間:2.62秒
フォルクスワーゲン・パサート2.0 TDI 190 DSG(2015)
テスト条件:湿潤/気温3℃
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
12.3インチモニターによる、デジタル・インスツルメントを、ステアリングホイールの上から見下ろす形のドライビングポジションは、プジョーだけのiコクピットと呼ばれるスタイル。他のプジョー車でも馴染めずにいたが、インスツルメントパネル全体が見えるように、不自然に低い位置にステアリングホイールが取付けられている。ただし、508のインスツルメントパネルは他のプジョー車よりも見やすくはなっている。
インスツルメントパネルのモニターに表示される内容は、ユーザーがカスタマイズすることも可能。アウディTTほどではないものの、インフォテインメント・システムも表示の変更ができる。インフォテインメント・システムは、エントリーグレードは8インチモニターとなるが、中級グレード以上では、10インチの高精細モニターが搭載される。
センターモニターの下にはピアノキーと呼ばれるボタンが並び、モニターで操作するよりも簡便さを高めている。モニターのグラフィックスは鮮明で美しいし、ナビゲーションの地図の表示も、他のプジョー車よりクリアな印象だった。
GTグレードを選ぶと、フォーカル社のプレミアム・オーディオシステムが標準で追加されるが、それほど音質が良いものではない。自らアフターマーケット製品を組んだほうが良さそうだ。
視界
運転席からの視界は、全般的に特に優れているわけではない。強く寝かされた太いAピラーは前方視界を仕切っているし、小さなリアウインドウが後方視界を狭めている。
燈火類
LEDヘッドライトが標準装備。光軸はフロントホイールの舵角に合わせて斜めを向く機能も付いており、コーナーでの視界を確保してくれる。
ステアリングとペダル
ペダル類の位置は妥当なもので、長距離ドライブでも疲れは感じない。しかしステアリングホイールは、わずかに右側へオフセットされている。
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乗り味 ★★★★★★★★☆☆
508の一般道での乗り心地は、充分に滑らかで繊細なもの。凹凸に対する垂直方向の脚さばきにはやや硬さも見られるが、減衰力は充分で動きも漸進的。ボディ全体の動き、プライマリーライドはよく調整されているが、路面状況などに起因する細かな振動、セカンダリーライドは詰めが甘いようだ。ライバルのDセグメント・サルーンの場合は、もっと上質な脚さばきを披露してくれる。
テスト車両が履いていた19インチのアルミホイールも、荒れた路面やうねり、轍などの変化を強調してしまう傾向があるのだろう。しかし、落胆するほどトゲのある乗り心地ではないから、508の好印象なマナーを霞ませることはない。コンフォートモードにすれば、完全に消えるわけではないものの、細かい振動はだいぶ抑えられる。一方で滑らかな路面の高速道路では、振動はほとんど気にならないレベルになり、滑らかなボディの動きを心地よく感じながら、ドライブすることができる。
ステアリングのロックトゥロックは3.0回転で、レシオはだいぶスローに設定されている。現代のプジョーでは、インテリアの特徴となった小さなステアリングホイールは、乗っているうちに慣れるだろう。タウンスピードではステアリングは非常に軽く動くが、ペースを速めると、伝わってくる情報量が増えるわけではないものの、重さ自体は増していく。積極的にコーナリングを楽しむペースでは、ノーズの向きを変えるのに、ステアリングホイールを1/4ほど回す必要があるが、フロントタイヤのグリップはしっかりしており、不安を感じることはないだろう。
ボディロールの発生の仕方も自然で、よく抑制されており、中速コーナーでラインを変更するような場合でも、不安定になることはない。スポーツモードを選ぶとクルマ全体が引き締まるが、郊外の腕が試されるような道路を積極的に楽しみたくなるような、エキサイティングなクルマではないことは確かだ。
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆
プジョーは508をかなり強気な価格で設定している。中級グレードとなる、1.5ℓディーゼルエンジンは、同等グレードのフォルクスワーゲン・パサートより10%も高く、フォード・モンデオより15%、ボクソール(オペル)・イングニシアより20%も高いのだ。
