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360馬力のPHEVを獲得 DS 9 E-テンス 4x4 360 リボリ+へ試乗 快適性に焦点

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360馬力のPHEVを獲得 DS 9 E-テンス 4x4 360 リボリ+へ試乗 快適性に焦点

プジョー508 PSE用のPHEVを搭載

シトロエンがかつて生産していたDSという上級サルーンは、素晴らしいクルマだった。エンジンを除いて。

【画像】プジョー508 PSE用PHEV DS 9 E-テンス 4x4 360 競合のHVサルーンと比較 全120枚

現在はステランティス・グループの上級ブランドとして独立したDSだが、そんな心配はいらない様子。従来以上に上質でたくましい、ハイブリッド・ユニットを獲得した。

メルセデス・ベンツやジャガー、レクサスなどに対抗するブランドとして、パワフルなトップグレードは必要不可欠。グループ内のモデルを俯瞰し、プジョー508 PSE用のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)へ白羽の矢が立ったようだ。

つまり、200psを発揮する1.6Lの4気筒ガソリンターボ・エンジンに、2基の駆動用モーターが組み合わされている。1基は110psで、エンジンと一緒に8速ATを介してフロントタイヤを駆動。もう1基は独立しており、112psを発揮しリアタイヤを駆動する。

AUTOCARでは、スポーティなプジョー508が気に入っている。一方で、DSのフラッグシップ・サルーンとして求められるのは、ドライバーとの一体感より安楽で上質な走り。さらに、これまでより価格も高い。DS 9との相性はいかがだろう。

既存の9 E-テンス 225の英国価格は、4万6100ポンド(約714万円)から。だが、今回試乗したE-テンス 360では、5万4100ポンド(約838万円)へ増えてしまう。

トップグレードのリボリ+を選択すると、5万7200ポンド(約886万円)になる。この金額は、6気筒エンジンのPHEV、BMW 545eにも迫るものだ。

DSパフォーマンス部門で最終仕上げ

やや高めの金額を生んでいる理由は、高度なPHEVシステムだけではなく、製造過程にもある。すべての9は中国の工場で生産されているが、E-テンス 360の場合は特注に近い。

当初、E-テンス 360は前輪駆動のE-テンスとして生産される。その後、フランス・パリ北西部のポワシーに構える、DSパフォーマンス部門のワークショップへ運ばれる。ここは、同社のフォーミュラEマシンを制作している場所でもある。

到着すると、駆動用モーターを含むリアアスクルと、380mmの大径フロントブレーキ、車高が下がり引き締められたサスペンションが組み付けられる。フロントで24mm、リアで12mm、トレッドをワイド化するため、ウイッシュボーンも専用品だという。

クルマ好きなら惹かれそうなプロセスを知ると、プレミアムな価格にも納得できるかもしれない。ところが実際の走りで、その手間が充分に活きているともいえないようだ。

まず、9 E-テンス 360には褒めるべきところが沢山ある。インテリアには、パフォーマンス・ライン+ではアルカンターラ、リボリ+ではレザーが贅沢に用いられている。素材の上質さや設えの水準、デザイン、ソリッドなタッチなど、とても充足度が高い。

人間工学に優れており、クルージング時の乗り心地も滑らか。ストレスフリーで長距離移動をこなせる。E-テンス 225でもその表現は当てはまったが、360なら、より高い速度域までその印象が保たれる。

カーブの続く道を流暢にこなすシャシー

E-テンス 360ではトレッドが広げられ、リアタイヤを駆動するモーターが追加されたことで、アンダーステア基調に抑え込まれていたハンドリングも改められている。これまでの9とは異なる。

スポーツ・モードを選択すると、アダプティブ・サスペンションがタイトに姿勢をコントロール。リアモーターが積極的に働くようにもなる。

ステアリングは軽くスローペースだから、一体感を持って操縦できるわけではない。それでも、シャシーはカーブの続く道を流暢にこなしてくれる。

ただし、システム総合で360psの最高出力とは裏腹に、パワートレインは落ち着いた駆け足程度の走りが、最も能力を発揮できる印象。額面通りのパワーを求めると、1.6Lのガソリンエンジンが全力を振り絞っている様子が伝わってくる。

運転席へ、張り詰めたノイズが響いてくるわけではない。それでも、心地良いサウンドというわけでもない。

8速ATも、積極的に運転していない限り、滑らかで丁寧に変速をこなす。しかし、ステアリングホイールにパドルが付いているものの、完全なマニュアル・モードは選べない。ドライバーの意思でギアを選択できるが、程なくしてAT自ら別のギアを選んでしまう。

タイトコーナーからパワーを掛けて勢いよく脱出しようという場面でも、AT任せでは適切な低いギアを選択するのに、少しの時間が必要。変速が終わった頃には、コーナーの出口を過ぎていた、ということもありそうだ。

高速クルージングや郊外の闊歩が得意分野

高速道路でのクルージングや、低速トルクで郊外をゆったり闊歩するような運転なら、E-テンス 360の能力を活かせる。キックダウンを求めない範囲で。シャープさを増したシャシーや、パワフルになったパワートレインの、頂上部には迫らない方が良い。

DS側は、あくまでもスポーツサルーンではなく、グランドツアラーだと説明している。DSパフォーマンス部門での最終仕上げを経ていても。

E-テンス 360よりパワーで劣る、E-テンス 250が2022年4月から英国へ上陸する予定。これまでのE-テンス 225と置き換わるように。これによって9は、前輪駆動と四輪駆動の新しい2グレード体制が整うことになる。

DS 9は、BMW 5シリーズやメルセデス・ベンツEクラスとは別のブランドを望む人のための、パーソナル上級サルーンだ。独自性も強く、秀でたスポーティさと引き換えに、他にはない快適性へ焦点が向けられている。

パワフルなPHEVシステムが、その個性とぶつかるということはない。だが、E-テンス 360の高めの価格を、正当化するには少々もの足りないことも確かではある。訴求力としては、より手頃なE-テンス 250の方が上にも思える。

ドライバーとしての充足感は、確かに高められた。それでもE-テンス 360が、フラッグシップのDS 9の殻を破ったとまではいえないだろう。

DS 9 E-テンス 4×4 360 リボリ+(欧州仕様)のスペック

英国価格:9万5690ポンド(約1483万円)
全長:4934mm
全幅:1932mm
全高:1460mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:62.5-90.9km/L
CO2排出量:41g/km
車両重量:1909kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:13.6kWh
最高出力:360ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:53.0kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

1件
  • 最後の工程がフランスになるからフランス製って言うのかもしれないが元は中国製なのか。興味無くなったな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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