オーストラリアの国際試乗会で乗った新タイヤのフィーリングとは
コンチネンタルタイヤの「マックスコンタクトMC7」が新発売になり、そのプレス向けローンチと試乗会がオーストラリアのシドニーで開催されました。
【画像】ドイツのスポーツタイヤが劇的進化!「マックスコンタクトMC7」を見る(20枚)
初日はMC7のデザイン、構造、コンパウンドなど中身について詳しいレクチャーを受け、翌日からサーキットと一般道それぞれ1日ずつの試乗ができました。その走りを中心としたレポートをお伝えします。
2日目の朝はシドニーの南西に位置するルーデンハムレースウェイに向かいました。アップダウンが激しいテクニカルなサーキットで、道幅も広くなくシビアなタイヤテストには適した場所だと思いました。
このコースを分割してドライハンドリング、ウェットブレーキング、ウェットハンドリングのテストができるようになっていました。
試走車にはインストラクターの横に乗って体験するポルシェ「911」などがありましたが、実際にハンドルを持って運転したのは、BMW「3シリーズ(G20)」Mスポーツでした。これはサーキットも翌日の一般道も同じでした。タイヤサイズは前輪225/40R19 93YXL、後輪255/35R19 96YXLです。
ドライハンドリングではブレーキの効きの良さとハンドル応答性の良さに驚きました。
ブレーキングではトレッド面の摩擦力が強いのが明確にわかります。ハンドル応答性の切り始めのゲインは通常のハイパフォーマンスタイヤと同程度ですが、コーナーが回り込んでいるときにさらにハンドルを切り込むとちゃんと追従してくれるところが素晴らしかったです。
しかもそのときに粘るようなグリップ感で、切り込んだときの手応えもグリップの強さに比例している感じで安心感がありました。フロントがハンドルに追従して曲がってくれている場面でも、リヤはしっかりグリップしてクルマの安定性が保たれていました。
次はウエットブレーキングのテストです。ホームストレートを80km/h以上で走り、サイドから散水されたウエット路面で思い切り強いブレーキをかけます。このテストでは、すでに市場に出ているライバルメーカーのタイヤとの違いも体験しました。80km/hから0までの制動距離は、ライバルが23.26mのところMC7は22.2mで、1.06mも短く止まれました。
このウエットブレーキングでは当然ABSが作動するのですが、MC7はABSによるブレーキ圧の強弱があっても粘るような制動が持続し、滑りとグリップに明確な差があるライバルタイヤより安心感がありました。
アジア・パシフィック市場向けの戦略商品
次にウエットハンドリングです。
コース幅の中央付近を60km/hで走り、左コーナーに進入しアクセルオフのあとハンドルを素早く左いっぱいに切り込みます。
ライバルタイヤは急激な切り込みによりフロントタイヤのグリップを失いアンダーステアで外側に大きく膨らみましたが、MC7はアンダーステア傾向にはなるものの滑りはゆっくりで膨らみは小さく収まっていました。
カーブでの衝突回避操作をしたときのクルマの動きとしてはMC7には速い滑りがなく安心感がありました。
最後に「ファンドライビング」という、インストラクターに続いてコースを周回する時間もありました。ここでは粘るグリップによりタイヤの美味しいゾーンが広い感じでした。タイトコーナーの立ち上がりで早めにパワーオンしてもリアが滑ることはなく、またプッシュアンダーは出にくく良かったです。
ウエットハンドリングやウエットブレーキングを体験した場所も、散水は止めているものの路面はウエットのままでしたが、気にしないで通過することができました。
サーキットでの結論としては、攻めて走っても粘るようなグリップで安定したままで、誰が乗っても楽しさを味わえるでしょう。
一般道では乗り心地や騒音についてもチェックしました。
ランフラットタイヤが標準のBMW3シリーズですが、MC7はサイドウォールを補強したランフラットタイヤではないのでその分は有利になりますが、それを差し引いても路面の凹凸やハーシュネスに対して当たりの角が丸くて良かったです。
乗り心地がソフトとは言えませんが、タイヤに入力があっても振動がすぐに収まり、快適性は高いと感じました。
タイヤノイズは粗いアスファルト舗装では打音のようなザー音が聞こえますが、キャビンでは大きく響かないので不快ではありません。きれいな路面でのシャー音のようなパターンノイズは聞こえてこないので静かな印象です。
ポンポン音のようなタイヤ空洞で共鳴したキャビティノイズも感じられず、グリップ力が自慢のハイパフォーマンスタイヤとして快適性は満足できるレベルです。
※ ※ ※
マックスコンタクトMC7は、コンチネンタルタイヤの中でAPAC(アジア・パシフィック)向けのエリア戦略製品に属します。
他には「ウルトラコンタクトUC7」、「コンフォートコンタクトCC7」、「エクストリームコンタクトDWS06プラス」、「ウルトラコンタクトUC6SUV」があります。
APAC向けもコンチネンタルのジャーマンテクノロジーを注いで作られていますが、欧州向けとは別のスペックになっています。
APAC向けは基本性能に乗り心地、静粛性、ロングライフが加えられています。また暑い夏でもグリップ低下しないコンパウンドが使われています。
そして嬉しいのは欧州を中心としたグローバル展開製品より安く購入できるということです。
その秘密は製品コストを安く抑えているということはありません。グローバル展開製品と同じコストを注入しています。ではなぜ安いのかというと、輸送コストです。消費地に近い工場で生産されていることが有利になっているのです。
APAC向けエリア戦略製品は仕向地の好みに合わせて味付けし、安く提供してくれるタイヤといえるでしょう。
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