プジョーが見込んでいる英国での販売台数は弱気なもので、月払いの支払い契約にすれば、競争力は充分あると考えているようだ。しかし、英国の場合、ディーラーによる購入サポートも限定的で、中級グレードの508 1.5 BlueHDiアリュールの場合、5年間の残価設定プランを組んだ毎月の支払額は、320ポンド(5万円弱)となる。同グレードのパサートの場合は、250ポンド(4万円弱)と、差は大きいし、アウディA5スポーツバックの場合、同じ条件で360ポンド(5万円強)となる。508は、コストバリューで選ばれるクルマではなさそうだ。
しかし、ランニングコストは優れており、二酸化炭素排出量も少ないから、法人登録のカンパニーカーだと考えると、維持費用や税金面では有利だとはいえる。燃費に関しては、通常走行時の平均で18.4km/ℓで、2015年に計測した現行アウディA4 2.0TDIの17.5km/ℓや、現行パサート2.0TDIの18.2km/ℓより優れていた。
より低グレードの1.5ℓディーゼルエンジンなら、さらに良好な燃費を示すのかもしれないが、今回のテスト車両の燃費も充分高く評価できる。
508は比較的良好な残存価値の推移を見せる。パサートよりは高くなりそうだが、アウディには及ばないようだ。
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スペック
レイアウト
プジョー508を構成するのは、SUVの3008や5008でもおなじみ、新しいEMP2プラットフォームで、従来のプラットフォームよりも軽量で高剛性なのが自慢。サスペンションはプレミアムサルーンらしく、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式となる。今回のテスト車両は、前輪駆動で、8速ATが組み合わされていた。前後の重量配分は、61:39となっている。
エンジン
駆動方式:横置きフロントエンジン/フロントドライブ
形式:直列4気筒1997cc ターボ
ブロック/ヘッド:アルミニウム/アルミニウム
ボア×ストローク:φ85.0×88mm
圧縮比:16.7:1
バルブ配置:4バルブ
最高出力:176ps/3750rpm
最大トルク:40.7kg-m/2000rpm
許容回転数:4700rpm
馬力荷重比:114ps/トン
トルク荷重比:26.4kg-m/トン
エンジン比出力:90.2ps/ℓ
シャシー/ボディ
構造:スチールモノコック
車両重量:1535kg/1671kg(実測)
抗力係数:-
ホイール:(前)8.0Jx19/(後)8.0Jx19
タイヤサイズ:(前)235/40 ZR19/(後)235/40 ZR19
タイヤ銘柄:ミシュラン・パイロットスポーツ4
スペアタイヤ:スペースセイバー
変速機
形式:8速オートマティック
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
(1)3.85/5.3 (2)2.22/9.3 (3)1.43/14.4 (4)1.04/19.8 (5)0.86/23.9 (6)0.70/29.5 (7)0.56/36.8 (8)0.47/43.9
最終減速比:3.950:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:12.3km/ℓ
ツーリング:18.4km/ℓ
動力性能計測時:6.0km/ℓ
メーカー公表値:消費率
市街地:16.6km/ℓ
郊外:25.6km/ℓ
混合:21.2m/ℓ
燃料タンク容量:55ℓ
現実的な航続距離:741km
CO2排出量:124g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング/ダンパー/アンチロールバー
後:マルチリンク/コイルスプリング/ダンパー/アンチロールバー
ステアリング
形式:ラック&ピニオン(電動アシスト)
ロック・トゥ・ロック:3.0回転
最小回転直径:10.8m
ブレーキ
前:φ330mmベンチレーテッド・ディスク
後:φ290mmソリッド・ディスク
静粛性
アイドリング:45dB
4速最高回転時:74dB
4速48km/h走行時:62dB
4速80km/h走行時:67dB
4速113km/h走行時:69dB
安全装備
ABS/ASR/ESO/ABA
Euro N CAP:未実施
発進加速
実測車速mph(km/h)秒
30(48) 3.1
40(64) 4.6
50(80) 6.6
60(97) 8.8
70(113) 11.6
80(129) 14.6
90(145) 18.6
100(161) 23.4
110(177) 29.5
120(193) –
130(209) –
140(225) –
150(241) –
160(257) –
中間加速〈秒〉
中間加速mph(km/h)2速3速4速5速6速7速8速
20-40(32-64) 2.6 3.9 – – – – –
30-50(48-80) – 3.4 4.7 – – – –
40-60(64-97) – 3.9 4.7 5.5 7.6 – –
50-70(80-113) – – 5.0 5.8 7.1 10.8 –
60-80(97-129) – – 5.7 6.3 7.5 10.4 14.8
70-90(113-145) – – 7.4 7.0 8.3 11.1 13.7
80-100(129-161) – – – 8.6 9.6 12.3 –
90-110(145-177) – – – 12.8 11.0 – –
100-120(161-193) – – – – – – –
110-130(177-209) – – – – – – –
120-140(193-225) – – – – – – –
130-150(209-241) – – – – – – –
各ギアの最高速
1速 40.2km/h 4700rpm
2速 70.8km/h 4700rpm
3速 109.4km/h 4700rpm
4速 149.6km/h 4700pm
5速 180.2km/h 4700rpm
6速 223.7km/h 4700rpm
7速 234.9km/h 3967rpm
8速 234.9km/h 3328rpm(メーカー値)
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
結論 ★★★★★★★★☆☆
心惹かれるスタイリッシュさだが、ライバルほどの洗練性は備わらず
Dセグメントでのサルーンで成功をおさめることは、容易なことではない。ジャガーXEやアルファ・ロメオ・ジュリア、BMW 3シリーズなど、ドライビングの魅力に加えて、ブランド力や利便性など、多くの説得力を備えたライバルたちが、しのぎを削っているのだ。
プジョー508も、悪くない魅力を備えてはいるものの、強豪ぞろいの中では、総合的に他を超える完成度を獲得できているわけではない。シャープなデザインで、惹かれるアピアランスでまとまっていても、後部座席は正直狭い。iコクピットを含め、インテリアも今まで以上の出来だとはいえ、見た目にそぐわない素材や質感が足を引っ張っている。
ドライビングに関しても、充分な俊敏性と落ち着いたステアリングフィールを獲得はしているものの、後輪駆動モデルほど、エンスージャストを納得させるものではない。しっかり熟成されたドイツ製のサルーンの競争力は極めて高い。
プジョーとしては上々の仕上がりだとはいえるが、AUTOCARとしてはライバルを退けて、強く推せるクルマではないことを否定できない。
担当テスターのアドバイス
サイモン・デイビス これまで19インチと18インチのホイールを履いたプジョー508に乗ったが、18インチの方が細かな振動が気にならないとはいえ、それでもやはりサスペンションの限界は感じられた。
マット・ソーンダース プジョーのiコクピットはどうも好きになれないが、今までのクルマよりはだいぶ戸惑いは少なくなった。おそらくはハッチバックやSUVよりも着座位置が低く、より適正な調整が施されたからだろう。
オプション追加のアドバイス
GTグレードの標準装備は極めて充実しているが、低グレードのアクティブは、価格相応の内容。もし大径ホイールやLEDライトが不要なら、中級グレードのアリュールがオススメ。前席には電動シートも付いてくる。
改善してほしいポイント
・細かな振動の吸収性を高めるべき。現状でも不快なほどではないにしろ、気になる点ではある。
・活発なペースでのトランスミッションの動きを、より積極的にして欲しい。
・インフォテインメント・システムのソフトウエアは改善が必要。以前よりは良くなっているけれど。
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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